第2228回 16年ぶりの優勝目指すデビスカップチーム(3) 12年ぶりの四銃士不在で臨む英国戦

 6年前の東日本大震災、昨年の平成28年熊本地震などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■優勝回数で米豪を追う英国とフランス

 1回戦で日本に3-0と勝利したフランス、2回戦の相手は英国である。デビスカップの歴史を振り返るならば、優勝回数が圧倒的に多いのが米国(32回)と豪州(28回)それに次ぐのが10回の英国と9回のフランスである。グランドスラムがこれらの国で行われているのもうなずける。

■準々決勝でフランスを破った英国が79年ぶりに優勝した2015年

 英国は2015年に優勝したが、1936年以来実に79年ぶりの優勝であった。1991年のフランスの59年ぶりの優勝も話題となったが、それを20年上回る数字であるとともに、優勝回数でも英国が1回リードすることになった。
 長い低迷期を抜けた両国の対戦はこれが22回目となる。すなわち、ほぼ5年に1回のペースで対戦しており、対戦成績はフランスが9勝12敗と負け越している。ドーバー海峡を挟んだ両国の前回の対戦は2015年、ちょうど英国が優勝した年の準々決勝、ロンドンで対戦している。フランスはジル・シモンとジョー・ウィルフリード・ツォンガ、英国はアンディ・マレーとジェームズ・ワードがシングルスに登場した。アンディ・マレーはシングルスで2勝しただけではなく、兄のジェミー・マレーと組んで出場したダブルスでも勝利し、英国が勝利した。

■四銃士すべてが欠場する緊急事態

 前回の対戦が英国で行われたため、今回の対戦はフランスでの開催となる。このところ上位をキープしている両国の対戦とあり、ファンは楽しみにしていたが、思わぬアクシデントがフランスを襲った。準々決勝が行われるのは4月最初の週末である。南半球の全豪オープンの直後に行われる1回戦よりも、上位選手にとっては出場しやすい日程である。しかしながらフランスはこの数年のデビスカップチームを支えてきたツォンガ、シモン、ガエル・モンフィス、リシャール・ガスケという四銃士がすべて欠場となってしまったのである。
 ツォンガは全豪オープンでは4年ぶりに準々決勝に進出し、第4シードのスタニラウ・ワウリンカ(スイス)に敗れたが、幸先の良い1年となるかと思われた。ところが負傷が続くとともに3月には妻の出産に立ち会うためにマイアミオープンを欠場、日本の西岡良仁が繰り上げで出場になったことから日本の皆様は良くご存じであろう。ツォンガはこのため試合と練習から遠ざかり、英国戦を間近に控えた4月初めにヤニック・ノア監督に代表入りの辞退を申し出たのである。
 そしてガスケは盲腸の手術を受けたためメンバーから外れる。2年前の英国戦でアンディ・マレーと壮絶な戦いを繰り広げたシモンは調子を落としており、リストには入らなかった。そしてガスケは様々な負傷が重なっており、予備登録となったが、最終的にメンバー入りしなかった。四銃士がデビスカップチームにいないのは2005年3月のスウェーデン戦以来、実に12年ぶりのことである。また、ダブルスのメンバーで日本を一蹴したピエール・ユーグ・エルベールも負傷してしまい、メンバー入りしなかった。

■フランスのナンバーワンはルカ・プイユ

 結局、フランスの英国戦メンバーはルカ・プイユ、ジェレミー・シャルディ、ニコラ・マユ、ジュリアン・ベネトーとなった。シングルスのナンバーワンはプイユで世界ランキング23位、シャルディがナンバーツーで世界ランキングは86位である。そして近年はダブルスプレーヤーとして世界のトップレベルにあるマユとペアを組むのはベネトー、2年ぶりのデビスカップチーム復帰となる。
 この中で最も注目すべきはシングルスのナンバーワンとなったプイユであろう。昨年デビスカップチーム入りした23歳の若者、これまでのデビスカップの戦績はシングルスで2勝1敗、ATPツアーでの勝利は昨年9月のメッスでのモーゼルオープンだけにすぎない。しかし、2月には世界ランキングを15位まで上昇させ、この時点では堂々の17位である。この緊急事態にナンバーワンとして出場、フランスのテニスの歴史を変える一戦となるのだろうか。(続く)

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