第1450回 新生フランスのワールドカップ予選始まる(5) ベラルーシに快勝、新監督の聖地での初戦は白星

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■ロジェ・ルメール、ジャック・サンティーニはスタッド・ド・フランスを白星スタート

 これまで2戦して1分1敗とフランスが勝利したことがないベラルーシを迎えて、ワールドカップ予選の第2戦がスタッド・ド・フランスで行われた。ディディエ・デシャン監督にとっては就任3戦目でこのフランスサッカーの聖地へ初登場となる。スタッド・ド・フランスのオープンは1998年の初め、就任時にスタッド・ド・フランスが存在していたフランス代表監督は、1998年夏に就任したロジェ・ルメール、2002年夏に就任したジャック・サンティーニ、2004年夏に就任したレイモン・ドメネク、2010年から今年まで務めたローラン・ブラン、そしてデシャンが5人目である。過去4人の監督のスタッド・ド・フランスでの初采配を振り返ると、ルメール監督は就任4戦目の欧州選手権予選のアンドラ戦で2-0と勝利し、就任後初勝利となった。サンティーニ監督も就任後3戦目の欧州選手権予選でスロベニアを迎え、5-0と快勝している。

■スタッド・ド・フランスでの白星が遠かったレイモン・ドメネク

 ところが、ドメネク監督は就任2試合目のワールドカップ予選でイスラエルと引き分け、その後もアイルランド、ポーランドと引き分け、年が変わってもスウェーデン、スイスと引き分け、ようやく本拠地で初勝利を挙げたのは就任して1年2か月経過した2005年10月のワールドカップ予選のキプロス戦、6試合目のことであった。
 2010年に就任したブラン監督もスタッド・ド・フランスでの初戦は苦い経験となった。就任後の初戦のノルウェー戦を落とし、第2戦となった欧州選手権予選でベラルーシに0-1と敗れている。すなわち過去2人の新監督はスタッド・ド・フランスでの初戦を白星で飾ることができなかったわけであるが、デシャンの場合はどうだろうか。

■低調な観客動員、期待の低さを象徴

 新監督のスタッド・ド・フランスでの初戦というのにチケットの売れ行きは良くなく、5万人以下かとも予想されたがフランス協会の懸命なチケットセールスのおかげでようやく5万5000人の観客が集まった。2年前の同じカードでは7万6395人とほぼ満員だったことを考えれば、この2年間にフランス代表が失ったものは少なくないといえるであろう。
 さて、先発メンバーであるが、フィンランド戦に続いて4-3-3システムとなった。GKはウーゴ・ロリス、DFは右にクリストフ・ジャレ、中央にマプー・ヤンガ・エムビワとママドゥ・サコ、左はパトリス・エブラ、MFは3人、中央にリオ・アントニオ・マブーバ、右にエチエンヌ・カプー、左はヨアン・カバイエ、FWも3人、中央にオリビエ・ジルー、右にカリム・ベンゼマ、左にフランク・リベリーである。
 フィンランド戦で殊勲のゴールをあげたアブー・ディアビは負傷のためベンチ入りせず、カプーがスタッド・ド・フランスにデビューすることになった。また右サイドDFのジャレ、ジルーがフィンランド戦の先発には名を連ねていなかった選手である。

■サイドからの攻撃で、ベラルーシに完勝、新監督の采配的中

 この試合、ファンの不安とは裏腹に、攻撃的な布陣のフランスはベラルーシを攻めたてる。またフィンランド戦でのサイド攻撃がうまくいかなかったことからメンバーを入れ替えたことも功を奏した。前半から左右のサイド攻撃で相手のゴールを脅かす。またベンゼマをサイドに起用し、左のリベリーとともに高い位置からのサイド攻撃が可能になった。両チーム無得点でハーフタイムを迎えたが、後半に入ってフランスが先制点をあげる。49分にリベリーが左サイドからクロス、攻め上がっていたカプーが得点、スタッド・ド・フランスのデビューをゴールで飾った。また、68分の追加点もサイドの選手であった。右サイドのジャレが、追加点。フィンランド戦のディアビ同様、前の試合に出場していなかった選手が得点をあげ、新監督の采配は的中する。
 72分にはPKを与え、こぼれ球を決められて1点差に詰め寄られるが、80分にベンゼマからリベリーへとつなぎ、リベリーの得点でフランスは3-1と勝利した。
 ワールドカップ予選を連勝スタート、デシャン監督は選手時代同様、この聖地での試合を白星でスタートしたのである。(この項、終わり)

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