第1753回 2014年バスケットボールワールドカップ(1) 負傷者続出のフランスを待つ死のグループA

 3年前の3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■毎年国際大会のあるバスケットボール

 前回までの本連載では2年後の欧州選手権に向けてスタートを切ったサッカーのフランス代表のスペイン、セルビアとの連戦について紹介した。この時期にスペイン、セルビアと戦ったのはサッカーの代表だけではない。今回から紹介するバスケットボールの男子フランス代表も両国と戦っているのである。
 フランスの男子バスケットボールについては本連載でしばしば紹介している。国レベルの大会としては4年に1回行われるオリンピック、サッカーのワールドカップと同じ年に行われるワールドカップ(2010年大会までは世界選手権)、そして奇数年に行われる欧州選手権があり、すなわち毎年国際大会が行われている。

■今大会からワールドカップとなった世界選手権

 近年、しばしばフランスはこれらの大会で上位に進出しており、昨年スロベニアで行われた欧州選手権で初めて優勝を果たした。オリンピックについては2000年のシドニー大会で準優勝している。ところがワールドカップ(世界選手権)ではなかなか思うような成績が残せない。日本のファンの皆様は5位になった2006年の日本大会の印象が強いであろうが、それまでは予選落ちが続き、前回大会の2010年大会も13位に終わっている。
 ワールドカップと名をあらためた2014年ワールドカップはスペインで開催された。フランスは昨年の欧州選手権で優勝していることから本大会出場権を獲得、本大会には開催国スペイン、ロンドンオリンピック優勝の米国、そして昨年行われた各大陸別選手権で上位の成績を残した国、さらに世界予選を勝ち抜いた国、24か国がサッカーのワールドカップでは期待を裏切ってしまった王者スペインの地に集った。

■フランスの入ったグループAは強豪ぞろい

 大会形式は6チームずつ4つのグループに分かれグループリーグを行い、各グループの上位4チームが決勝トーナメントに進出、16チームがノックアウト形式で優勝を争う。なお、3位決定戦以外の順位決定戦は行われず、準々決勝で優勝チームに敗れたチームが5位になるように、各チームが敗れたチームの成績で順位が決められることになる。
 フランスのグループリーグでグループAに入る。グループAは開催国スペイン、セルビア、ブラジル、イラン、エジプトとフランスである。この大会が始まる段階でフランスの世界ランキングは8位、グループAの他チームのランキングはスペイン(2位)、ブラジル(10位)、セルビア(11位)、イラン(20位)、エジプト(46位)であり、さながら死のグループである。4位までに入れば決勝トーナメントに進出できるがグループで首位になれば決勝トーナメント1回戦で他のグループの4位通過のチームと対戦できるが、逆に4位通過の場合は決勝トーナメント1回戦で他のグループを首位通過した強者との戦いが待っている。

■トニー・パーカーをはじめ負傷者が続出

 この死のグループに入ったフランスであるが、気がかりなのは主力選手の負傷による欠場である。フランスバスケットボール界最大のスターであり、サンアントニオ・スパーズを支えるトニー・パーカー、往年のテニス選手のヤニック・ノアを父に持つシカゴ・ブルズのジョアキム・ノア、さらにNBAのドラフト1巡目で指名されたワシントン・ウィザーズのケビン・セラファン、昨年の欧州選手権でガードを務めたサンアントニオ・スパーズのナンド・デ・コロ、NBAで優勝経験のあるインディアナ・ペイサーズのイアン・マヒンミというNBAで活躍する選手がメンバーから外れている。
 したがって、今回のワールドカップに登録された12人の選手のうち、NBAのチームに所属する選手は4人だけになった。主将はサンアントニオ・スパーズに所属するボリス・ディアウである。日本の皆様はよくご存じであろうが、日本で行われた2006年大会も当初はトニー・パーカーが主将を務める予定であったが、負傷のため離脱し、ディアウが主将を務めている。ディアウは昨年の欧州選手権でも主将を務めており、多くの離脱者のいるチームをどのように率いていくのであろうか。(続く)

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