第2191回 シーズン終了後の3連戦(4) まさかのアディショナルタイムの失点で2位転落

 6年前の東日本大震災、昨年の平成28年熊本地震などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■欧州選手権で敗れた以外はほぼ半世紀スウェーデンを圧倒しているフランス

 首位攻防戦となったストックホルム郊外のソーニャでのスウェーデン戦、ディディエ・デシャン監督率いるフランスのイレブンは万全の態勢でスウェーデン入りする。スウェーデンとのホームゲームは昨年11月16日にスタッド・ド・フランスで行われた。すなわちワールドカップ予選ではちょうど折り返し点を迎える前後での連戦となる。昨年秋の対戦前は両チームは勝点7で首位に並んでいたが、フランスが2-1で逆転勝利したことは本連載の第2093回と第2094回で紹介した通りである。
 これまでのフランスとスウェーデンの対戦成績はフランス10勝、スウェーデン5勝、5つの引き分けという戦績であるが、近年はフランスに分があり、2012年にウクライナのキエフで行われた欧州選手権の本大会ではスウェーデンが勝利したが、フランス国内では1952年、スウェーデン国内では1969年が最後にスウェーデンはフランス戦に勝利していない。フランスは、スウェーデン国内での直近の6試合で敗れていないのである。

■直前のパラグアイ戦、昨秋のスタッド・ド・フランスでの試合とほぼ同じメンバー

 直前のパラグアイ戦での完勝、さらにラファエル・バランも復帰し、フランスの先発メンバーはGKに主将のウーゴ・ロリス、DFは右からジブリル・シディベ、バラン、ローラン・コシエルニー、バンジャマン・マンディ、MFは守備的な位置にブレーズ・マツイディとポール・ポグバ、攻撃的な位置に右からムーサ・シッソコ、アントワン・グリエズマン、ディミトリ・パイエと並び、FWの1トップはオリビエ・ジルーという布陣である。パラグアイ戦とはサミュエル・ウムティティに代えてバラン、左サイドのウスマン・ダンベレに代えてシッソコというマイナーチェンジである。ちなみに昨年11月のスタッド・ド・フランスでの試合と比べてもほとんど変わらず左サイドDFにパトリス・エブラが出場していただけの違いである。

■オリビエ・ジルーの先制ゴールはカリム・ベンゼマと並ぶ代表27得点目

 このように安定したメンバーで戦っているフランスである。上から下まで白いユニフォームをまとったフランス、黄色のシャツとストッキング、青のパンツのスウェーデンともにコンパクトな陣形で好ゲームとなった。しかしその均衡した中で優勢に試合を進めたのはパスをつなぐ能力で一枚上手のフランスであった。35分にはマンディからのクロスをジルーがシュートに結びつけるが、CKに逃げられてしまう。パイエが蹴ったCKはスウェーデンにクリアされるが、このボールをフランスが拾い、再びパイエがペナルティエリア内に放り込む。ペナルティエリア内に残っていたバランがつなぎ、最後はジルーが左足で豪快にボレーシュート、見事な先制点はカリム・ベンゼマと並ぶ代表通算27得点目となり、パラグアイ戦でのハットトリックの再現なるかとフランスから駆け付けた2000人のファンを歓喜させた。

■アディショナルタイムにウーゴ・ロリスが痛恨のミス

 しかし、スウェーデンも前半終了間際の43分にトゥールーズに所属するジミー・ドゥルマズがフランス守備陣の詰めが甘くなったと心でボレーシュートで同点に追いつき、タイスコアでハーフタイムを迎えた。
 後半は互角の展開となった。両チームとも攻撃を組み立てながら、最後のところで守備陣が持ちこたえるという展開が繰り返される。両チームとも交代選手をなかなか投入せず、この試合最初の選手交代は75分、グリエズマンに代わってキリアン・ムバッペが登場する。これを皮切りに両チームは選手を次々と入れ替えるが、得点はなく、このままドローで試合終了かと思われた。フランスとしては勝ち点3差をキープできれば悪い結果ではない。
 そしてアディショナルタイムの94分、信じられないプレーが起こった。GKのロリスがセバスチャン・ラーションのチェイスを受けながらペナルティエリアの外までドリブルでボールを運んでロングキックでクリア、ボールはセンターサークルまで飛ぶ。しかし、ここで待ち受けていたのがトゥールーズに所属するオラ・トイボネン、トイボネンがダイレクトでシュートし、ボールは50メートル先の無人のゴールに吸い込まれていったのである。
 堅実なプレーが売り物のロリスのミスによってフランスはスウェーデンに敗れるともに、得失点差でグループ2位に転落したのである。(続く)

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