第1890回 2018年ワールドカップ予選組み合わせ決定(2) 難敵の集まるグループA

 4年前の3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■オランダ、スウェーデン、ブルガリア、ベラルーシ、ルクセンブルクと対戦

 6月上旬に行われたベルギーとアルバニアとの親善試合で連敗を喫したフランス、ワールドカップ予選のグループ分けの基準となるFIFAランキングを9位から22位へと落とし、その結果としてオランダ、スウェーデン、ブルガリア、ベラルーシ、ルクセンブルクとグループAで対戦することになった。
 第1シードにはルーマニア、ウェールズというそれほど実績のない国も名を連ね、ファンはこれらの国との対戦を期待したが、オランダと戦うことになった。首位突破が本大会出場への第1ルートということでどうしても第1シードのオランダに目が行くが、第3シード以下にも強豪、そしてフランスが過去の対戦で苦戦した相手がひしめいているのがこのグループAである。

■エースのズラタン・イブラヒモビッチが気になるスウェーデン

 まず第3シードのスウェーデン、FIFAランキングは33位であるが、現在行われている欧州選手権予選ではグループGで3勝3分と負けなしの成績でオーストリアについで2位につけている。フランスは過去の対戦成績は9勝5分5敗と勝ち越しており、最新の対戦は2014年11月の親善試合でフランスが1-0と勝利しているが、その前の対戦は2012年の欧州選手権のグループリーグでの対戦、雷雨によりキックオフが遅れたウクライナのキエフでの試合でフランスは0-2と敗れている。
 そして忘れてはならないのがエースであり主将であるズラタン・イブラヒモビッチである。昨年11月にフランスが勝利したのはマルセイユでのホームゲームであったことに加え、イブラヒモビッチが出場していなかったことも挙げられる。現在33歳のイブラヒモビッチは来年の欧州選手権で代表から退くのではないかと言われているが、その後に行われるワールドカップ予選に出場してくる可能性は大いにある。

■苦い思い出のあるブルガリア、相性の良く無いベラルーシ

 また、ブルガリアはある年代以上のフランスのサッカーファンにとっては忘れられない相手である。ワールドカップ米国大会予選、フランスは最初の試合でブルガリアとアウエーで戦い敗れたが、その後は着実に勝ち星を重ね、最終戦はホームのブルガリア戦、1993年11月17日に行われた試合でフランスは引き分け以上で米国行きが決まるところであったが、ロスタイムに失点したことは忘れられない。その後の対戦は1996年の欧州選手権のグループリーグでフランスが3-1と勝利しているが、これまでの対戦成績は8勝4分8敗と全くの五分、同じ欧州勢であるのに過去20年近く対戦していない、という点も不気味である。
 ベラルーシはソ連崩壊後に誕生した若い国であるが、これまでに2012年欧州選手権予選、2014年ワールドカップ予選と直近の2大会で対戦している。2016年欧州選手権についてはフランスが予選免除であるから実質的に3大会連続の顔合わせとなる。そして対戦成績はフランスの2勝1分1敗、2012年欧州選手権予選では1分1敗と勝ち星をあげることができなかった。
 ルクセンブルクに関してはフランスが15勝1敗と大きく勝ち越しており、唯一の敗戦も今から100年以上前の1914年のことである。

■欧州選手権予選では不調のオランダ

 このようにスウェーデン、ブルガリア、ベラルーシというフランスにとっての難敵が控えるうえで第1シードはFIFAランキング5位のオランダである。オランダは、現在行われている欧州選手権予選では3勝1分2敗であり、アイスランド、チェコの後塵を拝し、3位と振るわない。しかし、過去の対戦成績はフランスが9勝4分10敗と負け越している。昨年3月にスタッド・ド・フランスで行われた親善試合ではフランスが勝利しているが、その前の対戦は2008年のスイスで行われた欧州選手権のグループリーグ、フランスは1-4と大敗を喫している。
 ただ、ブルガリアとは逆で、1982年のワールドカップスペイン大会の予選で対戦、このときフランスはオランダにアウエーで敗れたが、最後から2試合目のホームでの戦いで2-0と勝利する。首位のベルギーから4位のオランダまでの勝ち点差が2という混戦の中で2位に入り、スペイン行きを決めたのである。(この項、終わり)

このページのTOPへ