第1913回 欧州勢相手に順調に連勝(2) スコットランドに逆転勝利

 4年前の3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■前半はスコットランドが9-6とリード

 ワールドカップ本大会前最後のスパーリングマッチとなるスコットランドとの一戦、フランスは主将のティエリー・デュソートワールが復帰したものの、そのデュソートワールの反則によって先制されながら、10分にフレデリック・ミシャラクのペナルティゴールで追いついた。
 その後22分にスコットランドがペナルティゴールで勝ち越すと、31分にフランスはミシャラクのペナルティゴールでまた追いつく。ミシャラクにとっては代表での通算400得点となる記念すべきキックとなった。そしてその直後の34分にはウェスレー・フォファナがトライかと思われたが、マチュー・バスタローからのパスがスローフォワード、トライは認められなかった。そして前半終了間際にフランスは早くも8つ目の反則を取られる。スコットランドの名手グレッグ・レイドローが難なく決めて、9-6とスコットランドがリードして折り返す。
 フランスがボールを支配しているものの、スコットランドの規律が取れ、スピードのある守備の前に得点チャンスを作り出せないまま、40分が終わってしまった。

■スコットランドのトライゲッター、トミー・シーモア

 後半開始早々の44分、フランスはミシャラクのペナルティゴールで追いつく。そして58分にフランスはハーフライン付近でペナルティキックを得る。長い距離を蹴るのはスコット・スペディングの出番である。スコット・スぺディングがこのペナルティゴールを決めて、フランスは12-9とようやくこの試合で初めてリードを奪った。そしてさらにフランスはスコットランドをゴール前にくぎ付けにするが、61分にゴール前でボールを奪われ、トミー・シーモアが80メートル走りきり、逆転のトライを許してしまう。シーモアは代表18試合目にして7つ目のトライという高いパフォーマンスを維持している。レイドローのゴールも決まり、フランスは12-16と4点を追う展開となる。

■ノア・ナカイタシのトライで逆転勝利

 スコットランドはスタッド・ド・フランスでは初めて対戦した1999年の5か国対抗では勝利したが、それ以降8連敗中である。連敗を止め、今世紀初めてのスタッド・ド・フランスでの勝利まであと20分弱である。
 試合時間が残り10分となったところでフランスはフォワード戦に集中する。スクラムで押し込み、スタッド・ド・フランスにはラ・マルセイエーズの歌声が響く。スコットランドのフォワードの要、ナンバーエイトのデビッド・デントンは反則を繰り返し、71分にイエローカードが出て、スコットランドは試合の残りを14人で戦わなくてはならなくなった。ここまでスコットランドの規律の取れた守備に苦しんできたフランスがようやく道を開いた。
 相手が数的不利になった73分にはスタンドオフのミシャラクに代えてレミ・タレスを投入する。スター選手のミシャラクとは対照的で、タレスは2部リーグでのプレーが長い苦労人である。すでにスクラムハーフはモルガン・パラがセバスチャン・ティルボルドに代わっていたため、入れ替わったハーフ団でラストスパートをかける。このハーフ団がチャンスを作り、最後はウイングのノア・ナカイタシがフランにとってこの試合最初のトライをあげる。フランスはこれで17-16と逆転、さらにパラがゴールも決めて19-16とする。終了直前のロスタイムにスコットランドはペナルティを得るが、同点を狙わず、逆転トライを狙うが、フランスの守備に阻まれる。フランスはスコットランドの組織的な守備にてこずったものの、辛勝し、ワールドカップ前最後のスパーリングマッチをものにする。

■プールDの5か国で唯一この日勝利したフランス

 フランスの所属するプールDの5か国は9月5日に最後の試合を行っている。初戦で対戦するイタリアはウェールズに19-23と競り負け、第2戦のルーマニアはトンガに14-21と敗れている。第3戦のカナダはフィジーに18-47と大敗、そして最終戦で対戦するアイルランドもイングランドに13-21と負けており、グループDの中でフランスだけがこの日勝利したのである。(続く)

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