第1111回 南アフリカ入り前の3試合(1) 最初の親善試合のコスタリカ戦の先発メンバー

■リフレッシュメニューの多かったティーニュ合宿

 5月24日にワールドカップに出場する23人のメンバーを発表したフランス代表、その25日にティーニュ合宿を終える。1週間のティーニュ合宿はサッカー以外のマウンテンバイクやスキーなど、リフレッシュという要素が多く、およそ翌月にワールドカップを戦う内容ではないという批判も相次いだが、指揮官はレイモン・ドメネクである。これまでの奇行を考えれば、不思議ではない。そして国内外のトップレベルのクラブでしのぎを削ってきた選手たちは大人である。このような指揮官の下で自らがどのように行動すべきかをわきまえている。

■ティーニュからチュニジア、レユニオン経由で南アフリカ入り

 そしてそのティーニュ合宿を終えてから大会開幕までフランス代表のスケジュールを紹介しよう。ティーニュ合宿を終えた翌日の26日にはランスでコスタリカと親善試合を行い、その後アフリカへと渡る。27日から30日まではチュニジアのスースで合宿を行う。チュニジア合宿の最終日の30日にはラデスでチュニジアと親善試合を行う。チュニジア戦の翌日の31日には南半球へと移動し、レユニオン諸島へ渡る。レユニオンはインド洋に浮かぶ島でフランスの海外領土である。このレユニオンに4日間滞在し、6月4日には中国と親善試合を行う。そして5日に南アフリカ入りするのである。

■プレーオフで通過したフランスと4強を目指す日本の違い

 フランスはこのように直前に親善試合を3試合行うが、その相手はコスタリカ、チュニジア、中国といずれもワールドカップ出場を逃したチームである。日本の 場合は韓国、イングランド、コートジボワールと言う本大会出場国というタフな相手と3試合を行うが、これは本大会で4強を狙うチームならば、この程度の相手と戦うことは不思議ではないであろう。
 一方、フランスはプレーオフを勝ち抜いてようやく南アフリカ行きを決めたチームである。予選突破後もスペインに完敗しており、本大会出場を逃して再出発したばかりのチーム相手に快勝して自信を回復してから南アフリカ入りしようとする考えであろう。

■4-3-3システムで臨むコスタリカ戦

 そして、親善試合3連戦の第一幕のコスタリカ戦は25日にランスのフェリックス・ボラール競技場で行われた。フランス本土での最後の試合であり、この試合のメンバーが南アフリカでのレギュラーメンバーに近いであろうと予想される。
 GKはスティーブ・マンダンダ、DFは右サイドにバカリ・サーニャ、中央にウィリアム・ギャラスとエリック・アビダル、左サイドはパトリス・エブラである・MFは3人で中央の低い位置にジェレミー・トゥーララン、両サイドは高い位置であり、右にヨアン・グルクフ、左にフローラン・マルーダが入る。FWは中央にニコラ・アネルカ、両翼はワイドに位置し、右にシドニー・ゴブー、左はフランク・リベリーである。
 前回の本連載で紹介した通り、ウィリアム・ギャラスが復調し、ピッチに戻ってきた。3月31日以来久しぶりの試合である。そしてラッサナ・ディアラの離脱に伴い、守備的MFを1人にする4-3-3システムを採用する。そして中盤の底に位置する守備的MFのトゥーラランが1人でどこまで動きまわることができるかが焦点である。
 また、GKは第1GKと思われるウーゴ・ロリスではなくマンダンダを起用する。前回の2008年の欧州選手権の直前の親善試合でもドメネク監督は複数のGKを試し、グレゴリー・クーペ、セバスチャン・フレイ、マンダンダという3人のGKを交代で起用している。今回はこのところ代表の試合から遠ざかっているマンダンダに試合出場のチャンスを与えたとみていいだろう。そして守備陣の驚きはキャプテンマークをエブラが着用したということである。23人のメンバーの中ではティエリー・アンリが主将を務めることが多いが、この試合はアンリはベンチスタートである。そして先発メンバーから外れたアンリは、コンディションは良くなく、本大会でも控えとしてリザーブに回る可能性が高いのである。(続く)

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