第2349回 ペルーを下し、決勝トーナメント進出確定(1) 南米予選終盤は負けなしのペルー

 7年前の東日本大震災、一昨年の平成28年熊本地震などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■平均年齢がナイジェリアに次いで2番目に低い26歳のフランス

 ワールドカップ初戦はグループCの中で最も力が劣るとみられる豪州に2-1の辛勝、しかも1点目はVARによって得たPK、2点目はゴールラインテクノロジーによるゴール判定、いずれも新技術の恩恵で得たゴールであった。また、失点も不用意なハンドによるものであり、決してほめられた内容ではなかった。
 このようになった原因は初戦特有の緊張よりは選手の経験の少なさに起因すると言えるである。本来のストッパーのローラン・コシエルニーは所属するアーセナル(イングランド)でヨーロッパリーグの準決勝で負傷し、2度目のワールドカップ出場はならなかった。フランスンの登録23名の平均年齢はちょうど26歳、これは25歳11か月のナイジェリアに次ぎ、出場国の中で2番目に若い。

■歴史的に若いメンバーで臨んだ豪州戦

 そして、豪州戦の先発メンバーであるが、メンバーの中で最多得点を誇るオリビエ・ジルーは直前の米国戦で負傷しており、ベンチスタートとなった。結局、先発メンバーで30歳以上は主将のウーゴ・ロリスのみであり、平均年齢は24歳、歴代のワールドカップ出場チームの中で最も若く、チームの平均年齢よりも若かった。そのような若いメンバーが思い通りのプレーができなかったことも理解できる。
 逆に若い彼らは豪州戦での反省をもとに成長する可能では十分にある。ほぼ1月、最多で7試合という長丁場の大会で若いチームが進化していくことに期待したい。

■南米予選5位でニュージーランドとのプレーオフを制して36年ぶりに出場したペルー

 その若いチームが第2戦で対戦するのはペルーである。1982年大会以来36年ぶりに本大会に出場したペルーは1930年の第1回大会にも出場している。1970年代にはテオフィロ・クビジャスを擁し、1970年大会は優勝したブラジルに準々決勝で敗れ、1974年大会は予選落ちとなったが、1978年大会は二次リーグまで進んでいる。1982年大会は一次リーグで敗退、この大会の後にクビジャスが代表から退き、長いトンネルに入った。しかし、国民のサッカー熱は衰えることはなく、スタジアムには多くの観衆が押し寄せている。日本代表戦でも国内で最多観客動員した試合がペルー戦であることから日本の読者の皆様もペルーのサッカー熱についてご理解いただているであろう。
 今回の予選は南米予選で5位となり、大陸間プレーオフでオセアニア地区首位のニュージーランドと対戦し、1勝1分で勝ち抜いてきた。

■2016年11月以降負けなしでFIFAランキングも急上昇したペルー

 南米5位という成績を考えれば恐れるに足らぬように思われるが、FIFAランキングは11位、これは南米予選2位のウルグアイの17位、同じく4位のコロンビアの16位を上回る評価である。その理由はペルーの今回の予選の戦いぶりにある。
 今大会の南米予選は通常通り10チームが参加、大会の3年前の2015年10月から始まり、各チーム18試合を戦う。ペルーは最初の2戦を連敗、初めての勝ち点は3戦目のホームでのパラグアイ戦での1-0の勝利であった。しかし、その後も強豪相手に勝つことはできず、第7節のアウエーのボリビア戦では0-2と敗れたが、ボリビアが資格のない選手を出場させていたということで没収試合となり、勝ち点3を獲得する。このような幸運もあったが、その後も勝ち点をなかなか積み上げることができず、ペルーはベネズエラと最下位争いをしていた。
 ところが、2016年11月にホームで行われた第12節のブラジル戦の敗戦を最後に、第13節から第18節までの6試合は3勝3分と負け知らずで勝ち点を積み重ねる。終わってみれば勝ち点26で最終戦でブラジルに0-3と敗れたチリと並び、得失点差で2ポイント上回ったペルーが5位に入り込んだのである。また、南米予選だけではなく、親善試合でも無敗を続け、ワールドカップが開幕するまで、15戦無敗(10勝5分)という成績を残している。このような過去1年半の成績がペルーの世界ランキングを押し上げているのである。(続く)

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