第2232回 16年ぶりの優勝目指すデビスカップチーム(7) 18回目の決勝進出、ベルギーと対戦

 6年前の東日本大震災、昨年の平成28年熊本地震などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■セルビアの選手兼ダブルスプレーヤーのネナド・ジモニッチ

 今年デビスカップ初出場となるジョー・ウィルフリード・ツォンガの勝利でセルビアとのシングルス初日を1勝1敗と乗り切ったフランス、2日目以降はアクセルを踏んで一気に勝負が決まった。
 土曜日のダブルス、フランスは最強ペアのニコラ・マユとピエール・ユーグ・エルベールである。一方のセルビアは監督を務めるネナド・ジモニッチとフィリップ・クライノビッチのペアである。ジモニッチはダブルスプレーヤーとして世界にその名をとどろかせている。これまでに全仏オープンで1回、ウィンブルドンで2回、それぞれ男子ダブルスで優勝し、2008年にはダブルスの世界ランキングで1位に輝いている。またグランドスラムで行われる混合ダブルスでも5回の優勝を飾っている。またかつてはフランスのファブリス・サントロともペアを組み、サーキットで活躍した。デビスカップチームに加わったのは今から22年前の1995年のことであり、当時のユーゴスラビアから現在のセルビアまで、ダブルスの主力メンバーとして活躍し、2008年のワールドグループ復帰以来すべての対戦でダブルスに出場している。これまでのダブルスの戦績は30勝19敗である。2010年の決勝ではビクトル・トロイキと組んで出場したが、アルノー・クレマン、ミカエル・ロドラ組に敗れている。
 そのジモニッチもすでに41歳となったが、今年からは監督として新たな道を歩み始めた。しかし、監督になってもダブルスに試合には出場し、今年は1回戦のチェコ戦、準々決勝のスペイン戦、いずれも勝利している。

■フランスペアが完勝、王手をかける

 大ベテランのジモニッチがクライノビッチと組むのはデビスカップでは今年初めて、昨年の準々決勝の英国戦以来である。
 試合はフランスの一方的な展開となった。ベテランのジモニッチが本調子には程遠く、第1セットを6-1と取ると、第2セットも6-2と連取する。第3セットこそ6-6となりタイブレークとなったが、フランスペアが競り勝ち、ストレートで勝利、王手をかける。

■ジョー・ウィルフリード・ツォンガが勝利し、決勝進出

 ダブルスに勝利して王手をかけて日曜日のあと1勝、というのは7年前の決勝と同じである。ベオグラードでの戦いはナンバーワンの対決でジル・シモンがノバック・ジョコビッチに敗れ、その流れを止められなかった。
 そして金曜日に今季デビスカップ初勝利をあげたツォンガがナンバーワン対決でドゥサン・ラヨビッチと対戦する。第1セットを2-6とツォンガが落とした時、ピエール・モーロワ競技場に集まった1万8000人の観衆の心には不安がよぎったが、第2セットはツォンガが6-2と奪い返す。これでツォンガは波に乗り、第3セットは7-6で競り勝ち、第4セットは6-2と取って勝利する。
 フランスは3年ぶり18回目の決勝に進出したのである。

■ラグビーの日本戦を動かして大観衆のリールでベルギーと決勝戦

 決勝戦の相手は豪州を破った隣国のベルギーである。決勝は11月24日から26日にかけて行われる。フランスのホームで行われ、候補地としては準決勝と同じリールのピエール・モーロワ競技場がまず上がったが、11月25日にはラグビーのフランスと日本のテストマッチが予定されている。フランス代表にとっては今年の最終戦とあり、ファンの関心も高く、すでにチケットが4000枚も販売済みである。
 他の候補地としては開場したばかりのラグビーのラシンパリの新本拠地、ラ・デフォンスのUアリーナがあげられた。
 3年前のスイスとの決勝では3試合で8万人の観客を集めたリールは地元フランスだけではなく、多くのベルギーのファンも期待でき、1日4万人の観客動員が期待できる。フランスだけではなくベルギーのファンにとっても最高の舞台を提供したい。このような検討の末、フランスはリールでの試合を決定し、ラグビーのフランス-日本戦はラ・デフォンスで行われることになったのである。(この項、終わり)

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