第3266回 予選プールを首位突破したフランス(5) イタリアに最多得点差で勝利

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■過去の戦績では圧倒するも油断できないイタリアの急成長

 予選プール最終戦でフランスは、主将のアントワン・デュポンを欠く布陣で決勝トーナメント進出をかけてイタリアと直接対決する。これまでのフランスとイタリアの対戦成績はフランス44勝、イタリア3勝とフランスが大きく勝ち越している。またワールドカップでは2015年大会の予選プールで対戦したことがあり、この時はフランスが32-10と勝利している。しかし、直近の対戦となる今年の6か国対抗では本連載第3144回から第3146回で紹介した通り、開幕戦で対戦し、29-24と辛勝であった。フランスの調子が悪いというわけではなく、イタリアの成長が著しいことがその理由である。イタリアは今大会前のスパーリングマッチでは優勝を狙う日本にも42-21と快勝しており、フランスにとって侮れない相手である。

■リヨンで相性の悪いフランス

 また、この試合の会場はリヨンのグルーパマ競技場であるが、リヨンでのフランスの戦績は芳しくなく、現在のグルーパマ競技場でフランス代表は試合をしたことがないが、ジェルラン競技場では1992年と1997年の南アフリカ戦、2006年のニュージーランド戦と3連敗している。なお、イタリアとはリヨンで1953年に対戦し、22-8と勝利している。

■前半からトライラッシュのフランス

 青のジャージ、白のショーツ、赤のストッキングのフランスはマチュー・ジャリベールがキックオフ、試合開始からイタリアのゴール前に攻め込む。連続ラックから左サイドを突いて2分にフルバックのトマ・ラモスから左サイドに回り込んでいたダミアン・プノーにつないで簡単に先制トライをあげる(ゴール成功)。7分にはラモスがペナルティゴールで追加点をあげる。12分にはモールで前進したフランスはジャリベールが左サイドにキックパス、これをワンバウンドでキャッチしたルイ・ビール・ビアレイがイタリアの選手のタックルをかわしてトライをあげる。代表6試合目にして早くも5トライ目という若きトライゲッターの誕生である。24分にはラモスが今大会初トライ、自らのゴールも成功させ、今大会に入ってから55得点をあげた。
 ようやく27分にはイタリアが攻撃らしい形を見せ、アンジェ・カプオッツォからトンマーゾ・アランにつないだが、これをビール・ビアレイがカットする。さらにイタリアはFW戦でフランスのゴール前に迫り、34分にトライをあげたが、その直前にイタリア側に危険なプレーがあったとTMOで判定、トライは取り消しとなる。
 38分にはフランスはイタリア陣内でのラインアウトからモールで前進、ジャリベールが右方向にキックパス、これをプノーがキャッチし、そのままインゴールに走り込みトライ、31-0とフランスが大量リードしてハーフタイムを迎えた。

■後半もトライを重ねたフランス、最多得点差でイタリアを下す

 後半になってもフランスの勢いは衰えない。47分、フランスはイタリアゴール前に迫り、ジャリベールが右に展開すると見せかけて、そのままボールを持ってラン、イタリア守備陣を交わしてゴールラインを駆け抜けてトライ、54分にはイタリアゴール前5メートルの地点でマイボールのラインアウト、これをカメロン・ボキがクリーンキャッチ、そのままスローアーのペアト・モーバカに渡し、モーバカはそのまま走りこんでゴールポスト付近にトライをあげる。64分には中央付近の密集からジャリベールが右側でノーマークとなっていたヨラム・モエファナへロングパスを決め、モエファナが右隅に楽々とトライをあげる。ラモスが難しい角度のコンバージョンを決め、52-0となる。
 ようやくイタリアがスコアしたのは71分のことであった。イタリアはフランスのゴール前で波状攻撃、フェーズを重ねる。フランスの守備陣も健闘したが最後はマヌエル・ズリアーニがトライ、ようやく出番の来たアランがコンバージョンを決めて7点を返す。
 しかしフランスはモエファナのトライ、ラストプレーでのペナルティゴール成功で60-7として試合終了。これは1967年の60-13を上回る両国の最多得点差試合となった。フランスはこの大勝でニュージーランドを抜いて、プールAを首位で突破したのである。(この項、終わり)

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