第1618回 プレーオフ組み合わせ決定(1) 予選グループ終了、全グループの順位が決定

 一昨年3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■スペインが最終戦を行うアルバセテ

 ワールドカップ予選の最終戦でフィンランドを3-0と下したフランス。これでベラルーシ戦、豪州戦に続き3連勝、しかもこの3試合の得点は13点。3月から9月の初めまで無得点の試合が続いたチームが変身した。
 さて、予選最終戦でまず気になるのはスペインの動向である。最終戦でフランスが勝利し、スペインがグルジアに敗れれば、フランスとスペインは得失点差で並ぶことになる。スペインはグルジアをアルバセテに迎える。アルバセテはマドリッドから約300キロ離れたところにある人口17万の小都市である。試合の行われカルロス・ベルモンテ競技場はアルバセテ出身の著名な生化学者の名前を冠し、1960年に建設された収容人員わずか1万7000人という小さなスタジアムである。ここを本拠地とするアルバセテは1部に所属したこともあるが、現在は3部、そして深刻な経営危機に陥っている。このクラブを救ったのがスペイン代表として活躍するアンドレアス・イニエスタである。イニエスタはこの地方の出身で幼少のころこのアルバセテの下部組織に所属していた。イニエスタは自らの出身チームを救うために昨年アルバセテのオーナーに就任したのである。

■スペイン、グルジアに勝利し、本大会出場

 このようなこともあり、スペイン代表はグルジア戦の前日にはカルロス・ベルモンテ競技場で公開練習を行い、1万2000人が集まった。そして試合当日、競技場は1万7000人で満員になったのである。試合はベストメンバーのスペインがグルジアを圧倒、26分にアルバロ・ネグレドが先制点、後半に入って61分にファン・マタが追加点、プレミアリーグに所属する2人の選手がゴールをあげた。先発出場したイニエスタは82分に万雷の拍手の中でイスコと交代し、グルジア戦に勝利したスペインはグループIの首位となりワールドカップ出場を決めたのである。

■ポルトガル、ギリシャが2位に

 そしてこれは同時にフランスが2位を確定し、プレーオフに出場することを意味している。本連載第1615回で紹介したプレーオフ進出争いはどうなったであろうか。グループAのクロアチア、グループCのスウェーデンはすでにプレーオフが確定している。フランスと同じ条件だったのがグループFのポルトガルであるが、リヒテンシュタインには3-0と勝利したものの、最終戦を向あける時点で勝ち点3をリードしていたロシアがアゼルバイジャンと引き分けたため、2位になった。
 また、首位と2位の順位争いとなったのがボスニア・ヘルツェゴビナとギリシャが同勝ち点で並ぶグループG、ボスニア・ヘルツェゴビナはリトアニアに1-0、ギリシャはリヒテンシュタインに2-0とそれぞれ勝利し、得失点差で上回るボスニア・ヘルツェゴビナが首位、ギリシャが2位にとどまる。

■激戦区からはデンマーク、ルーマニア、ウクライナが2位に

 それ以外の3グループは厳しい2位争いとなる。首位イタリアが独走し、4チームに2位の可能性のあるグループBは勝ち点で優位に立っていたデンマークとブルガリアの間で明暗が分かれる。デンマークはマルタに6-0と大勝したが、ブルガリアはホームでチェコに敗れてしまい、デンマークが2位になる。
 グループDもグループBと同じ構造でオランダが独走、トルコ、ルーマニア、ハンガリーの3か国が2位の座を争う。最終戦を前にして一歩リードしていたトルコはすでに本大会出場を決めているオランダを迎えるが、0-2と敗れてしまう。ルーマニアはエストニアに、ハンガリーはアンドラにそれぞれ2-0で勝利し、勝ち点で上回るルーマニアが2位に入る。
 最後に紹介する大混戦のグループH、イングランドが2位ウクライナに勝ち点で1リードしているとはいえ、難敵ポーランドをホームに迎える。イングランドはポーランドに2-0と勝利し、首位を守って本大会出場決定。ウクライナはサンマリノに8-0と大勝したが、2位にとどまった。
 このように全9グループの1位と2位が決定したのである。(続く)

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