第2470回 最下位イタリアに辛勝(2) 笑顔なき最終戦の勝利

 8年前の東日本大震災、3年前の平成28年熊本地震、昨年の平成30年7月豪雨などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■ジャック・ブルネルが去り低迷の続くイタリア

 ここまでフランスはイタリアとの対戦成績はフランスが38勝3敗と大きく勝ち越している。第二次世界大戦前に両国が対戦したのは1回だけ、1950年代から1060年代にかけて両国は毎年4月にテストマッチを行ってきたが、フランスは1度もイタリアに負けることなく、いつのまにか4月のテストマッチは消滅する。しかし、イタリアも力をつけ1997年にフランスに対して初勝利、2000年からは5か国対抗に加わり、6か国対抗となった。イタリアの残る2勝は2011年と2013年のローマでの6か国対抗である。2013年に勝利した時にイタリアの監督を務めていたのがジャック・ブルネルである。ブルネルがイタリア代表監督として6か国対抗に臨んだ5年のうち3年は最下位を脱出している。ブルネルが去った後のイタリアは6か国対抗で最下位続きである。

■イタリアに対し反則を繰り返すフランス

 したがって、フランスが快勝すると多くのファンは期待していた。しかし、結果はともかく内容的にはファンを失望させるものとなった。
 序盤は若いプロップ陣が反則を繰り返す。負傷のジェファーソン・ポワロに代わって入ったエチエンヌ・ファルゴーとデンバ・バンバがコラプシングの反則を取られ、ペナルティゴールをイタリアのトンマーゾ・アランに続けて決められ、6点のリードを許す。自陣での戦いの続くフランスであったが、15分にはキックで攻め込むもドロップアウトとなる。このドロップアウトからのボールをダミアン・プノーがイタリアの選手のタックルを交わして前進、最後はスクラムハーフのアントワン・デュポンにつないでゴール下にトライをあげ、ロマン・エンタマックのゴールも決まり、フランスが逆転する。この得点で元気の出たフランスは19分には相手ボールスクラムのボールを奪い、反則を誘う。ペナルティゴールが決まり、10-6とリードする。しかし、フランスは守勢一方の試合となる。ボールもイタリアに支配され続け、キックでピンチを逃れるしかなく、ボールキャリーの機会は少なく、陣地も自陣に釘づけとなる。1週間前のダブリンでのアイルランド戦の再現であった。

■攻め続けるが運の悪かったイタリア

 しかし、アイルランドとイタリアの違いは自力だけではなく、この日のイタリアには運もなかった。イタリアは攻めに攻め続ける。20分過ぎからはフランスゴール前でフェーズを重ねて連続攻撃、この日のフランスは反則でイタリアの攻撃を止めるしかなかったが、イタリアはショットを狙わず、トライを狙ってタッチキックを続ける。そして23分、フランスの反則によるアドバンテージが与えられる中、左サイドに位置していたアランはゴール下にキックをあげる。フランスの両センターはこの日動きが鈍く、代表初先発となるイタリアのセンター、マルコ・ザノンが楕円球めがけて飛びこむ。しかし、ボールはゴールポストのカバーにあたって思わぬ方向に転がり、ザノンはトライを逃す。アドバンテージで得たペナルティキックからラインアウト、モールを組んでのトライを目指したイタリアであったが、今度はフランスの選手がモールの下に入り、グラウンディングを許さない。フランスゴール前での攻めが続くが得点を挙げることなく、前半が終わる。

■ロマン・エンタマック、希望をつなぐ活躍

 後半早々にはイタリアはペナルティゴールを決め、1点差に迫るが、45分にまたもエンタマックが活躍する。相手ボールをキャッチし、ヨアン・ウジェが3試合連続のトライをあげる。イタリアの初トライは54分、3点差に迫る。エンタマックは19歳とは思えぬ落ち着きで、ドロップゴールを決めるなどスコアに貢献する。
 71分にフランスはシンビンで1人足りなくなる。フランスは守勢一方となり、ザノンがインゴールに飛び込むが、ダミアン・プノーが落球を誘い、トライを許さない。マンオブザマッチはリードされているイタリアのセルジオ・パリッソが選ばれる。その後、プノーが終了間際に右サイドを走り抜けてトライをあげる。
 フランスは25-14というスコアで勝利を挙げたが、内容的には厳しい批判を浴びることになった。優勝はアイルランドに完勝したウェールズ、昨年のアイルランドに続き、第1節でフランスに逆転勝利したチームが2年連続で全勝優勝を遂げたのである。(この項、終わり)

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