第1529回 フランス-スペイン直接対決(2) 注目の若手、ラファエル・バランとポール・ポグバ

 一昨年3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■3度目の招集で19歳での代表デビューが期待されるラファエル・バラン

 前回の本連載では3月22日と26日に行われるワールドカップ予選のフランスとスペインのメンバーを紹介したが、フランスには注目の若手2人がメンバー入りした。1人はラファエル・バランであり、もう1人はポール・ポグバである。バランはまだ19歳、そしてポグバもメンバー発表の翌日に20歳になったばかりという若い選手であり、スペインとの大一番の控える連戦のメンバーにディディエ・デシャン監督が選んだことは驚きであるとともに、当然であるという見方もある。バランはスペインのレアル・マドリッド、ポグバはイタリアのユベントスと2人とも国外のビッグクラブに所属している。
 バランについては本連載でも紹介している通り、昨年夏のウルグアイとの親善試合の際に初めて代表入りし、今年2月のドイツとの親善試合の時にも代表に選ばれているが、試合には出場していない。17歳の時に当時1部のRCランスとプロ契約、活躍したがチームは2部に降格、この逸材に対しフランス国内外のクラブが関心を示し、結局はレアル・マドリッドに移籍する。国内リーグにも出場したが、ターンオーバーのメンバーとしてチャンピオンズリーグやカップ戦に出場し、2年目を迎えている。

■マンチェスター・ユナイテッドからユベントスに移籍したポール・ポグバ

 一方のポグバであるが、パリ近郊で生まれ、若くしてその才能を認められ、年齢別のフランス代表に選出され続けてきた。守備的MFとしてパトリック・ビエイラをモダンにしたタイプと評され、現在もフランス20歳以下代表の中心選手である。ポグバのルーツはギニアであり、ポグバの兄はギニア代表の試合に出場したこともある。ポグバは16歳の夏にルアーブルの下部組織からイングランドのマンチェスター・ユナイテッドの下部組織へ移籍する。そしてその2年後、2011-12シーズンにはプロ選手としてプレミアリーグの試合に出場する。しかし、プレミアリーグ、しかもマンチェスター・ユナイテッドでの試合出場機会は限られることから、その翌年にユベントスに移籍し、リーグ戦では昨季は過半数、今季はほとんどの試合に出場した。今季は5得点を挙げているがそのすべてがペナルティエリア外からのシュート、ミドルシュートも魅力である。
 彼らのビッグクラブでの活躍を見るならば、年齢に関係なく、代表入りさせるべきであるという意見はもっともである。

■スペインの二大勢力とプレミアリーグ勢が中心のスペイン代表

 一方のスペイン代表であるが、前回の本連載で紹介したとおり、今季のチャンピオンズリーグの主役はイングランドのプレミアリーグ勢ではなくスペインのリーガ・エスパニョーラ勢であり、バルセロナ、レアル・マドリッド、マラガから多くの選手が選出されている。バルセロナからはGKのビクトル・バルデス、DFのジェラール・ピケ、ジョルディ・アルバ、MFのセスク・ファブレガス、セルヒオ・ブスケッツ、アンドレス・イニエスタ、シャビ、FWはダビド・ビジャ、ペドロ・ロドリゲスと総勢9人、レアル・マドリッドからはDFのアルバロ・アルベロア、ラウール・アルビオリ、セルヒオ・ラモス、MFはシャビ・アロンソと4人である。またマラガからはMFのイスコが代表入りしている。
 なお、この3チーム以外から代表にメンバーを送っているスペインのクラブはFWのヘスス・ナバス、アルバロ・ネグレドが所属するセビリアだけである。そして24人のメンバーのうち国内組16人以外の8人はすべてイングランドのプレミアリーグでプレーしている。

■負傷者相次ぐスペインの不安

 ワールドカップと欧州選手権を連覇したスペインにはおなじみのメンバーの名が並ぶが、GKのイケル・カシージャス、DFのカルロス・プジョル、FWのフェルナンド・トーレスの名前が見当たらない。GKのカシージャスは代表では140試合以上に出場しており、10月のベラルーシ戦で完封し、スペイン代表の無失点記録を更新している。しかし、1月のスペイン国王杯のセビリア戦で負傷し、先週から練習を再開したがメンバーから外れる。またプジョル、フェルナンド・トーレスも負傷によりメンバーから外れ、メンバー入りしている中でもシャビがチャンピオンズリーグのACミラン戦での負傷と二冠王者に不安材料があるのである。 (続く)

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