第3031回 ラグビーフランス代表、4回目の訪日(1) 10か月にわたるシーズンの後に行われる日本遠征

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■4回目の訪日となるフランス代表

 来年の秋には自国開催となるワールドカップを控え、今年の6か国対抗で代表が優勝、欧州チャンピオンズカップではラロッシェルが優勝と勢いに乗るフランスのラグビー、今夏のテストマッチは恒例の南半球遠征ではなく、日本を訪問した。
 フランス代表は1978年9月と1984年10月に日本を訪問し、2019年9月から10月にかけてはワールドカップに出場しており、これが4回目の訪日である。7月2日には豊田、9日には国立競技場で日本代表と対戦する。

■テストマッチと認定された1973年のボルドーでの初対決

 フランスと日本の代表同士の試合の歴史は1973年にさかのぼる。1973年秋に日本代表はウェールズ、イングランド、フランスの3か国を遠征、11試合を行い、その最終戦がボルドーでのフランス代表戦であった。日本はフランス国内で各地区選抜との試合を3試合行い、1勝2敗という成績から、ボルドーのシャバン・デルマス競技場には4万人の観衆が集まった。試合は日本に先行され、7-10とリードを許して折り返したが、最終的には30-18と逆転勝利をあげている。実はこの試合は数少ない欧州勢の日本戦のテストマッチ認定試合である。
 その後フランスは日本遠征を1978年(日本代表と1試合)と1984年(2試合)に挙行、日本もフランス遠征を1980年(フランス代表戦を1試合)と1985年(2試合)行い、代表同士が6回対戦しているが、これらはフランス側ではテストマッチと認定されていない。その後、フランス側でテストマッチと認められる日本戦は2003年のワールドカップ豪州大会まで待たなくてはならない。2011年のニュージーランドでのワールドカップでも両国が対戦している。

■テストマッチと認定され、ギ・ノベス監督の退任につながった2017年11月の対戦

 そしてワールドカップ以外での2回目のテストマッチとなったのが、2017年11月のナンテールのUアリーナでの試合である。この試合は当初、リールのピエール・モーロワ競技場で開催する予定であったが、テニスのデビスカップに使用するために会場を変更し、オープンしたばかりのUアリーナでの初めてのラグビーの試合となった。この試合については本連載の第2288回と第2289回で紹介したが、パワーに優る日本がフランスを圧倒し、23-23で引き分けている。この試合の結果を受けて、フランスは代表監督のギ・ノベスが退任することとなった。
 来年の2023年のワールドカップでは優勝候補の一角にも挙げられる日本の胸を借りるべく、フランスは夏の遠征は南半球ではなく、日本を選択し、今秋のテストマッチも豪州、南アフリカ、日本の順に対戦し、最終戦に日本戦を配している。これは自国開催で初優勝を狙うフランスにとって、日本が越えなくてはならない高い壁であると認識していることの表れであろう。

■9月から始まり、6月下旬まで続く、長いシーズンの後の日本遠征

 欧州の他の強豪の今夏の状況であるが、イングランドは豪州、アイルランドはニュージーランド、ウェールズは南アフリカ、スコットランドはアルゼンチンに7月に遠征し、それぞれ2試合を行う。それ以外にイングランドはフランス代表を多数含むバーバリアンズと6月に試合を行う。
 例年に比べて夏の代表の試合数が少ないが、その理由はシーズンの長期化がある。例えばフランスの場合は、9月4日にシーズンが開幕し、最終戦の第26節は6月5日に行われ、レギュラーシーズンだけで9か月間も戦い続ける。そして11月には秋のテストマッチ、2月から3月にかけては6か国対抗がシーズンと並行して行われる。また、TOP14の上位半数のチームは欧州チャンピオンズカップも戦うことになる。そしてレギュラーシーズンの終了後、14チーム中6チームはプレーオフを戦うことになり、最後の決勝戦は6月24日に行われる。これで7月に代表チームで遠征するとなると選手のシーズンオフは1月余りとなる。各選手の負担軽減の調整弁となるのが代表戦であり、シーズン終了前の6月20日に発表された日本遠征のメンバーは多くの驚きを与えたのである。(続く)

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