第2234回 大詰めを迎えたワールドカップ予選(2) ホームで4戦全勝のブルガリアと対戦

 6年前の東日本大震災、昨年の平成28年熊本地震などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■ホームでルクセンブルクに大苦戦したブルガリア

 ワールドカップ予選は残り2試合となり、注目の戦いが続く。勝ち点で首位に立つフランスはアウエーでのブルガリア戦の勝利で本大会出場に王手をかけたい。ブルガリアの今予選の歩みを振り返るとまさに一進一退、強豪国に勝つこともあれば、それ以外の国に敗れることもあった。そして運に恵まれた足取りを残している。
 初戦は昨年9月のホームでのルクセンブルク戦、大量点をあげて勝利したい相手である。序盤に先制したが、前半は1点どまり。そしてあろうことか後半に入って逆転を許してしまう。65分と79分に連続ゴールをあげて逆転し、辛勝かと思われたが、アディショナルタイムに追いつかれてしまう。ドローかと思われたが、92分に勝ち越し点をあげる。しかしながらスウェーデン-オランダ戦、ベラルーシ-フランス戦がいずれも引き分けに終わったことからこの時点で首位となる。これが運に恵まれていると言えるゆえんである。

■アウエーで強豪に連敗、ホームでオランダに勝利

 10月はフランス、スウェーデンとのアウエーゲームとタフな日程になった。フランスとのアウエーゲームについては本連載第2079回と第2078回で紹介した通り、ブルガリアが先制点を奪うが、フランスはケビン・ガメイロの活躍で4-1と逆転する。続くスウェーデンとの試合も0-3と点差をつけられて敗れてしまう。1勝2敗となって迎えた11月のホームのベラルーシ戦は1-0と手堅く勝利、年が明けて3月にはホームにオランダを迎える。好調ではないオランダ相手に序盤に2点を奪い、そのまま2-0と勝利する。
 ところが折り返し点となる6月のベラルーシとのアウエーゲームでは2点を先行され、アディショナルタイムに一矢を報いるにとどまった。

■ホームでスウェーデンを下し、望みをつなぐ

 残り4試合となった時点で4位、9月にはホームのスウェーデン戦、アウエーのオランダ戦とタフな相手が続く。ここでスウェーデンに3-2と競り勝ち、同日にオランダを破ったフランスのアシストをする。ところがフランスに大敗して意気消沈しているオランダとのアウエーゲームでは1-3と敗れてしまう。前回の本連載で紹介した通り、勝ち点12で4位、3位のオランダの勝ち点は13、2位のスウェーデンの勝ち点は16である。

■4戦全勝のホームでフランスに勝てば本大会が見えてくるブルガリア

 このように強豪に勝ったり負けたり、というのがブルガリアのここまでの戦いであるが、もし、フランスとの直接対決で勝利すれば、最終戦がルクセンブルク戦であり、オランダとスウェーデンが最終戦で直接対決することから、2位以内に入ることは無理ではない。
 そしてフランスのファンにとってはまだ24年前の記憶は鮮やかである。パルク・デ・プランスでの最終戦のエミール・コスタディノフのゴールばかりがクローズアップされるが、伏線としてはその前のイスラエルとのホームゲームで終了間際に決勝点を奪われたことがある。今回もルクセンブルクに引き分けてしまったことが大きな心理的要因として作用している。また、これまでのフランスとブルガリアの対戦成績はフランスの9勝、ブルガリアの8勝、4つの引き分けと均衡している。1993年秋の悲劇的な敗戦以来、1996年の欧州選手権(イングランドのニューカッスル)、そして昨年のワールドカップ予選とフランスが連勝し、通算成績で優位に立っているが、なんとブルガリアでフランスが勝利したのは初対戦となった1932年の親善試合が最後である。それ以降ブルガリアでは7回対戦しているが、1976年に1回引き分けたことがあるだけで、それ以外の6試合はすべてフランスは敗れている。
 今大会の予選も振り返ってみれば、ホームでの4試合はすべて勝利している。フランスもルクセンブルクに引き分け、スウェーデンもオランダと引き分けている。ホームで全勝しているのはグループAではブルガリアだけである。さてブルガリアから勝ち星を奪うことはできるだろうか。(続く)

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