第1754回 2014年バスケットボールワールドカップ(2) ブラジルに敗れるもセルビア、エジプトに連勝

 3年前の3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■過去の世界選手権で相性の悪いブラジル

 世界選手権からワールドカップへと名称が変わり、記念すべきその初回となるスペインでの大会、フランスは2006年の日本大会と同様にエースのトニー・パーカーを欠く布陣、それ以外にも負傷者が多く、欧州チャンピオンとして臨む世界の大舞台に暗雲が陰る。さらにフランスの入ったグループAは強豪ぞろいである。
 そのフランスの初戦の相手はブラジルである。ブラジルは世界ランキングではグループAの中で3番手、スペインに次ぐ2番手のフランスとしては確実に勝利しておきたいところである。8月30日に始まったグループA、会場のグラナダの市営体育館では第1試合は順当にセルビアがエジプトを下し、フランス-ブラジル戦は第2試合である。過去の世界選手権の戦績はブラジルが優勢で、3勝1敗とリードしている。

■第2クォーターに逆転され、黒星スタート

 フランスの先発5人の中には今回が3回目のワールドカップとなるボリス・ディアウも背番号13をつけて健在である。フランスは立ち上がりからリードを広げ、第1クォーターは18-10とリードする。ところがブラジルは第2クォーターで盛り返し、第2クォーターを終えたところでブラジルが28-16と2点リードする。フランスはリバウンドを取ることができない苦しい展開となる。
 後半に入り、第3クォーターはブラジルがリードを広げる展開で、46-41と5点差となり最終クォーターを迎える。最終クォーターはブラジルが先行し、フランスが追い上げるという展開となった。フランスは常時5点から7点をリードされるという苦しい展開。残り2分となり51-58という段階でフランスはタイムアウトを取る。ここからフランスの猛攻が始まり、3ポイントシュートが決まる。両チームがタイムアウトを取る展開となり、残り1秒というところでアントワン・ディオが3ポイントシュートを決め、63-64と1点差に迫ったが、逆転はならず、63-65で初戦を落としてしまった。

■終盤に逆転し、セルビアを下した第2戦

 フランスはその翌日の8月31日、初日にエジプトに快勝したセルビアと対戦する。フランスはスターターを前日のブラジル戦と変えず、東欧の強豪と対戦する。第1クォーターこそセルビアが僅差ながらリードする展開となり、第2クォーターではセルビアがその差を広げ、第2クォーターを終わってセルビアが42-34と8点のリードを奪い、ハーフタイムに入る。
 前日のブラジル戦同様第2クォーターで息切れをしたかに見えたフランスであったが、ここからの展開が前日とは違った。第3クォーターが始まってすぐにフランスは10点差をつけられたが、ディオとエドウィン・ジャクソンが立て続けに3ポイントシュートを決め、23分にフランスは46-46と追いついた。ここからはセルビアがリードし、フランスが追いつくという展開となる。そしてフランスがこの試合、第1クォーターの中盤以来久しぶりにリードを奪ったのが第4クォーターの32分、シャルル・カウディの3ポイントシュートで65-64と逆転する。ここからは息詰まる攻防となり、まさに1点を争う展開となる。この中でフランスに勝利をもたらしたのは豪快なダンクシュートを決めたディアウ、さらに試合終了の1秒前、73-73という状況でファウルを得て、フリースローを決めたジョフレイ・ローベルニュである。ローベルニュはこの試合チーム最多の19得点をあげ、その19得点目が決勝点となり、フランスはセルビアに74-73と勝利し、今大会初の白星をあげたのである。

■エジプトに大勝、開催国スペインに挑戦

 翌9月1日はアフリカ選手権2位のエジプトと対戦する。セルビアに21点差、スペインに37点差をつけて敗れているエジプトはフランスの敵ではなかった。フランスはエジプト相手に94-55と39点差をつけて勝利し、第4戦で開催国であり、世界ランキング2位のスペインと戦うのである。(続く)

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