第3034回 ラグビーフランス代表、4回目の訪日(4) 後半に突き放して勝利をあげた第1テストマッチ

 平成23年の東日本大震災、平成28年熊本地震、平成30年7月豪雨、台風15号、19号、令和2年7月豪雨などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■経験のある選手を送り出した第1テストマッチ

 7月2日、日本時間で15時、フランスと日本の第1テストマッチがキックオフされた。フランス時間では朝の8時キックオフとなる。夏の南半球でのテストマッチは通常は現地で夜、欧州では昼過ぎにキックオフされるが、今回は異例の時間にキックオフされることもあり、猛暑の中で選手の安全を確保するために、10分ごとに給水が行われる。
 フランス代表の先発メンバーは以下のとおりである。FW第一列はジャン・バティスト・グロ、ペアト・モーバカ、デンバ・バンバ、第二列はチボー・フラマンとトマ・ジョルムス、フランカーは左にシャルル・オリボン、右にディラン・クレタン、ナンバーエイトはヨアン・タンガである。バックス陣はスクラムハーフにマキシム・ルク、スタンドオフはマチュー・ジャリベールというコンビで臨む。スリークォーターバックスは左からマティス・ルベル、ヨラム・モエファナ、ビリミ・バカタワ、ダミアン・プノー、フルバックにはメルバン・ジャミネが入る。主将を務めるのは負傷から戻ってきたオリボンである。これまでの代表出場歴が多い選手を先発させ、今春の6か国対抗に出場した10人の選手はすべて先発に名を連ねている。

■先発の中で初キャップは2人

 一方、初キャップとなるのはジョルムス、タンガの2人である。最もキャップ数が多いのはプノー、この試合が代表33試合目となる。キャップ数が二桁となるのはグロ、モーバカ、バンバの第一列、オリボンとクレタンのフランカー陣、スタンドオフのジャリベール、センターのバカタワ、ウイングのプノー、フルバックのジャミネのみであり、経験不足は否めない。5年前のナンテールでの日本戦に出場したのはプノーだけである。

■同点で折り返した前半

 気温34度という条件下、ジャリベールのキックオフで試合が始まり、開始早々、フランスはゴール前正面10メートルという好位置でマイボールのスクラム、ルクが右サイドに展開、ジャリベールからパスを受けたプノーが3分にトライをあげる。ジャミネのゴールも決まって7-0と先行した。
 再開後、フランスは自陣40メートルの位置で反則を犯し、日本にペナルティが与えられる。キッカーは前週のウルグアイ戦で代表にデビューしたばかりの李承信、難なく決めて3点を返す。日本は立ち上がりの状況を修正し、14分にはフランスゴール前で連続攻撃を仕掛ける。最後は米領サモア出身のテビタ・タタフがフランスの選手を振り切って中央にトライをあげる。パワーと高さに優る日本に逆転を許し、ゴールも決まって7-10となる。18分には日本が反則、ジャミネがまず同点に追いつくキックを成功させる。24分にはハーフウエーライン付近でバンバがオフサイドの反則、難しい距離のペナルティキックを李が決めて日本が勝ち越す。29分にフランスはジャミネが25メートルのペナルティゴールを決めて同点に追いつく。その直後に、日本はハーフウエーラインからペナルティゴールを狙うが、勝ち越しは出来ず、13-13のまま後半に入る。

■後半に入って突き放したフランス

 後半に入ってギアをあげたのはフランスであった。フランスは日本よりも早く選手交代に着手する。45分にはこの試合が代表3試合目となるルベルが代表初トライをあげて勝ち越す(ゴール成功)。その後はペナルティゴールを双方が1本ずつ決め、フランスは58分にはラインアウトから展開し、プノーのこの日2本目のトライ(ゴール成功)で30-16と差を広げる。61分にはモエファナがジャリベールからパスを受け、日本のディフェンス陣をかわしながらトライをあげる。名手ジャミネは初めてコンバートを失敗する。68分には後半に出場したフッカーのピエール・ブルガリがトライをあげ、ジャミネのキックも決まって42-16と大差がつく。
 日本はホーンが鳴ってからのラストプレー、意地のトライをトンガ出身のシオサイア・フィフィタがあげ、李のゴールも決まって、42-23と言うスコアで第1戦を終えたのである。(続く)

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