第3159回 優勝に望みをつないだフランス (2) スコットランドにボーナスポイント付きで勝利

 平成23年の東日本大震災、平成28年熊本地震、平成30年7月豪雨、台風15号、19号、令和2年7月豪雨などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■先制トライをあげたフランス

 アイルランドとの頂上決戦に敗れたが、優勝戦線に踏みとどまろうとするフランス、2週間ぶりの試合となるが、アイルランド戦の心身に影響する疲労が残っていないかが気がかりである。特に対戦相手のスコットランドはフィットネスに長け、後半の得点力がある。
 そのような心配の中でキックオフを迎えたが、先制点は5分のフランス、フェーズを重ねてスコットランドのゴール前に攻め込み、アントワン・デュポンが楽から左右にボールを出して、スコットランドのディフェンスを翻弄、最後は簡単にロマン・エンタマックが左中間にトライを決めた。トマ・ラモスのゴールも決まって7-0とフランスがリードした

■序盤に両チームに退場者

 試合が落ち着いていない中で簡単にトライを奪われたスコットランド、その直後の6分、ロックのグラント・ギルクリストがアントニー・ジェロンチに対してバインドしていない状態での危険なタックル、ここでジョージア人の主審ニカ・アマシュケリ氏はレッドカードを出す。スコットランドは14人で戦うことになった。また、危険なタックルを受けたジェロンチは肩を痛め、試合を続行することができず、前週は所属クラブでTOP14の試合を戦ったばかりのフランソワ・クロが出場する。フランスはアントワン・デュポンが右サイドを駆け上がり、左に展開する。数的優位なフランスは左ウイングのエタン・デュモルティエまでつなぎ、ドゥーハン・ファン・デル・メルバと一対一になったが、かわして左隅にトライをあげる。コンバージョンは失敗したが、一方的な試合になる予感がする。スコットランドは早くもロックのハミッシュ・ワトソンをベンチに下げ、ジョニー・グレイを投入する。
 しかし、12分、今度はモハメド・アウアがベン・ホワイトに対して危険なタックルで、レッドカード、フランスも14人となる。アウアは3年前のスコットランド戦でも退場処分を受け、2回目の退場処分を受けた最初の選手となった。また、両チームから退場者が出たのも2014年のフランス-イタリア戦以来、6か国対抗の歴史の中で2回目となった。フランスもナンバーエイトのグレゴリー・アルドリットを下げて、右プロップのシリピ・ファラテアを投入する。

■トライを重ねたフランスが前半はリードして折り返す

 14人同士の戦いとなり、スコットランドはフランスのゴール前まで攻めこみ、ラインアウトからの攻撃でマット・ファーガソンがトライかと思われたが、ノックオンでノートライ、なおも攻め続けるスコットランドであったが、右サイドに展開したパスをラモスがインターセプト、そのまま長距離を走り切り、トライ、ゴールも決まって開始19分で19-0と差がついた。
 しかしスコットランドは24分にファン・デル・メルバが右隅にトライをしたが、その直前にタッチでノートライ、ようやく得点をあげたのは26分、ラインアウトから攻め込み、バックスに展開し、センターのヒュー・ジョーンズが初トライをあげた。ゴールも決まって7-19となる。試合の流れがスコットランドに傾きそうなところ、フランスはペナルティゴールを決めて22-7としてハーフタイムを迎えた。

■スコットランドの追い上げをかわしてボーナスポイントを獲得したフランス

 後半に入ると戦前の予想通り、スコットランドのペースとなる。48分にはフランスをゴール前にくぎ付けにし、ジョーンズがパワーで2本目のトライ、ゴールも決まり8点差に迫る。逃げ切りたいフランスはペナルティゴールで得点差を付けるが、68分にはスコットランドはフランスゴール前の右隅のスクラムから左に展開、フルバックのフィン・ラッセルのトライ、自らがゴールも決めて21-25と4点差に迫る。
 試合の流れはスコットランドであったが、フランスは耐え忍び、試合終了間際には敵陣に攻め込む。フランスは、時間を使ってリードを守り切る考えもあったが、ボーナスポイントを獲得する4トライ目を狙う。見事にその狙い通りに最後はガエル・フィクーがトライをあげ、ラモスのゴールも決まって、32-21で勝利、ボーナスポイントも加えてスコットランド、イングランドと並んで勝ち点10で2位グループの座をキープしたのである。(この項、終わり)

このページのTOPへ