第3158回 優勝に望みをつないだフランス (1) 3戦目もほぼ同じ先発メンバーのフランス
平成23年の東日本大震災、平成28年熊本地震、平成30年7月豪雨、台風15号、19号、令和2年7月豪雨などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。
■14で連勝記録がストップしたフランス
秋に自国開催のワールドカップを控えて6か国対抗に臨んだラグビーフランス代表。初戦はイタリアに勝利して一昨年夏からの連勝記録を14に伸ばしたが、第2節では世界ランキング1位のアイルランドとアウエーで対戦、19-32で敗れ、連勝がストップし、6か国対抗になってから初めての2年連続グランドスラムも達成することができなかった。
今年の6か国対抗は世界ランキングで上位2つを占めるアイルランドとフランスが優勝争いの軸であると予想されたが、下位が指定席だったスコットランドとイタリアの充実ぶりは目を見張るものがある。イタリアは連敗ではあったものの、開幕戦ではフランスから終盤にリードを奪うシーンもあり、侮れない存在である。そしてスコットランドは第1節でイングランドに勝利、第2節でもウェールズに35-7と大勝し、イングランド戦の3年連続勝利はフロックではないことを示した。第2節を終えた時点で連勝したのがアイルランドとスコットランド、1勝1敗がイングランドとフランス、連敗がイタリアとウェールズとなり、フランスは第2集団になった。
■第3節の相手は、連勝スタートのスコットランド
フランスは第3節で今年初めてのホームゲームを戦うが、その相手が連勝スタートしたスコットランドである。
これが両国の100回目の対戦となる。これまでの対戦成績はフランスの57勝3分39敗であり、昨年はマレーフィールドで対戦したが、フランスは6トライをあげ、37-16と大勝している。過去の戦績、特に近年はフランスが大きく勝ち越しているが、今年のスコットランドは手ごわい。特に後半に強く、イングランド戦は逆転勝ち、ウェールズ戦は後半に突き放している。一方のフランスは逆に前半に得点を重ねている。
■負傷した右プロップ以外は第1節から不動の先発メンバー
両チームとも2週間ぶりの試合となるが、フランスは気を取り直して逆転優勝、スコットランドは6か国対抗となってからの初めての優勝に一気に進みたいところである。フランスの先発メンバーであるが、FW第一列はシリーユ・バイユ、ジュリアン・マルシャン、モハメド・アウア、ロック陣はチボー・フラマンとポール・ウィレムス、フランカーはアントニー・ジェロンチとシャルル・オリボン、ナンバーエイトはグレゴリー・アルドリット、ハーフ団は主将のアントワン・デュポンとロマン・エンタマック、スリークォーターバックスは左からエタン・デュモルティエ、ヨラム・モエファナ、ガエル・フィクー、ダミアン・プノー、フルバックはトマ・ラモスというメンバーである。
右プロップのウイニ・アトニオはアイルランド戦でシンビンとなり、3週間出場停止となる。これまでの2試合ではメンバー外だったアウアが先発した。2年ぶりの先発となるアウアはこのゲームを左右することになる。アイルランド戦は地力の違いを見せつけられた感のあるフランスであるが、出場停止者の出た右プロップ以外は第1戦から連続して先発を固め、ファビアン・ガルティエ監督の強い意志が伝わってくる。
■ジョージア人の主審、ニカ・アマシュケリ氏
遠来のスコットランドは紺のファーストジャージ、ホームのフランスは白いセカンドジャージを着用する。主審はジョージアのニカ・アマシュケリ氏である。選手としては17歳以下と19歳以下のジョージア代表の経験があるが、若くして審判の道を選んだ。年齢はまだ28歳、選手とはほとんど変わらない若さである。
日本代表の試合の主審を務めたこともあることから日本の皆様はよくご存じであろう。そして昨年、6か国対抗の試合の主審を務め、アイルランド-イタリア戦で6か国対抗の主審にデビューした。旧インターナショナルボード以外の国から初めて6か国対抗の主審となったのである。
コイントスに勝ったスコットランドのキックオフで試合が始まった。スチュワート・ホッグが深く蹴ったボールをゴール前でジェロンチがキャッチ、デュポンが蹴りだし、スコットランドはラインアウトで最初の攻撃を仕掛けたのである。(続く)