第3615回 ワールドカップ2026年大会の予選開幕(6) ホームゲームをパルク・デ・プランスで開催するフランス
平成23年東日本大震災、平成28年熊本地震、平成30年7月豪雨、台風15号、19号、令和2年7月豪雨、令和6年能登半島地震などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。
■ホームゲーム3試合をパルク・デ・プランスで開催するフランス
ディディエ・デシャン体制で2回目の優勝を目指すワールドカップの予選、フランスは開幕戦でウクライナと対戦、ポーランドのブロツワフで2-0と勝利した。
最大の難敵をクリーンシートで退け、続く第2戦はアイスランドをホームに迎える。今予選は9月から11月まで毎月2試合ずつ行われ、1試合はホーム、もう1試合はアウエーでの試合となる。フランスはホームゲーム3試合をいずれもパルク・デ・プランスで開催する。1998年にスタッド・ド・フランスが開業してから、フランスの代表チームはパリならびにその周辺のイール・ド・フランスで試合を行う際はスタッド・ド・フランスと決まっていた。
例外的に他のスポーツイベントと重なった場合のみ、パルク・デ・プランスを利用してきた。記憶に新しいところでは、昨年のオリンピック・パラリンピック、一昨年のラグビーワールドカップと9月のインターナショナルマッチデーが重なり、昨年はUEFAネーションズリーグのイタリア戦、一昨年は欧州選手権予選のアイルランド戦でパルク・デ・プランスを使用している。
■新たな運営会社のGLイベンツ社との契約が不調に終わったフランスサッカー連盟
今回はスタッド・ド・フランスで何かほかのスポーツイベントを開催するわけではない。その理由はスタッド・ド・フランスの営業権の所有者が変更したからである。スタッド・ド・フランスは開業以来、建設にあたったバンシ社とブイグ社のコンソーシアムが運営管理してきたが、その期限が2025年夏で切れた。ここで新たに運営権を得たのはリヨンに本社のあるGLイベンツ社である。オリンピック・パラリンピックをはじめとするスポーツイベントの運営、国際見本市や展示会の企画・主催、コンベンションセンターの運営などをグローバルに展開している企業であるが、日本の皆様ならばよくご存じの会社であろう。GLイベンツ社の日本法人は、現在開催されている大阪・関西万博の海外パビリオンの建設工事の元請けとなっているが、下請け企業への工事代金の未払いが問題となっている。そのGLイベンツ社とスタッド・ド・フランスの使用についてフランスサッカー連盟は交渉したが、合意に至らず、パルク・デ・プランスを使用するということになった。
■1年前はイタリアの逆転負け、芝の状態に問題のあるパルク・デ・プランス
パルク・デ・プランスでのフランス代表の直近の試合は昨年9月6日のイタリア戦であるが、この試合は本連載第3430回で紹介した通り、ブラッドリー・バルコラがフランス代表として史上最速となる開始14秒で得点を奪ったが、逆転負けを喫している。そしてパルク・デ・プランスはパリサンジェルマンの本拠地であり、パリサンジェルマンはホームの開幕戦を8月22日にアンジェを迎えて行っている。パルク・デ・プランスでは前季最終節の5月17日のオセール戦以来の試合であり、パリジャンは待ちに待った試合となった。試合は後半の立ち上がりのファビアン・ルイスのゴールでパリサンジェルマンが勝利したものの、芝の状態は悪く、欧州チャンピオンのホームグラウンドにふさわしいとは言えなかった。
スタッド・ド・フランスの運営権についてはパリサンジェルマンも入札に応じたが、もし、パリサンジェルマンが落札していれば、パリサンジェルマンは本拠地をスタッド・ド・フランスに移し、代表戦も従来通りスタッド・ド・フランスで開催していたかもしれず、状況は変わっていたであろう。
■フランスで開催された2016年の欧州選手権では旋風を巻き起こしたアイスランド
さて、フランスの相手のアイスランドであるが、今予選は第3シード、9月5日に行われた第1節ではホームにアゼルバイジャンを迎え、5-0と勝利している。そして忘れてはならないのが、2016年にフランスで開催された欧州選手権である。本大会初出場となったアイスランドはグループリーグでポルトガル、ハンガリーと引き分け、オーストリアに勝利して2位となって決勝トーナメントに進出、1回戦でイングランドに逆転勝利、準々決勝ではフランスとスタッド・ド・フランスで対戦したのである。(続く)