第1603回 ワールドカップ予選でグルジア、ベラルーシと対戦(7) ゴールラッシュで半年ぶり勝利

 一昨年3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■タイトルマッチでは6年ぶりにベンチスタートとなるカリム・ベンゼマ

 ベラルーシのゴメリで行われるベラルーシ-フランス戦の2時間前にキックオフされたグルジア-フィンランド戦、フィンランドが引き分け以下だとフランスの2位以上が決まるが、フィンランドは74分にPKを決めて1-0と辛勝、プレーオフ出場へかすかな望みをつないだ。
 そして5試合無得点、479分間無得点というフランスはついにカリム・ベンゼマをあきらめ、オリビエ・ジルーにトップを任せることになるベンゼマは6月のウルグアイ戦以来のベンチスタートであったが、この時はひざを負傷しており、親善試合であった。タイトルマッチでのベンゼマのベンチスタートはなんと2009年11月18日のワールドカップ予選のプレーオフ、あのアイルランド戦以来のことである。

■主将ウーゴ・ロリスのミスで先制点を許し、無得点記録を更新したフランス

 グルジア戦に続き、フランスは上から下まで青一色のユニフォームでこの一戦に挑む。ホームのベラルーシは守備的な陣形を取り、ベラルーシの組織的な守備に対し、フランスは攻撃の糸口がなかなかつかめない。また逆にベラルーシのカウンターアタックに手を焼く。8分にはエリック・アビダルの好守で失点を防ぐ。時計に針は進み、20分を経過してもこれといったチャンスがフランスには訪れない。そして21分、フランスの無得点試合はついに500分となる。1924年から1925年にかけて記録した500分間無得点という記録に並び、これを更新してしまう。ようやくフランスに得点機が来たのは23分、CKからローラン・コシエルニーがシュートを放つがクロスバーの上。そして32分、ベラルーシがCKのチャンス。ここでGKのウーゴ・ロリスが痛恨のミス。ヘディングシュートをパンチングミスし、ボールはゴールネットに吸い込まれ、フランスは先制点を奪われる。このまま前半が終わり、フランスは0-1とリードを許す。

■フランク・リベリーのPKで無失点記録を526分でストップ

 後半の立ち上がりからフランスは攻勢をかけ、フランク・リベリーがペナルティエリア内で倒され、PKを獲得。このPKをリベリー自身が成功させ、フランスは同点に追いつく。そして不名誉な無得点記録も526分でようやくストップする。ここで一気に攻勢に出たフランスであるが、57分にベラルーシのミドルシュートが決まり、再びリードを許す。フランスベンチはディミトリ・ペイエに代えてサミール・ナスリを投入、攻撃的な陣形を取る。この右サイドのてこ入れが功を奏し、64分にはマチュー・バルブエナからのクロスにファーサイドにいたリベリーが決めて同点に追いつく。バルブエナとリベリーのホットラインが機能した同点劇である。そしてこの夏に二度目の代表入りとなったナスリも意地を見せた。70分のナスリが低い弾道のミドルシュートが見事に決まり、フランスは残り20分にして初めてこの試合でリードを奪う。

■6年ぶりの20歳のゴール、ゴールラッシュで快勝、光ったリベリー

 さらにその3分後の73分、左サイドのバルブエナからのクロスがゴール前へ、前線に上がっていたコシエルニーなどがからみ、結果的にはこの日守備的MFに入ったポール・ポグバがゴールを決める。ポグバはまだ20歳、フランス代表の歴史で20歳の選手のゴールは2007年11月のモロッコの親善試合でゴールを決めたナスリ以来6年ぶりのことである。そしてポグバをたたえるべきはこのゴールだけではない。中盤の底として110回以上のボールタッチ、これだけボールに触った選手は両チームを見渡してもポグバだけである。
 その後、ベラルーシはブラジル出身の選手を投入したものの、フランスから得点は奪えず、フランスは4-2で勝利し、3月のアウエーでのグルジア戦以来の勝利と得点を記録する。ほぼ半年ぶりの勝ち星とゴールを決めたフランスであるが半年前に最後にゴールを決めたのはこの日先制点をあげたリベリーである。リベリーが4日前のグルジア戦で負傷し、十分に練習をしない状況でこのベラルーシ戦に臨んだが、見事に活躍したのである。(この項、終わり)

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