第3659回 好成績で越年するフランス勢(2) サン・ジロワーズに63年ぶりに勝利したマルセイユ
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■マルセイユの欧州カップ初戦の相手だったサン・ジロワーズ
前回の本連載ではチャンピオンズリーグのリーグフェーズ第6節でモナコがホームでガラタサライ(トルコ)に勝利したことを紹介したが、続いてマルセイユの戦いを紹介しよう。
マルセイユはモナコと同時刻の12月9日21時にキックオフを迎えた。ベルギーのサン・ジロワーズとアウエーで対戦する。サン・ジロワーズは1900年代と1930年代にはベルギーリーグで10回の優勝を誇っているが、昨季90年ぶりの優勝を果たし、チャンピオンズリーグには初出場となる。今年で4年連続の欧州カップ出場となるがそれ以前は1950年代から1960年代にかけてUEFAの前身となるインターシティーズ・フェアーズ・カップに修したことがある。1962-63シーズンの1回戦でマルセイユはサン・ジロワーズと対戦し、1勝1敗であったが、2試合合計得点でサン・ジロワーズが2回戦に進出、マルセイユは1回戦敗退となる。実はマルセイユがホームで勝利した試合はマルセイユの欧州カップの最初の試合であり、記念すべき初勝利ということになる。今回はそれ以来63年ぶりの対戦となる。
■ライバルのアンデルレヒトの本拠地で試合を行うサン・ジロワーズ
ここまでのチャンピオンズリーグのリーグフェーズの成績は両チームとも2勝3敗、マルセイユが得失点差で上回っている。
サン・ジロワーズは第一次世界大戦後の1919年に完成し、翌年のオリンピックにも使用されたジョセフ・マリアン競技場を完成当初から本拠地として使用し、63年前のマルセイユ戦もここで開催された。しかし、アールデコ調のファサードを持つこの競技場の収容人員はわずか9,400人で現在のUEFAの基準に達していないため、サン・ジロワーズは欧州カップではライバルのアンデルレヒトの本拠地であるコンスタン・バンデン・ストック競技場を使用している。
■序盤の失点から立ち直り、逆転して前半を終えたマルセイユ
16,000人の観衆が集まった中で試合はキックオフを迎える。マルセイユのロベルト・デ・ゼルビ監督は今季は毎試合、メンバーを入れ替えているが、この試合は出場停止処分中であり、ベンチで指揮を執るのはジャック・アバルドナードである。
マルセイユは序盤から積極的に攻めこむ。しかし、開始5分、先制点を奪ったのはサン・ジロワーズ、アラン・カライリがミドルシュートを決める。思わぬ失点を喫したマルセイユであったが、攻撃を続け、15分にはペナルティエリア内でボールを受けたピエール・エメリク・オーバメヤンがシュート、これはサン・ジロワーズのGKに阻まれたが、跳ね返ったところをイゴール・パイシャオンが同点シュートを決める。パイシャオンは今季のチャンピオンズリーグで4得点目となる。マルセイユはボール支配率でもサン・序ろわーずを大きく上回り、シュートを次々と放つ。41分にマルセイユは逆転する。メイソン・グリーンウッドが中盤からオーバメヤンとワンツーパスを交換して前進、右足でシュートを決める。
■終盤の猛攻をしのいだマルセイユ、通算成績を3勝3敗とする
前半は最初の10分間はサン・ジロワーズの試合であったが、その後はマルセイユの試合で逆転する。後半に入ってもマルセイユの攻勢は続く。58分にはオーバメヤンがマット・オライリーにボールをつなぎ、オライリーはグリーンウッドにパス、グリーンウッドが左足でシュートを決める。マルセイユの選手でチャンピオンズリーグのアウエーゲームで複数得点を記録したのは2010-11シーズンのアンドレ・ピエール・ジニャックとルーチョ・ゴンザレス以来のことである。
マルセイユは2点差としたが、終盤は序盤と同様にサン・ジロワーズの試合となってしまう。71分にサン・ジロワーズは左サイドからのクロスがゴール前で混戦となり、先制点を奪ったカライリがハーフボレーで1点差に迫るゴールを決める。さらに76分にはサン・ジロワーズはスピードに乗った攻撃でマルセイユの守備陣を切り裂き、ケビン・マカリスターのシュートが決まる。同点ゴールかと思われたが、VARの末、オフサイドとなり、マルセイユは救われた。終盤のマルセイユのGKのジェロニモ・ルリの活躍もあり、3-2と逃げ切ったマルセイユが3勝3敗とした。(続く)
