第2367回 フランス、輝く2回目の優勝(5) 準決勝と同じメンバーで臨む両チーム

 7年前の東日本大震災、一昨年の平成28年熊本地震、平成30年7月豪雨などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■決勝に臨む両チームのメンバー

 両国の大統領が臨席する中、ルジニキ競技場のピッチに立った先発メンバーを紹介しよう。まず上から下まで全部青のフランス、GKはウーゴ・ロリス、DFは右からバンジャマン・パバール、ラファエル・バラン、サミュエル・ウムティティ、ルカ・エルナンデス、MFは低い位置の右にポール・ポグバ、左にエンゴロ・カンテ、3人の攻撃的なMFは右にキリアン・ムバッペ、中央のトップ下にアントワン・グリエズマン、左にブレーズ・マツイディ、FWは1トップにオリビエ・ジルーという布陣、ユニフォームの色もシステムもメンバーも準決勝のベルギー戦と同じである。
 一方のクロアチア、赤と白の市松模様、パンツ、ストッキングは白である。こちらは4-3-3システム、GKはダニエル・スバシッチ、DFは右からシメ・ブルサリコ、デヤン・ロブレン、ドマゴイ・ビダ、イバン・ストリニッチ、MFは中央のマルセロ・ブロゾビッチが低めに位置し、右にルカ・モドリッチ、左にイバン・ラキティッチ、FWは右にアンテ・レビッチ、左にイバン・ペリシッチ、中央にマリオ・マンジュキッチが控える。クロアチアも準決勝のイングランド戦とは全く同じシステムとメンバーであり、ユニフォームの色が黒と青の市松模様から変わっただけである。

■負傷者、出場停止者なく、ベストメンバーで決戦

 両チームともこれが7試合目であるが、負傷者、出場停止者はおらず、ベストメンバーでファイナルを戦うことになる。クロアチアは一次リーグの最初のナイジェリア戦で交代出場を拒否したニコラ・カリニッチがチームから追放されるというアクシデントがあり、前回準優勝の第1シードのアルゼンチン、2年前の欧州選手権で躍進したアイスランドという難しいグループを3戦全勝で突破し、決勝トーナメントに入ると3試合連続で延長戦、うち2試合はPK戦で勝ちあがってきた。
 フランスはメンバーを固定し、負傷者もおらず、大会前に代表出場歴が一桁であった両サイドDFのパバールとエルナンデスはいずれもこの決勝が代表12試合目となる。彼らは代表出場試合の半数以上がこのロシアでのワールドカップなのである。大舞台に経験の少ない選手を起用できることはディディエ・デシャン監督の卓越した眼があってこそなせる技であろう。そしてこの2人は安定したプレーを続けた。

■代表出場試合数の過半数がワールドカップ本大会のバンジャマン・パバールとルカ・エルナンデス

 特にパバールは決勝トーナメント1回戦のアルゼンチン戦、目の覚めるようなゴールは打ち合いとなった試合の帰趨を確定し、若きムバッペのゴールの起爆剤となったのである。パバールはフル代表として11試合戦ってきたが、無敗である。さらに言うならば、アンダーエイジのフランス代表として19試合に出場しているが、これまた無敗ということで青いユニフォームで負けたことがないのである。
 スペイン育ちのエルナンデスも今大会が始まるまではフランスのファンにはなじみのない存在、5月に行われたヨーロッパリーグの決勝戦ではアトレチコ・マドリッドの一員としてマルセイユに勝利し、フランスのファンからは憎まれ役的な存在であったかもしれない。赤と白の縦縞のユニフォームを青のユニフォームに代えてグリエズマンが活躍する姿を想像することはできても、エルナンデスがフランス代表の快進撃を支えることを想像できたのは、デシャン監督だけだったかもしれない。

■主審はアルゼンチン人のネストル・ピタナ氏

 そしてこの試合の審判はアルゼンチン人のセットであり、主審はネストル・ピタナ氏である。ピタナ氏は元映画俳優という異色の経歴を持つが、現在は体育教師である。開幕戦でも主審を務め、決勝が5試合目の主審となる。フランスの準々決勝のウルグアイ戦、クロアチアの1回戦のデンマーク戦と両チームの試合の主審を務めているのである。(続く)

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