第1889回 2018年ワールドカップ予選組み合わせ決定(1) FIFAランキングを大きく落としたフランス

 4年前の3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■13枚のチケットを争う52チーム

 シーズン開幕を控え、各チームの合宿、練習試合がたけなわであるが、フランス代表にとってはややショッキングなニュースが入ってきた。それは2018年のワールドカップ予選の組み合わせである。ワールドカップ予選の組み合わせ抽選は7月25日にロシアのサンクトペテルブルクで行われた。
 開催国のロシアは出場権を得ており、欧州からの本大会への出場国をロシアを除くと13か国。この13のチケットを52チームが争う。

■グループ首位突破を狙う有力国

 予選のフォーマットはこのところ変わらず、52チームを5ないし6チームからなる9グループに分けてホームアンドアウエーのグループリーグを行う。グループリーグでトップになった9チームは本大会の出場権を獲得する。そして各グループで2位となった9チームのうち成績の良い8チームがホームアンドアウエー形式でプレーオフを行う。なお、この際、6チームが所属するグループの場合は最下位チームとの対戦成績は考慮されない。
 このような予選フォーマットの場合、グループで首位になることは非常に重要である。プレーオフを戦うプレッシャーは並大抵のものではないこと、そして首位通過をすれば、11月のインターナショナルマッチデーにチーム事情に合わせた相手と親善試合ができること、プレーオフを経て本大会に出場する場合、出場決定からメンバー決定まで試合を行うチャンスは極めて少ない。したがって、有力国にとっては首位通過は本大会での好成績を得るために重要なことである。

■FIFAランキングを7月に落としたフランス

 そうなると肝心なのは組み合わせのシード順である。欧州選手権予選の場合は過去3回の欧州選手権やワールドカップの本大会での成績を指数化してシード順を決めるが、ワールドカップ予選の場合はFIFAのランキングで決定する。このシード順の差が、フランスには裏目に出た。 フランスのFIFAランキングは本連載でも紹介した通り、2010年ワールドカップ本大会での惨敗をきっかけに低迷し、二桁台を続けてきた。その長い低迷から浮上のきっかけをつかんだのが昨年のワールドカップでの準々決勝進出であった。
 ところが、本連載第1868回から1873回で紹介したベルギー、アルバニア戦の連敗、そして2016年の欧州選手権の予選が免除になり、昨年夏以降の試合がポイントの高い欧州選手権の予選扱いではなく親善試合となってしまったことから、6月から7月にかけて大きくランキングを落とした。6月の段階では9位であったが、7月のランキングは22位と13位も順位を落とすことになってしまった。
 上位30チームでランキングを2桁落としたのはフランスだけであった。一方、順位を大きく上げたのは22位から10位にランクアップさせたウェールズ、37位から23位に上昇したアイスランドなどである。

■オランダ、スウェーデンなどと同じグループAに入ったフランス

 この結果、欧州予選で第1シードとなる上位9チームはドイツ(2位)、ベルギー(3位)、オランダ(5位)、ポルトガル(7位)、ルーマニア(8位)、イングランド(9位)、ウェールズ(10位)、スペイン(12位)、クロアチア(14位)となった。意外な顔ぶれであると思われる読者の方もいらっしゃるが、フランス同様に第2シードとなった国にはイタリア(17位)、スイス(18位)、デンマーク(24位)などがある。
 欧州内のランキングが10位から18位が第2シードとなったが、第3シードにもウクライナ(27位)、スウェーデン(33位)など侮れないチームが控えている。
 そして抽選の結果、フランスはグループA、第1シードはオランダ、第3シードからスウェーデン、第4シードからブルガリア、第5シードからベラルーシ、第6シードからルクセンブルクとなったのである。(続く)

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