第2805回 スコットランドに惜敗、優勝ならず(2) ラストプレーで逆転負けしたフランス

 平成23年の東日本大震災、平成28年熊本地震、平成30年7月豪雨、台風15号、19号、令和2年7月豪雨などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■近年Bクラスが多いフランスとスコットランドが主役

 無人のスタッド・ド・フランスで今年の最後の6か国対抗、フランス-スコットランド戦が行われた。フランスはスコットランドに勝利し、4トライ以上、21点差つければ、11年ぶりの優勝となる。一方のスコットランドは、現時点で2位であるが、勝利すればアイルランド、フランスに勝ち点で並び、ボーナスポイントの獲得状況、得失点差によっては2位までの可能性がある。スコットランドが2位になれば2000年にイタリアが加わって6か国対抗となってからは最高の成績となる。
 2010年代以降はフランスとスコットランドはBクラスを占めることが多かったが、久しぶりに両国が注目を集めることになった。

■スコットランドが逆転、リードを広げる

 試合は遠来のスコットランド、紺のジャージーのキックオフで始まった。スチュアート・ホッジのキックを白いユニフォームのフランスの主将シャルル・オリボンがキャッチする。先制点を取って、大量点につなげたいフランスであったが、序盤はスコットランドに攻め込まれる。しかし、この劣勢を救ったのがフランスのスクラムであった。8分のファーストスクラムでフランスはスコットランドの反則を誘引する。さらにスコットランドはオフサイドの反則を犯し、ゴール前10メートルの地点からロマン・エンタマックが先制のペナルティゴールを決める。
 ところが15分にこの試合最初のトライを決めたのはスコットランドであった。スコットランドのウイング、ドゥーハン・ファン・デル・メルバがタックルされながら力でねじ伏せてトライをあげる。ファン・デル・メルバは今年の6か国対抗で4本目のトライ、イングランドのアンソニー・ワトソン、ウェールズのルイス・リース・ザミットとトライ王争いでトップに並ぶ。そしてフィン・ラッセルのコンバージョンも決まり、7-3と逆転する。勢いづいたスコットランドはその直後のスクラムでフランスを圧倒する。フランスのフルバックのブリス・デュランは孤立し、ノットリリースザボールの反則を取られる。スコットランドは15メートルの位置からラッセルがペナルティゴールを決めて10-3と引き離す。

■エンジンのかかったフランス、逆転してハーフタイムを迎える

 フランスがようやく詰め寄ったのは28分であった。スクラムで得たペナルティをハーフライン付近からエンタマックが決めて4点差とする。ようやくフランスがここから攻撃のリズムをつかんだようで36分にフランスは初めてのトライをあげた。スクラムからアルドリット、アントワン・デュポンとつなぎ、右に展開してダミアン・プノーがゴール前まで迫ったがタックルを受ける。そこを内側からフォローしたデュランに返し、デュランがトライを決めてフランスが逆転する。エンタマックのゴールも決まり、13-10として残りの44分に希望をつなぐ。この逆転で勢いづいたフランスは連続攻撃を仕掛け、再びスコットランドの22メートルラインの内側に攻め込む。ここでスコットランドはフルバックのホッジが密集に横から入り、反則を取られる。しかもこれが同じ反則の繰り返しということで守備の要は10分間の一時退場となり、試合はハーフタイムとなる。
 数的優位に立つフランスは後半に入っても攻め続け、46分にはプノーがキックも使ってロングゲインして右隅にトライ、エンタマックのコンバージョンは失敗したものの、18-10とし、残りトライ2本でボーナスポイントであり、13年ぶりのスコットランド戦での21点差以上の勝利に近づいた。

■逆転トライでトライ王となったドゥーハン・ファン・デル・メルバ

 数的不利の中で追いすがるスコットランドはラッセルがドロップゴールを狙うが失敗、ただし、10分間での失点を1トライのみに押さえ、ホッジが復帰する。人数のそろったスコットランドは53分にペナルティゴールで3点を返し、なおもフランスゴール前に迫る。61分にはデーブ・チェリーのトライで同点、コンバートが成功し、20-18と逆転した。
 フランスは66分にスワン・レバジがこの試合チーム3本目となるトライで逆転し、エンタマックのゴールが決まるが23-20とわずか3点差。残り14分で1トライと18点が必要である。
 そして残り10分を切った71分、スコットランドのラッセルがラフプレーで退場、フランスは優位となる。しかし、フランスのその直後に投入したバティスト・サランがイエローカード、この試合は14人ずつで試合終了を迎えることになる。優勝には届かなくとも勝利を願ったフランスであるが、スコットランドはラストプレーで20フェーズを重ね、バン・デル・メルバがトライしてトライ王を確定、ゴールも決まる。フランスは23-27と敗れ、2位に終わったのである。(この項、終わり)

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