第3035回 ラグビーフランス代表、4回目の訪日(5) 第1テストマッチとほとんど同じメンバーで臨むフランス

 平成23年の東日本大震災、平成28年熊本地震、平成30年7月豪雨、台風15号、19号、令和2年7月豪雨などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■欧州勢が南半球で次々と敗れた7月第1週

 7月2日に豊田で行われた日本との第1テストマッチは、前半はタイスコアで折り返し、後半に突き放してフランスが42-23と勝利をあげることができた。この週末にフランスのライバルチームは試合を行っている。いずれも欧州勢と南半球勢の対戦であり、ニュージーランドはアイルランドを42-19、豪州はイングランドを30-28、南アフリカはウェールズを32-29、アルゼンチンはスコットランドを26-18と南半球勢がホームで欧州勢を下している。
 欧州勢では唯一勝利した世界ランキング2位のフランスであったが、世界ランキング3位のニュージーランドがアイルランドに点差をつけて勝利しているため、ニュージーランドがフランスを抜いて2位に浮上し、フランスは3位に後退している。

■1人だけ先発メンバーを交代したフランス

 世界ランキングはさておき、経験のある選手、今春の6か国対抗優勝メンバーを揃えて臨んだ第1テストマッチで勝利し、第2テストマッチもほとんど同じメンバーである。第2テストマッチの先発メンバーを紹介するとFW第一列はジャン・バティスト・グロ、ペアト・モーバカ、デンバ・バンバ、第二列はチボー・フラマンとトマ・ジョルムス、フランカーは左にシャルル・オリボン、右にディラン・クレタン、ナンバーエイトはヨアン・タンガである。バックス陣はスクラムハーフにマキシム・ルク、スタンドオフはマチュー・ジャリベールというコンビで臨む。スリークォーターバックスは左からマティス・ルベル、ヨラム・モエファナ、ビリミ・バカタワ、ダミアン・プノー、フルバックにはマックス・スプリングである。メンバーの変更はフルバックをメルバン・ジャミネからスプリングに変えただけであり、リザーブのメンバーも1人しか変更していない。

■メルバン・ジャミネに代わって入ったマックス・スプリング

 スプリングはラシン92所属の21歳の選手である。174センチと小柄なスプリングは、6月の時点でバーバリアンズのメンバーに選出されていたが、新型コロナウイルスの陽性反応が出て、一時期チームから離脱したこともあって第1戦はメンバーから外れていた。先発メンバーの中では最年少であり、この試合でフランス代表にデビューする。第1テストマッチで代表にデビューしたジョルメス、ラシンのチームメイトのタンガの2人はその活躍が認められて第2戦も先発として起用されており、スプリングもその期待に応えたい。
 一方、メンバーから外れたのがジャミネである。昨年7月7日の豪州戦で代表にデビューして以来、ほぼフル出場し、12キャップまで重ねたジャミネがメンバーから外れることになった。ジャミネがここまで代表で活躍できたのは、所属しているペルピニャンがリーグ戦では低迷し、シーズン中の欧州チャンピオンズカップにも、ポストシーズンのプレーオフにも出場していなかったからである。スプリングの所属するラシン92は強豪であり、いずれも出場している。代表のメンバーに入った時には制約のかかるチームに所属しているスプリングは代表デビュー戦で印象に残るプレーを見せたいところである。

■要注意の日本のロック陣とベテランのインパクトプレーヤー

 対する日本は先発だけで4人を入れ替えてきた。特にロック陣は2メートル1センチのワーナー・ディアンズと2メートル3センチのサナイラ・ワクァという長身の選手をそろえてきた。高さと重さで劣るフランスは何とか活路を見出したいところである。
 新型コロナウイルスの影響を受けたのはフランスだけではない。日本も新型コロナウイルスの影響で第1テストマッチではメンバーから外れた齋藤直人がスクラムハーフに入り、堀江翔太がリザーブメンバーに入る。ウルグアイ戦で活躍した山沢拓也が新型コロナウイルスの影響でメンバーから外れて田村優が追加招集され、リザーブに控える。経験のあるインパクトプレーヤーの加入により、第1テストマッチのように後半に簡単に突き放すことは難しくなるであろう、という予想通りの展開になったのである。(続く)

このページのTOPへ