第3644回 折り返しを迎えるリーグフェーズ(7) 連勝のあと連敗となったリール
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■未勝利のPAOKテッサロニキが前半に3点を奪う
前回の本連載ではヨーロッパリーグのリーグフェーズでリヨンが開幕3連勝したが、第4節でベティス(スペイン)に敗れたことを紹介した。今回はヨーロッパリーグに参戦している他のフランス勢を紹介しよう。
リヨンと共に連勝スタートとなったのがフランス勢としてはトップシードの第1シードのリールである。リールの第3節はギリシャのPAOKテッサロニキをホームに迎える。第2シードのPAOKテッサロニキはここまで1分1敗と未勝利である。リールは直前のリーグ戦のナント戦で0-2と敗れており、ブルーノ・ジェネジオ監督は先発メンバーを4人入れ替えた。ホームのピエール・モーロワ競技場の観衆の声援を受けたリールが勝利するのではないかと楽観的に考えていたが、試合は思わぬ展開となった。ボール支配率では上回るものの、リールはピンチの連続となる。16分には負傷で早くも1人が交代、18分に先制点を奪われる。さらに23分にも追加点を奪われ、42分の失点で3点差となってしまう。
■またもPKをストップしたベルケ・エゼル
後半に入って攻撃の糸口をつかんだリールは57分になってようやくバンジャマン・アンドレが反撃の1点を上げる。リールは68分にハムザ・イガマネのゴールで1点差に詰め寄る。その直後にリールは先制点をあげたアンドレが自陣ペナルティエリア内でファウル、PAOKテッサロニキにPKを与えてしまう。キッカーは主将のアンドリア・ジブコビッチ、23分の追加点を決めたセルビア代表である。このPKをリールのベルケ・エゼルがストップする。エゼルはローマ戦でも3連続でPKをストップしており、これで4連続阻止となった。追い上げムードがPKでしぼんだかに見えたが、エゼルのスーパープレイが追い上げムードが復活した。
ただ、PAOKテッサロニキの主将も意地を見せ、失敗を即座に取り返す。ジブコビッチがPKを止められた3分後にゴールを決めて、2点差とする。
■後半アディショナルタイムのリールの同点ゴールはオフサイドで認められず
リールはあきらめていなかった。78分にイガマネがペナルティエリア外から強烈なシュートを放ち、再び1点差とする。時計の針は90分を指す。後半のアディショナルタイムは6分と表示された。91分にはイガマネがハットトリックかと思われるシュートを放ったが、枠の外をボールは通り過ぎる。防御一方のPAOKテッサロニキはGKが遅延行為でイエローカードを提示される。94分にはフェルナンデス・パルドのクロスがPAOKテッサロニキの選手に触れてコースが変わり、ポストに当たるが得点にはならない。そして97分、アンドレのシュートがネットを揺らし、同点かと思われたが、オフサイドの判定で得点が認められず、リールの追い上げは1点足りず、3-4で初黒星となったのである。
■未勝利のレッドスター・ベオグラードに敗れたリール
この敗戦の2週間後、リールは第4節でレッドスター・ベオグラードと対戦するためにセルビアの首都ベオグラードに移動する。チャンピオンズカップを制した東欧の雄も近年は欧州ではリーグフェーズ(グループリーグ)を勝ち抜けない。今季もチャンピオンズリーグのプレーオフで敗れてヨーロッパリーグに転戦してきたが、ここまで1分2敗と勝ち点を稼ぐことができない。
前半はレッドスター・ベオグラードは試合を組み立てることができず、リールも正確性を欠き、両チーム無得点のまま後半に入った。
両チームは後半に入って沈滞ムードを払拭するために選手交代する。リールは67分、一気に3人を交代させ、オリビエ・ジルー、トマ・ムニエという元代表クラスのベテランを投入する。レッドスター・ベオグラードの交代選手が72分にシュートを決めたが、オフサイドで取り消しとなる。
そして85分にレッドスター・ベオグラードのCFマルコ・アルノートビッチがゴールを決める。残り時間にリールもジルーを中心に攻めたが、ゴールをあげることなく、0-1で敗れ、連勝のあとの連敗となったのである。(続く)
