第1449回 新生フランスのワールドカップ予選始まる(4) フランスが2回対戦して勝ち星のないベラルーシ

 昨年3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■1990年大会以来24年ぶりのワールドカップ予選初戦の勝利

 初めてのタイトルマッチとなったワールドカップ予選のフィンランド戦を1-0と勝利したディディエ・デシャンの率いる新生フランス。フィンランド戦ではデシャン監督が新たに起用したメンバーが見事に的中し、就任2試合目で大きな初勝利をあげる。実はフランスがワールドカップ予選の初戦で勝利したのは1990年大会予選以来実に22年ぶりのことである。
 1990年大会予選は1988年9月28日にノルウェーとホームで対戦し、1-0と勝利しているが、1994年大会は1992年9月9日にアウエーでブルガリアに敗れている。1998年大会は開催国、2002年大会は前回優勝国として予選は免除されており、2006年大会は2004年9月4日にイスラエルとホームでスコアレスドロー、そして2010年大会は2008年9月6日にアウエーでオーストリアに1-3と敗れている。
 フランスがワールドカップ予選の初戦で戦ってきたチームで、その後ワールドカップに出場したのは1994年大会のブルガリアだけであり、それほど強いチームと対戦しているわけではないにもかかわらず、初戦の結果は芳しくない。

■28年ぶりにアウエーでの初戦に勝利

 このように見てみるとフランスがいかにワールドカップ予選の初戦で苦労してきたかがわかる。それだけに今回のアウエーでの勝利は大きな意味を持つであろう。ちなみにフランスがワールドカップ初戦をアウエーで戦い、勝利したのは1986年大会予選の1984年10月13日のルクセンブルク戦以来、実に28年ぶりとなる。

■第3シードのベラルーシ、初戦のグルジア戦で黒星

 ヘルシンキからフランスのメンバーは翌日の8日に本拠地のクレールフォンテーヌに戻ってくる。フランスの次の試合は11日にスタッド・ド・フランスで行われるベラルーシ戦である。
 ベラルーシは今回のワールドカップ予選のグループIでは第1シードのスペイン、第2シードのフランスに次ぐ第3シードである。欧州選手権でも優勝したスペインの力がこのグループでは頭一つ抜けていることを考えると、ベラルーシの現実的な目標はフランスに競り勝って2位に滑り込み、プレーオフに進出することであろう。ベラルーシも予選の初戦を9月7日に行っており、第4シードのグルジアとトビシリで対戦している。今では珍しくなった先発メンバーが1番から11番のユニフォームを着たグルジアとの戦いは前半は両チーム無得点、しかし後半の立ち上がりにグルジアが先制し、2万人の地元ファンは歓喜する。この1点をベラルーシに重くのしかかり、ベラルーシはワールドカップ予選の初戦を0-1と落としてしまう。

■2012年欧州選手権ではホームで手痛い黒星

 眼下の敵であるベラルーシが初戦で敗れたことはフランスにとっては朗報であるが、ベラルーシはフランスにとっては侮ってはならない相手である。フランスはこのところホームゲームでは負けていない。国内の試合は13戦無敗(8勝5分)である。しかし、14試合前の2010年9月3日の敗戦の相手こそ、ベラルーシなのである。今回の欧州選手権予選は2年前に始まったが、その初戦がホームのベラルーシ戦であり、0-1と敗れている。さらにベラルーシとはアウエーでも2011年6月3日に戦っているが、このときは1-1のドローであり、ベラルーシとフランスの過去の対戦成績は1分1敗とフランスは勝利していない。フランスが2回以上戦って勝利したことがない唯一の国がベラルーシなのである。(1回だけ対戦して勝ち星のない国は2002年韓日ワールドカップの開幕戦で敗れたセネガル、2009年の親善試合で敗れたナイジェリア、1982年の親善試合で敗れたペルーがある。)
 フィンランド戦で勝利した勢いに乗るフランスであるが、難敵をスタッド・ド・フランスに迎えることになる。フランスがワールドカップ予選のホームで敗れたのは1993年11月17日のブルガリア戦が最後である。この試合に選手として出場していたデシャン監督にとっては最後のワールドカップ予選の試合であった。さて、監督として初めて本拠地で迎えるデシャン監督の采配に注目したい。(続く)

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