第3818回 今年も優勝を逃したデビスカップ(1) 大会方式が変更したデビスカップ

 平成23年東日本大震災、平成28年熊本地震、平成30年7月豪雨、台風15号、19号、令和2年7月豪雨、令和6年能登半島地震、令和8年熊本地震、令和8年千葉豪雨などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■球技の国別対抗戦として最古のデビスカップが迎えた危機

 昨年は世界陸上、今年はサッカーのワールドカップ、来年はラグビーのワールドカップとオリンピックイヤー以外は種目別のワールドカップ、世界選手権が行われるが、最古の種目別国別対抗戦はテニスのデビスカップである。その歴史は1900年にさかのぼる。プロテニスの発展とともに、その存在は危機が訪れることもあったが、現在まで続いている。発足当初から長い間、前年の優勝国に対して予選大会を勝ち抜いてきた国が挑戦する方式をとっていたが、1972年からは前年優勝国もトーナメントに参加するようになってきた。他方、この時期は四大大会が1968年にオープン化し、それに伴って多数のトーナメントが行われた。デビスカップは年間で最大5回対戦、5セットマッチでの戦いとなり、肉体的にも精神的にも負担がかかり、賞金、ランキングのかかったトーナメントを重視することから、デビスカップへ有力選手が出場しなくなり、大会方式を変更した1970年代はデビスカップが危機を迎えた時期でもあった。

■NECのスポンサードがデビスカップを救う

 これを救ったのが日本のNECである。現在はAI企業として国内外に存在感を示しているNECであるが、当時は電機メーカーとして世界市場に進出しようとしているところであった。このNECのスポンサードによってデビスカップは生き残った。巨額のスポンサーシップが大会を財政的に支えた。また、それまでは地域ごとにトーナメントを行ってきたが、ワールドグループという上位16か国のトーナメントとなった。しかし、3日間のトーナメントを最大年4回行わなくてはならず、四大大会やそれ以外のトーナメントの日程調整に苦労し、有力選手の欠場が目立つという基本的な部分は変わらなかった。

■2019年にテニスのワールドカップを目指し大会方式を変更

 そして2019年から大会方式の大幅な変更となった。それは予選を行いシーズン終盤の11月にファイナルズということで勝ち抜いたチームを集め、集中的に開催することになった。これはサッカーやワールドカップの本大会と同様、予選を勝ち抜いた国が本大会開催国に集まって戦うのと同じである。テニスのワールドカップを目指すということがこの大会方式にも表れている。
 大会方式が変更した2019年は本選に集まったのは18か国、3か国ずつ6つのグループに分かれてリーグ戦を行い、首位6チームと成績の良い2位の2チームの8チームでトーナメントを行って優勝を決めた。
 ただ、この方式は本大会期間に1週間拘束されることになり、やはり負担が大きいということで2022年はグループステージとノックアウトステージが別々の期間に行われた。本大会出場16チームはグループ4チームずつ4つのグループに分かれて9月の中旬の5日間、総当たりのグループステージを行い、各グループの上位2チームの8チームがノックアウトステージに進出する。準々決勝から決勝までを集中開催で行う。
 グループステージとノックアウトステージというサッカーやラグビーのワールドカップのような方式は2024年で終わりを告げた。
 2025年からは本大会出場は8か国となる。2月に行われる1回戦、9月に行われる2回戦を勝ち抜いて本大会出場となる。これは2018年までの大会形式に似ており、準々決勝以降を集中開催するところが違うだけであり、テニスのワールドカップというコンセプトは薄れた。

■2019年以降は好成績を残せないフランス

 2019年からの大会方式の変更に反対したのがデビスカップ黎明期からの伝統国であるフランスである。ところが、フランスは2017年に優勝し、旧方式最後の2018年には決勝に進みながらクロアチアに敗れている。2019年に新方式となってからは振るわない。初年度の2019年はグループステージで敗退、2020年はコロナのため実施されず、2021年、2022年、2023年、2024年とグループステージで敗退している。
 そしてグループステージのなくなった2025年大会は8か国で行われる本大会に出場し、2019年の大会方式変更後初めてベスト8に入ったが、ベルギーに敗れてしまったのである。(続く)

このページのTOPへ