第1787回 デビスカップ、またも準優勝(8) ロジャー・フェデラー、スタニラス・ワウリンカ、ダブルスでも壁となる

 3年前の3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■ガエル・モンフィスの勝利でボルテージの上がるピエール・モーロワ競技場

 最も期待されていたジョー・ウィルフリード・ツォンガがスタニラス・ワウリンカ相手に完敗したが、逆に最も期待されていなかったガエル・モンフィスがロジャー・フェデラーにストレート勝ちして初日を終えたフランス、2日目のシングルスに向けてボルテージは上がる。会場のピエール・モーロワ競技場には前日には若干及ばないものの、27,350人の観客が集まった。前々回の本連載で紹介した通り、スイスはシングルの2人が頼りである。この一角を崩したのがモンフィスとなれば、日曜日のシングルスでも期待できそうである。

■デビスカップで初のペアとなるジュリアン・ベネトーとリシャール・ガスケ

 さて、土曜日のダブルス、フランスはジュリアン・ベネトーとリシャール・ガスケのペア、スイスのペアはマルコ・キュディネリとミカエル・ランマーという予定であった。しかし、デビスカップの場合は試合開始の1時間前までならば変更することができる。
 フランスが予定したベネトーとガスケは、実はデビスカップではペアを組んだことがない。2人がペアを組んだのは昨年春のインディアンウェールズにまでさかのぼらなくてはならない。またサッカーの贔屓のチームとしてはベネトーはマルセイユのファンであり、ガスケはパリサンジェルマンのファンである。この2人は2年前のロンドンオリンピックでは銅メダルを獲得しているが、銀メダルを獲得しているのもフランス人でミカエル・ロドラとツォンガのペアである。ダブルスの名手のロドラがデビスカップチームを去ったことはワールドグループ制になってからのデビスカップ決勝で5勝1敗と大きく勝ち越しているフランスにとっては痛手である。今までデビスカップのダブルスでは5戦全勝のツォンガをベネトーに代えることも考えられるが、初日のシングルス敗退で精神的に落ち込んでいるツォンガには日曜のフェデラー戦で勝利を期待したいところである。フランスのアルノー・クレマン監督は予定通りベネトーとガスケをコートに送り出す。

■危機感を持ったスイスのロジャー・フェデラーとスタニラス・ワウリンカ

 一方のスイスは初日のフェデラーのストレート負けで危機感を持った。スイスのセブラン・ルティ監督はフェデラーとワウリンカを送り込む。シングルスプレーヤーとしては華々しい経歴を誇る2人であるが、ダブルスとなると北京オリンピックの金メダリストとはいえ、最近の実績はない。もちろん、デビスカップでペアを組んだこともあるが、今年の準々決勝ではカザフスタンのペアに敗れている。このシングルスのトップ10プレーヤーのペアはデビスカップのワールドグループでは3戦全敗、プレーオフでは1勝1敗、欧州・アフリカゾーンで1勝、通算で2勝4敗という戦績であり、クレーコートでは2戦していずれも敗れている。

■スイスペアがストレート勝ち、大きな壁となる

 シーズン最終戦とあって、前日のシングルスでもモンフィスに敗れた33歳のフェデラーは多くの負傷を抱えており、フランスペアにとって十分に勝機はあると思われたが、試合展開はスイスのペアが圧倒した。フランスのダブルスの頼みの綱はガスケである。今シーズンも1回戦の豪州戦、準決勝のチェコ戦といずれもツォンガと組んで勝利している。ツォンガが前日の敗戦ならびに負傷を抱えていることからベネトーとのペアとなったが、ダブルスの軸として期待されたガスケが本調子とは程遠い出来であった。
 一方のフェデラーとワウリンカは最近のダブルスでは成果を残していないものの、シングルで世界2位と4位の実力を見せ、第1セットを6-3と先取する。第2セットは競り合いとなったが、5-5から続く2ゲームを連取し、7-5と奪い、セットカウント2-0とリードする。そして第3セットもフェデラーとワウリンカのペアは6-4として、ストレート勝ちを収める。シングルスの両雄がダブルスでもフランスにとっては大きな壁となったのである。(続く)

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