第3631回 好調な序盤戦となったフランス勢(6) 欧州で勝利から見放されているニース

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■欧州カップで13試合未勝利のニース

 ヨーロッパリーグのリーグフェーズに出場しているチームの中で最もUEFAインデックスの高いローマ(イタリア)をアウエーでリールが破った試合と同時刻に行われたのがフェネルバフチェ(トルコ)-ニース戦である。前回の本連載で紹介した通り、66年ぶりの対戦となる。ニースにとってはチャンピオンズカップ、チャンピオンズリーグの本戦で最後に勝利したのがこの対戦であった。近年ニースは復活してきたが、欧州での試合を苦手としているようで、昨季のヨーロッパリーグのリーグフェーズは3分5敗、今季の第1節も敗れており、13試合連続で勝利がない。

■序盤に2点を失ったニース

 アウエーとは言え、この試合も立ち上がりから圧倒された。開始3分、ニースはボールを奪われ、フェネルバフチェのカウンターアタックを食らい、ケレム・アクトゥルコールが左足でゴールを奪う。本連載の読者の方ならば、アクトゥルコールをご存じであろう。昨季のチャンピオンズリーグの決勝トーナメントのプレーオフ、モナコはポルトガルのベンフィカと対戦する。その第2戦でこのトルコ代表のゴールが結果的には決勝点となった。アクトゥルコールは、自身にとって初めての国外クラブ所属となったベンフィカから今夏母国に戻りフェネルバフチェの一員となり、チャンピオンズリーグのプレーオフでも得点をあげ、フェネルバフチェの本戦出場に貢献した。そのアクトゥルコールは25分にも追加点を奪う。

■反撃はPKの1点どまりのニース

 これに対してニースはジョナタン・クロースがFKをゴール前にあげる。これをトム・ルーシェと競り合ったフェネルバフチェの主将ミラン・シュクリニアルがファウルを犯す。シュクリニアルは昨季までパリサンジェルマンに所属していたスロバキア代表である。ニースはPKを獲得し、37分にケビン・カルロスが1点差に迫るPKを決める。 逆に41分にニースの主将のメルバン・バールがペナルティエリア内でファウルを犯し、主審はPKを命じるが、副審のフラッグが上がる。フェネルバフチェの選手がオフサイドだったため、このPKは取り消され、ニースは救われる。
 後半、ニースは何とか同点、さらには逆転を目指したが、結局ゴールを奪うことができず、2023年3月のカンファレンスリーグのベスト8決定戦以来の欧州カップでの勝利はまたお預けとなったのである。

■RBザルツブルクと対戦したリヨン、序盤のPKを失敗

 リールとニースが試合を行った翌日の10月2日、リヨンがホームのグルーパマ競技場にオーストリアのRBザルツブルクを迎える。リヨンは第1節ではアウエーでユトレヒト(オランダ)に勝利しただけではなく、国内リーグでもここまで5勝1敗と好調である。昨季の成績以上を期待するファンの期待は大きく、3万人以上の観衆が集まった。
 相手のRBザルツブルクはチャンピオンズリーグの予備戦から転戦してきたチームで、第1シードであるが、第1節ではポルト(ポルトガル)とのホームでの第1シード対決で0-1と敗れている。
 試合はゴール前の攻防の多い展開となった。試合開始からリヨンが攻め、RBザルツブルクが止めるという展開となった。そして5分、リヨンはマティ・デカルバロがペナルティエリアの外からシュート、これをブロックしようとしたRBザルツブルクの守備陣の腕にシュートが当たる。主審はPKの判定、リヨンのキッカーは今夏チェコのプルゼニから移籍してきたチェコ代表のパベル・シュルツである。リヨンに加入してからほとんど交代出場で、キックオフから先発するのはこの試合が2試合目である。エンジンがかかっていなかったのか、キックはRBザルツブルクのGKアレクサンダー・シュラガーに簡単にキャッチされてしまったのである。(続く)

 
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