第2550回 日本行きの31人のメンバー決定(5) 経験値の少ないメンバーで臨むジャック・ブルネル監督

 8年前の東日本大震災、3年前の平成28年熊本地震、昨年の平成30年7月豪雨などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■9月2日に発表した31人のメンバー

 フランスはワールドカップ前のスパーリングマッチを2勝1敗で終えた。他の主要国は9月最初の週末まで試合を行っていたが、フランスは主要国の中では最も遅く試合を始め、最も早く試合を終えた。これも国内の各クラブのスケジュールを優先してのことであろう。
 6月に31人のメンバーとバックアップメンバー6人を発表したが、その後負傷により3人が入れ替わり、37人のうちの31人を最終メンバーとして9月2日にジャック・ブルネル監督は発表した。
 31人のメンバーであるが、メンバーを紹介するとプロップはジェファーソン・ポワロ、ダンバ・バンバ、ラバ・スリマニ、エメリック・セティアノ、シリーユ・バイユの5人、フッカーはカミーユ・シャ、ギエーム・ギラド、ペアト・モーバカの3人、ロックはポール・ガブリヤーグ、ベルナール・ルルー、セバスチャン・バーマイナ、バックローはグレゴリー・アルドリット、ヤクーバ・カマラ、アルツール・イトゥリア、ベンセラス・ローレ、ルイ・ピカモール、シャルル・オリボンの6人、スクラムハーフはアントワン・デュポン、マキシム・マシュノー、バティスト・サランの3人、スタンドオフはカミーユ・ロペスとロマン・エンタマック、センターはガエル・フィクー、ウェスレイ・フォファナ、ソフィアン・ギトゥン、ビリミ・バカタワの4人、ウイングはヨアン・ウジェ、ダミアン・プノー、アリベルティ・ラカの3人、フルバックはマキシム・メダール、トマ・ラモスの2人、フォワード17人、バックス14人という陣容である。

■8月にチームに加わって選出されたシリーユ・バイユとビリミ・バカタワ

 6月の時点でバックアップメンバーだったのはオリボン、バックアップメンバーにも入っていなかったが日本行きの切符をつかんだのがバイユとバカタワである。バイユはバックアップメンバーのエチエンヌ・ファルグー、バカタワはジョフレイ・ドゥーマイルーの負傷によって夏のメンバー入りし、見事にチケットをつかんだ。
 夏のテストマッチに挑んだ37人のメンバーから外れたのは、プロップのダニー・プリゾ、ロックのフェリックス・ランベイとロマン・タオフィフェヌア、フランカーのフランソワ・クロ、スタンドオフのアントニー・ベロー、ウイングのバンサン・ラッテの6人である。

■スペシャリストよりもポリバレントな選手を選んだフォワード陣

 最大の激戦区とみられていたのがフランカー、ナンバーエイトのバックローであった。ここでブルネル監督は複数ポジションをこなせるポリバレントな選手を重用した。この結果、このポジションで落選したのはクロ1人だけで、7人が当選し、本大会ではバックローだけではなくロックとしても起用される選手がいるであろう。逆にロックは3人しか選出されなかったが、ロックを専門とする選手はガブリヤーグとバーマイナの2人だけとなった。

■経験値の少ないチームをリードするルイ・ピカモール、ギエーム・ギラド、マキシム・メダール

 チームの平均年齢は26歳強であるが、この中で最年長は33歳のピカモールであり、同じ年の主将のギラド、32歳のめだーるとともにチームを支える。最年少は20歳のエンタマックであり、ピカモールとの年齢差は13歳となる。
 そしてワールドカップの際に話題となるのが経験値を表すキャップ数、チーム全体では26となるが最多はピカモールの79キャップ、逆に最少はニースのスコットランド戦で25分間だけ出場したキャップ数1のモーバカである。そして、代表キャップ数が一桁という選手はモーバカを含め9人(セティアノ、バンバ、オリボン、アルドリット、エンタマック、ギトゥン、ラカ、ラモス)もいる。
 またワールドカップ初出場という選手も22人を数えるが、いわゆる点取り屋に経験豊かな選手がいない。最多得点はスタンドオフでキッカーを務めるロペスで158点、イングランドのオーウェン・ファレルは800点以上、アイルランドのジョナサン・セクストンは750点以上、スコットランドのグレイグ・レイドローも700点近くを記録している。
 いずれにせよ、10試合以上出場して勝率が5割を超えるのはメダールだけ、というメンバーでワールドカップに臨むのである。(この項、終わり)

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