第1611回 プレーオフ見据えた10月の連戦(2) 4度目にして初めてフランス国内で行われる豪州戦

 一昨年3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■過去3回対戦している豪州と親善試合

 フランスは10月11日に親善試合を行うが、その相手は豪州である。日本のファンの皆様にとっては、アジア地区のライバルであり、熟知した相手であるが、フランスと豪州との対戦はこれまでに3回あるが、その最初の対戦が1994年5月、阪神淡路大震災が起こる半年前の神戸でのキリンカップでのことであり、フランスが1-0と辛勝している。このキリンカップは奇しくも米国で行われるワールドカップ予選であと一歩のところで本大会出場を逃したチームが集う形になった。そして2回目の対戦も極東の中立地であり、2001年6月に行われたコンフェデレーションズカップのグループリーグで韓国の大邱での対戦、このときはフランスは欧州の主力リーグの選手が不参加だったこともあり、逆に豪州が1-0と勝利したが、フランスはこの大会で優勝している。
 そして3度目の対戦にして初めていずれかの国で対戦することになった。3度目の対戦は韓国での対戦から半年後の2001年11月のことである。ベストメンバーがそろわなかったとはいえ、ワールドカップのプレ大会となるコンフェデレーションズカップを制したフランスは、翌年のワールドカップに向けて、様々なタイプのサッカーを知るということで秋になると本連載第1回で紹介した南米のチリ遠征、10月には長らくフランスにとってはタブーだったアルジェリアと対戦、そして11月には豪州遠征を行う。メルボルンのクリケットグラウンドで前半終了間際に先制されながらもダビッド・トレゼゲのゴールで追いつき、1-1の引き分けとなる。フランスは年が明けてからもルーマニア、スコットランドとワールドカップ予選で敗退したチームと戦い、これが本大会での惨敗の伏線となる。

■問題となった2001年秋の豪州遠征

 また、チリ遠征、豪州遠征については移動による選手の疲労も問題になる。事実、本連載第13回で紹介したとおり、豪州遠征には参加を辞退した選手も続出し、コンフェデレーションズカップでの対戦に引き続き、ベストメンバーではなかった。また、当時も豪州代表の選手の多くはイングランドをはじめとする欧州のクラブに所属、主力の先発11人は全員が欧州のクラブに所属した。当時も豪州代表はホームゲームでありながら、多くの選手が欧州から豪州までの長距離の里帰りをしたのである。

■欧州勢との対戦は国内では少ない豪州

 このように紹介すると、豪州は南米のブラジルやアルゼンチン以上に欧州への依存度の高いことがよくわかる。その豪州にとってメルボルンやシドニーよりも欧州で試合を行ったほうが好都合であり、南米の代表チームと同様である。1990年代から2000年代初めにかけて豪州はワールドカップにあと一歩届かなかったが、2006年、2010年、そして2014年と本大会出場を決めており、親善試合を行うとなるとアジアでは拮抗した力のチームは数少なく、欧州、南米に相手を求めることになる。しかし、豪州が欧州や南米の代表チームと国内で親善試合を行ったのは2011年6月7日のセルビア戦(0-0のドロー)、それ以前となると2010年10月9日のパラグアイ戦(1-0の勝利)、2009年10月10日のオランダ戦(0-0のドロー)と年に1試合あるかないかである。
 フランスとの4度目の対戦にして豪州は初めて欧州の地で戦うことになるが、これは豪州が欧州のチームと戦う近年の対戦地を考えてみれば、極めて異例のケースであるといえるであろう。

■ワールドカップ出場を決めてフランスと戦う豪州

 そして、これまで3回の対戦時に豪州はワールドカップに届かないポジションにいたが、今回はワールドカップ出場権を確保して、これからワールドカップ出場を目指すフランスと対戦することになる。br />  今回の豪州代表は23人、そのうち欧州のクラブに所属している選手は14人とこれまでに比べてやや少ない。豪州のクラブが2人、日本のクラブが2人、カタールのクラブが2人、アラブ首長国連合のクラブが1人、米国のクラブが2人となっているのである。(続く)

このページのTOPへ