第3167回 フランス、イングランドに記録的な圧勝 (1) トゥイッケナムで勝てないフランス

 平成23年の東日本大震災、平成28年熊本地震、平成30年7月豪雨、台風15号、19号、令和2年7月豪雨などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■首位アイルランドを追う、スコットランド、イングランド、フランス

 ワールドカップイヤーの6か国対抗、地元開催での初優勝を目指すフランスは、第2戦でアイルランドに敗れ、連勝記録が14でストップしたものの、第3節では連勝スタートを切ったスコットランドに勝利して、優勝の望みをつないだ。
 第3節を終えた時点の成績を紹介しよう。首位は3連勝のアイルランド、3戦ともボーナスポイント付きの勝利で勝ち点は15である。そしてフランスはスコットランド、イングランドとともに2勝1敗であり、この3チームはボーナスポイントを2ポイントずつ獲得しているので、勝ち点10で並ぶ。順位は得失点差の争いとなり、+23のスコットランドが2位、+21のイングランドが3位、+3のフランスが4位となっている。そしてこの時点で勝利がないのがイタリアとウェールズである。ただし、イタリアはフランス戦で24-29と健闘し、敗れながらもボーナスポイントを獲得し、勝ち点がないウェールズを押さえて5位になっている。

■優勝争いへのサバイバルゲームとなる第4節

 アイルランドが一歩リードしているが、2位グループの3チームにも優勝の可能性は十分残っている。そして第4節は3月11日の午後にイタリア-ウェールズ戦という未勝利戦で始まり、同日夕方には、イングランド-フランス戦、日曜日の3月12日の午後にはスコットランド-アイルランド戦が行われる。
 イングランド-フランス戦は首位を窺うラストチャンスへのサバイバルゲームとなる。そしてこれは前節でフランスに敗れたスコットランドも同様で、アイルランドとの直接対決に勝利すれば、まだ優勝の可能性がある。一方、アイルランドがスコットランドに勝利するようだと、イングランド-フランス戦の勝者も優勝はかなり厳しくなる。
 まず、開幕戦でフランスを追いつめ、今大会の台風の目と言ってもよいイタリアであったが、頼みのフルバックのアンジェ・カプオッツォが欠場してしまう。今大会では元気のないウェールズ相手に勝利も期待されたが、エース不在を補うことができず、また、イエローカードによるシンビンを2回命ぜられ、ペナルティトライを含む4トライを奪われてしまう。ウェールズはベテランのスクラムハーフのリース・ウェッブの活躍で29-17とうれしい初勝利をあげた。

■成績不振で監督が交代したイングランド

 そして、注目カードのイングランド-フランス戦、フランスではクランチと呼ばれ、特別な感情を持って選手もファンも立ち向かう。これまでの109回対戦し、イングランドが60勝、フランスが42勝、7つの引き分け(2019年に日本で行われたワールドカップで台風のため試合が中止になり記録上は0-0の引き分けとなった試合はカウントしない)である。今世紀に入ってからはイングランドが18勝、フランスが14勝であり、イングランドがやや優勢であるが、グランドスラムを達成した昨年はフランスが25-13と快勝している。
 そのイングランドは昨年の6か国対抗では2勝3敗と負け越して3位、そして夏は豪州に遠征して2勝1敗と勝ち越したものの、秋のテストマッチではアルゼンチンに敗れ、日本に勝利し、ニュージーランドと引き分けたものの、最終戦では南アフリカに敗れている。2022年の年間成績は5勝1分6敗、12月にはエディ・ジョーンズ監督を解任し、スティーブ・ボーズウィック体制となったが、デビュー戦となった6か国対抗ではスコットランドに敗れるスタート、前節のウェールズ戦に勝利したが、決して良い状態ではない。

■2007年以来トゥイッケナムで勝てないフランス

 ただし、フランスはトゥイッケナムで長く勝利から遠ざかっている。今世紀にフランスがイングランド相手に記録した14勝のうち、トゥイッケナムでの勝利は2回だけ、2005年2月14日の6か国対抗での18-17と2007年8月11日に行われたフランスワールドカップ前のテストマッチでの21-15だけである。6か国対抗についてはそれ以来8連敗である。それ以外には2015年8月15日のワールドカップイングランド大会前のテストマッチ、新型コロナウイルスの感染拡大によって臨時的に行われたオータムネーションズカップの決勝の2試合もフランスはトゥイッケナムで敗れている。今世紀のイングランドのクランチでの18勝のうち13勝がトゥイッケナムでの勝利なのである。(続く)

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