第1649回 2014年ワールドカップ展望(6) 欧州の2チームが有力なグループGとグループH

 3年前の3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■欧州の2チームがリードするグループGとグループH

 これまでの本連載ではグループAからグループFまでの準々決勝進出チームを展望してきたが、今回はグループGとグループHを展望してみよう。
 グループGのポット1はドイツ、ここにポット4の欧州勢としてポルトガルが入り、ポット2はガーナ、ポット3は米国が入る。このドイツとポルトガルという欧州2チームを中心とした争いになるであろう。
 また、グループHのポット1はベルギー、ポット4の欧州勢としてロシア、ポット2はアルジェリア、ポット3は韓国である。このグループHもグループG同様に欧州の2チームが他地域の2チームに水をあけている。

■2強が第1戦で直接対決するグループG

 上位2か国と下位2か国の差が存在するグループGでは、多彩なタレントを有するドイツが、プレーオフを勝ち抜いてきたポルトガルよりも優勢であるとみるが、グループGとグループHは第1戦を迎えるのが遅い。6月12日に今大会は開幕するが、グループGは16日、グループHは17日に始まり、最終戦はいずれも6月26日であり、決勝トーナメントは6月30日または7月1日である。決勝トーナメントに入ってからの日程を考えると、なるべくグループリーグは早めに消化した方が有利である。また、できれば、グループリーグ最終戦は主力を休ませることができれば、それに越したことはない。
 さて、グループGは欧州の2強が第1戦、しかも最初の試合で激突する。両チームにとっては第1戦と第2戦はガーナ、米国と対戦し、勝ち点6を獲得して決勝トーナメント進出を決めて第3戦を迎えたいところであったが、第1戦で対決することになる。この第1戦で負けるようだと残り2試合に連勝しなくては決勝トーナメントに残ることは難しい。そしてグループGで最有力のドイツの最終戦の相手は米国である。米国は1990年大会以降7回連続の出場、ワールドカップ開催を経てもなおサッカーがプロスポーツとしてはマイナーな存在であるが、かつてのドイツのお株を奪う魂のサッカーを見せる。ドイツにとっては油断できない相手である。一方、ポルトガルも第1戦でドイツに敗れた場合に第2戦で対戦する米国が脅威である。2強有利とはいえるが、初戦の直接対決で敗れた場合は米国あるいはガーナに2位の座を奪われる可能性もあると言えよう。そして第3戦まで気の抜けないグループリーグを戦い、短い試合間隔で決勝トーナメントに挑んだ時のコンディショニングも難しいであろう。

■中3日で決勝トーナメントを戦うグループGの首位とグループHの2位

 一方、同じ欧州2強が中心となるグループHであるが、ベルギーとロシアの2強の直接対決は第2戦である。第1戦でベルギーはアルジェリア、ロシアは韓国から勝ち点3を奪った段階で第2戦を迎えるならば精神的にはかなり楽である。順当にこの2チームが決勝トーナメントに進出するであろうが、問題は決勝トーナメント1回戦である。グループHで首位になれば決勝トーナメント1回戦は中4日の7月1日、サルバドールでグループGの2位との戦いとなる。2位になれば中3日の6月29日にポルトアレグレでグループG首位との戦いである。

■両グループの首位が有力であるが、波乱の可能性

 グループGとHはこれまで紹介したグループと異なり、最終戦がアルファベット順にキックオフされ、グループHのチームが決勝トーナメント1回戦の相手を選ぶことができるが、首位になったドイツとの対戦は最悪のシナリオである。ロシアは欧州予選でポルトガルと同じグループになったが全く互角(2試合ともホームチームが1-0の勝利)である。
 このグループGとグループHから8強に進出するのはドイツとグループGの首位が最有力であるが、ドイツはタフなグループリーグを戦うこと、グループHはグループリーグで消耗が少ないことから波乱もあるであろう。(続く)

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