第3648回 パルク・デ・プランスでワールドカップ出場決定(3) パリ同時多発テロから10年

 平成23年東日本大震災、平成28年熊本地震、平成30年7月豪雨、台風15号、19号、令和2年7月豪雨、令和6年能登半島地震などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■青一色のフランス、黄色一色のウクライナ

 いよいよ11月13日、パルク・デ・プランスにウクライナを迎え、ワールドカップ出場をかけた試合がキックオフされる。
 上から下まで青一色のユニフォームに身を包んだフランスの先発メンバーを紹介しよう。GKはマイク・メニャン、DFは右からジュール・クンデ、ウィリアン・サリバ、ダヨ・ウパメカノ、ルカ・ディーニュ、MFは低い位置にエンゴロ・カンテとマヌ・コネ、攻撃的なMFは右にミカエル・オリーズ、左にブラッドリー・バルコラ、中央のトップ下にラヤン・シェルキ、FWの1トップはキリアン・ムバッペであり、主将を務める。
 一方のウクライナは上から下まで黄色一色、フランス相手のアウエーでの試合ということでDFに5人を配置、その要となるのが今季パリサンジェルマンに移籍してきたイリア・ザベルニーである。ウクライナはこれまでフランス国内でフランスに勝利したことはない。2013年11月のキーウでの試合が唯一のフランス戦勝利である。

■同時多発テロから10年、スタッド・ド・フランスとパルク・デ・プランスでセレモニー

 10年前のこの日、サンドニにあるスタッド・ド・フランスではフランス-ドイツ戦が行われ、テロの舞台となり、夕方には追悼セレモニーが行われた。セレモニーはテロのあったD門のところで行われ、エマニュエル・マクロン大統領とフランスサッカー連盟のフィリップ・ディアロ会長も臨席、犠牲となったマニュエル・ディアス氏の追悼プレートに献花している。ディアス氏は熱心なサッカーファンであったが、自爆テロに巻き込まれて命を落とし、娘のソフィー・ディアスさんがセレモニーでスピーチをしている。
 パリ同時多発テロはパリ市内で多くの犠牲者を出したが、パルク・デ・プランスでの試合前には犠牲者に対する黙祷が捧げられた。フランスの先発イレブンはセンターサークル内で、控えメンバーとスタッフはベンチ前で肩を組んで黙祷をした。パルク・デ・プランスにはパリは犠牲者のことを忘れないと書かれ、パリ市の標語である「Fluctuat nec mergitur(たゆたえども沈まず)」が掲出される。
 そしてこのテロの犠牲者を追悼する思いは平和を追求する思いであり、対戦チームであり、戦時下にあるウクライナへの連帯の気持ちとなったのである。

■キックオフから一方的に攻め続けるフランス、守るウクライナ

 ムバッペのキックオフで始まった試合はフランスがボールを保持してパスをつなぎ、ウクライナはフランスの攻撃を耐え忍ぶという展開になった。最初にゴールを脅かしたのはフランスであった。4分にオリーズが右サイドから切れ込み、ペナルティエリア内に入る。オリーズは9月にポーランドで行われたアウエーのウクライナ戦でも先制点を決めており、この試合でも先制ゴールを狙ってシュートを放ったが、ウクライナのGKアナトリー・トルビンがボールをキャッチする。5分にはムバッペがシュートを放つが、今度はイエホル・ナザリナにブロックされる。さらにフランスはクンデがボールを確保してクロスをあげる。ウクライナのDFはボールをうまくコントロールすることができず、フランスはこの試合初めてのCKのチャンスを得る。フランスはCKからオリーズがゴールを狙うが、これもまたウクライナのDFに当たる。次はシェルキがボールを持ってペナルティエリアに侵入、右足のシュートは強烈であったが、これもまたウクライナのDFに阻まれる。このシュートをブロックしたタラス・ミクハフコはこの試合が代表デビュー戦であったが、ピッチに倒れ込んで救護を受ける。

■ゴール裏の横断幕、青白赤のコレオグラフィー、ラ・マルセイエーズのアカペラ

 試合開始からフランスが一方的に攻めたが、13分、スタンドがざわめく。ゴール裏には「私たちの11月13日の132の星へ捧ぐ」と書かれた横断幕が掲出される。そして1階部分は青白赤のフランス国旗のコレオグラフィーが出現し、2階部分は無数の電灯が灯され、ラ・マルセイエーズのアカペラの歌声が鳴り響いた。同時多発テロの犠牲者を追悼するサポータークラブの演出だったのである。(続く)

このページのTOPへ