第480回 ワールドカップ予選フィナーレ(2) 遅れてきた新人、フランク・ジュリエッティ

■ジネディーヌ・ジダン復活の日にトリノでは悲劇

 前回の本連載では大詰めとなったワールドカップ予選のスイス戦、キプロス戦でジネディーヌ・ジダンをメンバーに入れたことを紹介した。9月のアイルランド戦で負傷したジダンは、10月2日のスペインリーグのマジョルカ戦の最後の15分間に出場した。試合は4-0とレアル・マドリッドが大勝し、ほぼ1月ぶりに試合に出場したジダンもまずまずの動きを見せた。
  ところが、この同じ日にイタリアのトリノのデッレ・アルピ競技場で行われたユベントス-インテル・ミラノ戦では信じたくないことが続いて起こった。まず、後半開始早々にリリアン・テュラムが負傷してピッチを去る。そして75分にはダビッド・トレゼゲが左太ももを負傷して同じくピッチを去ったのである。特にトレゼゲは今季開幕以来4得点と絶好調であり、この2人の負傷のその後が気になった。メディカルスタッフの判断によると、テュラムは負傷を治療させてスイス戦に出場の見込みであるが、トレゼゲはスイス戦への復帰は絶望的であり、レイモン・ドメネク監督はトレゼゲの名前をリストから削除せざるを得なかったのである。

■アンリ-トレゼゲを欠く攻撃陣

 これでフランスはスイスとの決戦でアンリ-トレゼゲという最強の2トップを失うことになり、ベルンでの戦いを前に悲観的な予想が広がったのである。アンリもトレゼゲも出場しなかった試合は開催が急遽決まった今年5月31日のハンガリー戦以来のことである。それよりさかのぼると昨年2月18日のベルギー戦が2人とも出場していなかった試合である。2003年以降、フランス代表は数多くの試合をしてきたが、この2試合以外では必ず2人のうち少なくとも1人が出場しており、フランスは大一番を前に攻撃の主力2人を欠く陣容となったのである。また、守備陣のガエル・ジベも負傷で戦列から離脱してしまった。

■代役の見つからない攻撃陣、主力の合流遅れ

 このような攻撃の主力を負傷で欠いた段階でドメネク監督の動向が注目された。しかし、ドメネク監督はジベのバックアップとして代表初選出となるボルドーのフランク・ジュリエッティを招集したが、攻撃陣の選手は欠員を補充しなかったのである。アンリ、トレゼゲを欠く攻撃陣のメンバーはジブリル・シセ、ルドビック・ジュリー、シドニー・ゴブー、ペギー・リュインデュラ、シルバン・ビルトールの5人、数的には十分であるが、質的には心もとない。ただ現実解として、アンリ、トレゼゲの穴をうめることができる選手がいないことも事実である。
  10月4日にフランス代表はクレールフォンテーヌに集結して練習を開始した。しかし、この練習の場にジダン、テュラム、そしてパトリック・ビエイラの姿はなかったのである。ジダンはまだ体調は完全ではなく、テュラムは治療中、そしてビエイラも体調不十分であり、クレールフォンテーヌでは練習を見学するにとどまったのである。

■30歳で代表初選出となるジュリエッティ

 その中で、期待を集めているのが今回代表に初招集となったジュリエッティである。初招集であるが1975年生まれの30歳の選手である。23歳以下の代表では活躍したが、その後フル代表からは声がかからず、また国外からのクラブからも声がかからず、グーニョン、バスティア、モナコ、マルセイユを経てボルドーに所属して今年で3年目となる。それぞれのチームではコンスタントに試合に出場しており、さながら遅れてきた新人である。
  2002年のワールドカップ敗退以降、フランス代表には数多くの国内リーグに所属する新人が招集された。しかし、彼らの多くは国内リーグでもキャリアを積んでおらず、国外のクラブに所属し代表でも経験を十分に積んだベテランを脅かすにいたっていない。その帰結として今夏のジダン、テュラム、マケレレの復帰となったのであろう。ジュリエッティはこれまでの新人とは異なり、国内クラブでの経験は豊富である。ジュリエッティの狙うポストは左サイドバック、ビシャンテ・リザラズの引退後、これといった人材が見当たらないポジションである。この大一番で代表デビューを飾り、ドイツ行きの立役者となることができるであろうか。(続く)

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