第2079回 序盤に強敵と連戦(3) ケビン・ガメイロをトップに起用

 平成28年熊本地震で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。お亡くなりになった方々に、謹んで哀悼の意を表します。 この地震が1日でも早く収まることと、被災地の皆様の安全とご健康をお祈り申し上げます。

■ブルガリア相手にホームで1試合しか負けていないフランス

 ワールドカップ予選の初戦でアウエーとはいえ格下のベラルーシとスコアレスドローというスタートを切ったフランス、ブルガリア、オランダと早くも序盤戦の山を迎えた。ブルガリアは初戦でルクセンブルク相手にホームで4-3という乱戦を制し、勝ち点3をあげてフランスとの1戦に臨む。ブルガリアとフランスの過去の対戦履歴については1993年11月17日のあの1戦に注目が集まるが、20戦して両チーム8勝で4つの引き分けという全くの五分の成績である。そしてホームでは10戦しているが6勝3分1敗、この唯一の敗戦がフランスのサッカー史に長く語り継がれる試合となった。

■ワールドカップ予選でアイルランドに次ぐ9試合の対戦があるブルガリア

 また過去20戦のうち9試合がワールドカップ予選での対戦である。1962年チリ大会、1978年アルゼンチン大会、1986年メキシコ大会、そして1990年米国大会で対戦している。各予選ともホームとアウエーで対戦しているが、1962年大会はフランスとブルガリアが同勝ち点(得失点差ではフランスが上回っていたが、当時の大会規定は同勝ち点の場合はプレーオフ)となったためにプレーオフを戦い、3試合戦い、合計9試合となる。フランスがワールドカップ予選で最も多く対戦している国は12試合(1954年スイス大会、1974年西ドイツ大会、1978年アルゼンチン大会、1982年スペイン大会、2006年ドイツ大会、2010年南アフリカ大会)を戦ったアイルランドであり、ブルガリアはそれに次ぐ対戦数を誇っている。
 そしてその戦いから両国が対戦したのはわずか1回、1996年の欧州選手権のグループリーグでのことであり、フランスが3-1と勝利している。欧州の中堅国でありながら不思議なことにフランスと20年間戦っていないのである。

■ベラルーシ戦と同じ4-2-3-1システムで戦うフランス

 さて、フランスにとっては初めてのホームでのワールドカップ予選となる。主将のウーゴ・ロリスが戻ってきた。ロリスは前回の本連載でも紹介したとおり、あのブルガリア戦の記憶を持っている数少ない選手である。試合前の記者会見でもその試合の記憶があり、ワールドカップに出場することの難しさを6歳のサッカー少年として感じたとともに、現在は両チームとも全く別のチームに変わっていると結んでいる。
 フランスは4-2-3-1システムでこの試合に挑む。9月の連戦ではイタリア戦では4-3-3システムで完勝したが、ベラルーシ戦では4-2-3-1システムに変更し、大苦戦して無得点に終わっている。
 フランスのメンバーはGKはロリス、DFは右からバカリ・サーニャ、ラファエル・バラン、ローラン・コシエルニー、レイバン・クルザワ、守備的MFは右にポール・ポグバ、左にブレーズ・マツイディ、攻撃的MFは右にムーサ・シッソコ、トップ下にアントワン・グリエズマン、左にディミトリ・パイエ、そして1トップはケビン・ガメイロである。

■1トップにアトレチコ・マドリッドのケビン・ガメイロを起用

 ベラルーシ戦との変更点は右サイドにサーニャが怪我から復帰、守備的MFのエンゴロ・カンテに代えてイタリア戦に出場したマツイディを復帰させる。ここまではマイナーチェンジといえるであろうが、攻撃陣は大きく手を加えた。ベラルーシ戦でも活躍したシッソコ、そしてトップ下として得点力もあり、欧州選手権の最優秀選手の表彰を受けたグリエズマンは変わらないが、左サイドはアントニー・マルティアルからパイエ、そしてトップはオリビエ・ジルーでもアンドレ・ピエール・ジニャックでもなくガメイロを起用した。ガメイロは第2068回の本連載でも紹介したが、スペインのセビリアに所属しグリエズマンのチームメイトである。得点をあげることができず苦しんだベラルーシ戦でも試合終盤の83分にジルーに代わって出場したが、グリエズマンとの間のホットラインを得点に結びつけることはできなかったが、この試合は先発出場となる。5年ぶりの代表戦、しかも10分弱の出場に終わったベラルーシ戦での悔しさを晴らすことができるであろうか。(続く)

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