第2878回 ワールドカップ予選、9月の3連戦(1) ディディエ・デシャン監督続投

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■欧州選手権明けの最初の試合はワールドカップ予選の3連戦

 フランスは欧州選手権では優勝候補最右翼と言われながら、決勝トーナメント1回戦でスイスにPK戦で敗れ、姿を消してしまった。8月からリーグ戦も再開したが、9月からは代表の試合も控えており、9月1日、4日、7日にワールドカップ予選を戦うこととなる。フランス代表の試合が2か月ぶりに行われるが、以前は8月に親善試合を行っていたが、現在はいきなりタイトルマッチがシーズンの最初に3試合連続で行われる。親善試合を少なくし、力の接近した相手とのタイトルマッチを増やすためにUEFAネーションズリーグが始まったのは記憶に新しい。真夏の風物詩であった8月の親善試合は2013年のベルギーとの対戦を最後に途絶えている。
 最近のワールドカップ、欧州選手権明けのスケジュールを振り返ると、2018年のワールドカップは7月15日の決勝の次の試合はUEFAネーションズリーグであり、9月6日にドイツ、9日にオランダと連戦している。2016年の欧州選手権は7月10日の決勝の次は9月1日の親善試合のイタリア戦で、その直後の6日に欧州選手権予選でベラルーシと戦っている。2016年の欧州選手権が自国開催であり予選が免除されたため、2014年のワールドカップの後は親善試合が続いたが、2012年の欧州選手権は6月23日の準々決勝でスペインに敗れ、8月15日にウルグアイと親善試合を行ってから、9月初めのワールドカップ予選でフィンランド、ベラルーシと対戦している。
 このように振り返ってみると、近年はワールドカップ、欧州選手権明けにタイトルマッチが直接行われ、しかも今回は3試合を集中して行う。主要国際大会を契機に新体制への切り替えを行った場合、かなりリスクの伴うスケジュールとなっている。

■フランスサッカー連盟会長と会談、ワールドカップまでディディエ・デシャン監督続投

 そういう背景もあるのか、欧州選手権での早期敗退を受けて、長期政権のディディエ・デシャン監督は来年のワールドカップ終了後までの任期を前に退陣するのではないかと思われた。しかし、敗退後すぐにフランスサッカー連盟のノエル・ルグラエ会長はデシャン監督を訪問し、デシャン監督の続投を確認した。通常のインターバルとは異なり、欧州選手権からワールドカップまで1年強、新体制でチームを構築することは困難である。また、欧州選手権の結果こそ近年の主要国際大会には及ばないが、内容的には悪くなく、デシャン体制で来年のワールドカップを迎えることは妥当なシナリオであろう。

■10月にUEFAネーションズリーグを戦うフランス、9月と11月にワールドカップ予選

 ワールドカップ予選は8試合のうち、3試合は3月の末に消化しており、残り5試合、そのうちの3試合が9月の初めに行われ、最後の2試合は11月中旬に行われる。10月にもインターナショナルマッチデーは設定されているが、フランスはUEFAネーションズリーグの準決勝以降がスケジュールされており、準決勝ではベルギーと対戦することが決まっている。

■9月の3試合で2位以下に大きく差を付けたいフランス

 9月の中盤戦3試合で取りこぼさずに、優位な立場で試合を進めて、11月の2試合は新戦力をテストする機会としたいところである。現時点でフランスとウクライナが3試合消化、それ以外のフィンランド、ボスニア・ヘルツェゴヴィナ、カザフスタンが2試合消化した時点での順位であるが、フランスが首位で2勝1分で勝ち点7、2位は3引き分けで勝ち点3のウクライナ、3位のフィンランドは2引き分けで勝ち点2、ボスニア・ヘルツェゴヴィナとカザフスタンはともに1分1敗で勝ち点1にとどまる。すなわち、フランスしかこのグループでは勝利したことがなく、9月の3連戦で一気に2位以下を引き離すことも想定できる。10月にUEFAネーションズリーグを戦うこともあり、フランスのスケジュールは他国よりも早く進められるが、2位以下を早く引き離しておきたいところである。
 9月の3連戦に向けたメンバーが8月26日に発表されたのである。(続く)

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