第2358回 ウルグアイにも勝利、南米勢に3連勝(2) アントワン・グリエズマン、第二の故郷相手に活躍

 7年前の東日本大震災、一昨年の平成28年熊本地震、平成30年7月豪雨などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■ポルトガル戦で負傷したエディンソン・カバーニの欠場

 一次リーグ、決勝トーナメント1回戦まで4連勝して準々決勝に駒を進めたのは2チームのうちの1つであるウルグアイ、しかしながら1回戦のポルトガル戦で2得点を決めたカバーニは70分にふくらはぎを負傷してピッチを後にしている。リードしていたこともあり、大事を取って交代したかに見えたが、試合後の検査で重傷であることがわかり、準々決勝には出場できなくなった。

■ウルグアイを第二の故郷と公言するアントワン・グリエズマン

 ウルグアイのエースでパリサンジェルマン所属、2年連続でフランスリーグ得点王の不在に興をそがれる形となったが、この試合に並々ならぬ意欲を持っている選手がフランスにいる。それがアントワン・グリエズマンである。プロとしてのデビューはスペインのレアル・ソシエダ、その時の監督がウルグアイ人のマルティン・ラサルテ、そしてチームメイトにはウルグアイ代表選手がいた。現在はスペインのアトレチコ・マドリッドに所属しているが、ディエゴ・ゴディン、ホセ・ヒメネスというウルグアイ代表のチームメイトがおり、この2人はグリエズマンとも親しいが、フランス戦では最終ラインを守り、ウルグアイは第二の故郷と公言するグリエズマンと対決することになる。

■出場停止のブレーズ・マツイディに代わりコランタン・トリッソ

 そのフランスの先発メンバーであるが、GKはウーゴ・ロリス、DFは右からバンジャマン・パバール、ラファエル・バラン、サミュエル・ウムティティ、ルカ・エルナンデスと守備陣は変わらない。MFは低い位置の右にエンゴロ・カンテ、左にポール・ポグバ、3人の攻撃的なMFは右にキリアン・ムバッペ、中央のトップ下にアントワン・グリエズマン、左にコランタン・トリッソ、FWの1トップにオリビエ・ジルーというメンバーである。
 ブレーズ・マツイディがアルゼンチン戦で警告を受け、累積警告によって出場停止となり、代役をトリッソが務めることになる。トリッソは一次リーグ第1戦の豪州戦に先発出場している。また、アルゼンチン戦ではマツイディが警告を受けて次戦に出場停止が決まった3分後にマツイディに代わって出場している。まだ代表出場歴が11試合というキャリアの浅い選手に対するディディエ・デシャン監督のマネジメントのなせる技である。なお、フランスの先発メンバーの中でジルー、パバール、ポグバ、トリッソの4人がすでに警告を受けており、この試合で警告を受けると次戦は出場停止となる。このあたりの選手が警告を受けた場合にアルゼンチン戦で代表50勝目をあげたデシャン監督がどのような采配を取るかも注目したい。
 試合はフランスの攻撃力を警戒したウルグアイが守備的な試合運びをする。守備を固めてカウンターアタックに結びつけてこれまで4連勝してきたウルグアイであるが、カバーニの不在はカウンターの迫力を欠き、フランスの守備陣をあわてさせる気配を感じさせない。一方のフランスも試合を支配するものの、ウルグアイの組織的な守備の網をこじ開けることに苦労する。

■グリエズマンのFKにニアで合わせたラファエル・バランの先制点

 押し気味ではあるが、シュートに結びつけることのできない、フランスの先制点はセットプレーからであった。40分にペナルティエリアの右外側でFKのチャンスを得る。キッカーはグリエズマン、ゴール前に上がったボールに対してするりと出てきたのがバランであった。ニアに走りこんだバランがノーマークとなってヘディングで先制点をあげた。
 後半もウルグアイの組織的な守備をなかなか崩せなかったが、61分にマツイディの代役のトリッソが大きな仕事をする。ポグバから受けた球をグリエズマンにパスし、グリエズマンが左足でシュート、フランスは貴重な追加点を奪うが、第二の故郷ウルグアイに対するリスペクトか、グリエズマン自体は控えめな態度をとる。
 試合終盤にウルグアイは高さで勝負するパワープレーに出ると、デシャン監督はトリッソにかえて長身のエンゾンジを投入しウルグアイの攻撃を止める。
 フランスはペルー、アルゼンチンに続きウルグアイにも勝利、南米勢相手の不敗神話が続き、準決勝進出一番乗りを決めたのである。(この項、終わり)

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