第3267回 2大会連続で準々決勝敗退(1) 準々決勝の相手はプールB2位の南アフリカ

 平成23年の東日本大震災、平成28年熊本地震、平成30年7月豪雨、台風15号、19号、令和2年7月豪雨などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■20年ぶりに予選プールを首位で突破したフランス

 前回までの本連載で紹介した通り、フランスは予選プール最終戦でイタリアに記録的大勝、プールAを首位で通過した。フランスが予選プールを首位で通過するのは2003年大会以来のことであり、実に20年ぶりのこととなる。台風の影響でイングランド戦が中止となって引き分け扱いとなり、得失点差でイングランドに首位を譲った前回の2019年大会以外は、フランスは予選プールで必ず1敗(2007年:アルゼンチン、2011年:ニュージーランド、2015年:アイルランド)していた。

■プールAとプールBに集中した優勝候補

 決勝トーナメントの準々決勝の相手はプールBの2位、南アフリカである。今大会は組み合わせのタイミングが早く、さらに前回のラグビーワールドカップの終了した時点での世界ランキングをもとにプール分けがなされた。その後の勢力図の変動もあり、今大会開幕時点での世界ランキング1位から5位までがプールA(3位フランス、4位ニュージーランド)とプールB(1位アイルランド、2位南アフリカ、5位スコットランド)に集中することになった。
 開幕戦のフランス-ニュージーランド戦と並んで今大会の予選プール注目のカードとなったアイルランド-南アフリカ戦はアイルランドが13-8と制す。前回はプール敗退からの雪辱を期すスコットランドに対して、アイルランドも南アフリカも勝利し、アイルランドが首位突破、フランスの相手は2位突破の南アフリカとなる。

■サンドニとマルセイユのみで行われる決勝トーナメント

 予選プールはフランス各地の9つの会場で行われてきたが、3位決定戦を含む決勝トーナメント8試合はサンドニ(スタッド・ド・フランス)とマルセイユ(ベロドローム)のみで行われる。しかもマルセイユは準々決勝2試合のみで、残りの6試合はスタッド・ド・フランスで行われる。スタッド・ド・フランス以外はサッカーの1部リーグのクラブの本拠地となっている。そのうち、マルセイユ、トゥールーズ、リールは欧州カップにも出場している。9月から10月にかけてはサッカーのリーグ戦などの試合とラグビーのワールドカップの試合を行ってきたが、10月15日のベロドロームでの試合を最後に、サッカーの日常が戻る。スタッド・ド・フランスは本拠地とするクラブがないが、このような国際大会の時には重宝な存在となった。
 前回優勝の南アフリカに対し、フランスの過去の戦績は12勝6分27敗と大きく負け越している。ただし、直近の試合は昨年11月にマルセイユで対戦し、フランスが30-26と競り勝っている。また、ラグビーワールドカップではこれまでに1回だけ対戦しており、南アフリカが初出場となった1995年大会の準決勝、南アフリカが19-15と勝利し、決勝でもニュージーランドに勝利して初の栄冠をネルソン・マンデラ大統領とともに掲げたのである。

■アントワン・デュポンが復帰、南アフリカ戦に臨む固定メンバー

 そしてフランスには主将のアントワン・デュポンが戻ってきた。9月21日のナミビア戦で危険なタックルを受けて顔面を骨折、3週間という短期間で試合出場の運びとなった。そしてフランスも開幕戦のニュージーランド戦以来ほぼ1月ぶりにスタッド・ド・フランスに戻ってきた。
 10月15日21時にキックオフを迎える南アフリカ戦のフランスの先発メンバーはフランスの先発メンバーは、FW第一列はシリーユ・バイユ、モーバカ、ウイニ・アトニオ、ロック陣はカメロン・ボキ、チボー・フラマン、フランカーはアントニー・ジェロンチとシャルル・オリボン、ナンバーエイトはグレゴリー・アルドリットである。ハーフ団はデュポンとマチュー・ジャリベール、スリークォータバックスは左からルイ・ビール・ビアレイ、ジョナタン・ダンティ、ガエル・フィクー、ダミアン・プノー、フルバックはトマ・ラモスという布陣である。前週のイタリア戦とはデュポン以外は全く同じメンバー、このメンバーで準々決勝、準決勝、決勝を戦うというファビアン・ガルティエ監督の強い意志が伝わってくるのである。(続く)

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