第2575回 決勝戦のレフリーを務めるジェローム・ガルセス氏

 平成23年の東日本大震災、平成28年熊本地震、平成30年7月豪雨、この度の台風15号、19号などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■決勝戦のレフリーにジェローム・ガルセス氏、アシスタントレフリーにロマン・ポワト氏

 ラグビーワールドカップはフランスが準々決勝で姿を消し、結局新聞の一面にラグビーのワールドカップが掲載されることはなかった。ワールドカップ期間中も国内リーグ戦であるTOP14がマスメディアで華々しく取り上げられる一方で、代表チームのプレゼンスは低く、自国開催となる2023年大会に向けた取り組みがフィールドの内外で必要であろう。
 その中でうれしいニュースが飛び込んできた。決勝戦のレフリーをフランス人のジェローム・ガルセス氏が務めることになったのである。9回目の大会にして初めてフランス人がレフリーを務める。またアシスタントレフリーをフランス人のロマン・ポワト氏がニュージーランドのベン・オキーフ氏とともに務める。なおテレビマッチオフィシャルはニュージーランドのベン・スキーン氏である。

■華々しい経歴のガルセス氏のラストゲーム

 ガルセス氏は45歳、現役時代はウイングであり2006年にTOP14の試合のレフリーにデビューする。2010年からプロの審判となる。ワールドカップには前回大会にも出場、日本の皆様であれば予選プールの南アフリカ戦のレフリーを務めたことからよくご存じであろう。それ以外にも予選プールのイングランド-ウェールズ戦、アイルランド-アルゼンチン戦というティア1同士の試合の笛を吹き、準々決勝のアルゼンチン-アイルランド戦、準決勝のニュージーランド-南アフリカ戦でも活躍している。また南半球のラグビーチャンピオンシップでも重要な試合を裁くことを任され、今年8月10日にはニュージーランドと豪州の試合のレフリーを務めている。
 今回のワールドカップを最後に引退することを表明しているが、今年6月15日にスタッド・ド・フランスで行われたTOP14の決勝戦のトゥールーズ-クレルモン戦、5月11日にイングランドのニューカッスルのセントジェームズパークで行われた欧州チャンピオンズカップの決勝のサラセンズ(イングランド)-レンスター(アイルランド)戦という2つのファイナルのレフリーを務め、欧州を代表するレフリーであり、今年3回目のファイナルの決勝である。今年2回の決勝に出場した選手でワールドカップの決勝にも出場する予定の選手はイングランドはサラセンズからマコ・ブニポラ、ジェイミー・ジョージ、ジョージ・クルーズ、マロ・イトジェ、ビリー・ブニポラ、オーウェン・ファレル、南アフリカにはサラセンズのビンセント・コッホとトゥールーズのチェスリン・コルビがおり、ガルセス氏の笛を熟知した選手がそろっている。

■レフリー大国フランスから4人のレフリー

 決勝戦はイングランドと南アフリカで争われるため、決勝戦に残らなかった国から主審をはじめとする審判団が構成されるため、ファイナリストになれなかった国から審判が選出されるが、フランスは審判大国なのである。
 今大会にはレフリーとして12人が選出されているが、その中でフランス勢は最多の4人である。ガルセス氏、ポワト氏の他にパスカル・ゴーゼル氏、マチュー・レイナル氏が選ばれている。

■予選プールで活躍したパスカル・ゴーゼル氏とマチュー・レイナル氏

 ガルセス氏は今大会は予選プールでアイルランド-ロシア、ニュージーランド-南アフリカ、ウェールズ-フィジー、準々決勝のイングランド-豪州、準決勝の南アフリカ-ウェールズのレフリーを務め、ポワト氏は予選プールのロシア-サモア、ウェールズ-豪州、ニュージーランド-カナダのレフリーを務め、決勝トーナメントではアシスタントレフリーを務めてきた。ゴーゼル氏は予選プールのウルグアイ-フィジー、豪州-ジョージア、スコットランド-サモア、ニュージーランド-ナミビア、レイナル氏は予選プールの豪州-ウルグアイ、南アフリカ-ナミビアのレフリーを務めており、まさにこの大会の審判団を支えているのはフランス人なのである。
 最後に世界で最も有名なラグビーのレフリーとして意外なフランス人を紹介しよう。近代オリンピックの提唱者のピエール・ド・クーベルタンである。クーベルタンはラグビーのレフリーを務めていた。
 最後の笛を吹くガルセス氏はどのようなレフリングをするのであろうか、キックオフが待ち遠しい。(この項、終わり)

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