第3610回 ワールドカップ2026年大会の予選開幕(1) UEFAネーションズリーグの影響で短期決戦に
平成23年東日本大震災、平成28年熊本地震、平成30年7月豪雨、台風15号、19号、令和2年7月豪雨、令和6年能登半島地震などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。
■多くの国でまだ始まっていないワールドカップ予選
パリサンジェルマンが準優勝したクラブワールドカップ、新たな大会方式に加え、来年のワールドカップのリハーサルとしての位置づけもあった。大会運営に関しては、大会開催時期、開催都市並びにその移動距離の過酷な条件が議論となった。ワールドカップは米国だけではなく、隣国のカナダ、メキシコでも開催され、さらに厳しい大会となるであろう。
大会開催まで1年を切ったが、欧州では多くの国でまだこのワールドカップ予選が始まっていない。これまではワールドカップの2年前に行われる欧州選手権の本大会が終わるや否や、9月にワールドカップ予選が始まり、ワールドカップ前年の11月に本大会出場国が決定していた。今大会予選は大幅に期間が短縮された。
■5チームからなるグループと4チームからなるグループが併存
本大会出場国がこれまでの32から48に拡大されることから、欧州からの出場枠も13から16へと拡大された。欧州からの予選参加国は54である。ロシアはウクライナへの軍事侵攻によってUEFAとFIFAの主催試合に無期限出場停止となっている。出場54チームは12グループに分けられ、4チームからなるグループがグループAからFまでの6グループ、グループGからLまでの6グループは5チームで形成される。5チームからなるグループは今年3月から11月までグループリーグが行われ、4チームからなるグループは9月から11月までグループリーグを戦う。各グループの首位チームは本大会出場となるが、グループ2位チームは、UEFAネーションズリーグのグループ優勝チームのうち成績の良い4チームを加えて、来年3月のプレーオフに最後の希望を託す。フランスは4チームからなるグループDに入っているため、これから予選が始まることになる。
■3月と6月のインターナショナルマッチデーにUEFAネーションズリーグを戦う国々
さて、予選のグループ分けでは、先述の通り、今年3月から予選が始まるが、3月のインターナショナルマッチデーにはUEFAネーションズリーグの準々決勝と昇格・降格プレーオフ、6月のインターナショナルマッチデーにはUEFAネーションズリーグの準決勝、決勝、3位決定戦が行われる。したがって、UEFAネーションズリーグの準々決勝進出8チームならびに昇格・降格プレーオフに出場する16チームは3月にはワールドカップ予選を戦うことができず、UEFAネーションズリーグの準決勝進出4チームは6月のワールドカップ予選を戦うことができない。したがって、UEFAネーションズリーグの準決勝進出チームは4チームのグループに入らなくてはならないが、組み合わせ抽選が行われた昨年の12月段階ではどのチームが準決勝に進出するかわからない。そのため、次のような仕組みで組み合わせ抽選が行われた。
■UEFAネーションズリーグ準々決勝で勝利して4チームのグループに入ったフランス
まず、UEFAネーションズリーグの準々決勝進出8チームが第1シードに割り当てられ、残りのチームがFIFAランキング順にシード分けされる。フランスは他に準々決勝に進出しているスペイン、ポルトガル、オランダ、イタリア、ドイツ、クロアチア、デンマークとともに第1シード入りする。そしてそれ以外にイングランド、ベルギー、スイス、オーストリアが第1シードとなる。準々決勝で対戦するチームをペアにして3月の準々決勝で勝利したチームが4チームのグループ、負けたチームが5チームのグループに入る。
例えば、準々決勝で対戦するフランスとクロアチアは、一方が4チームからなるグループD、他方が5チームからなるグループLに入り、どちらになるかは準々決勝の結果で決まる。3月のインターナショナルマッチデーはフランスもクロアチアもワールドカップ予選ではなくUEFAネーションズリーグの準々決勝を戦う。勝利したフランスは4チームからなるグループDに入り、敗れたクロアチアは5チームからなるグループLに入る。6月のインターナショナルマッチデーはフランスはUEFAネーションズリーグの準決勝以降の2試合、クロアチアはワールドカップ予選2試合を戦う。そして両チームとも9月からは毎月2試合ずつワールドカップ予選を戦う。このようにして、クロアチアは8試合、フランスは6試合戦うことになるのである。(続く)