第3667回 1部勢が参戦したフランスカップ(5) ルアーブルとオセールが姿を消す
平成23年東日本大震災、平成28年熊本地震、平成30年7月豪雨、台風15号、19号、令和2年7月豪雨、令和6年能登半島地震などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。
■無観客のニース、連続敗戦記録を9でストップ
今回は1部勢と2部勢、1部勢同士の試合を紹介しよう。今季のフランスカップベスト32決定戦で1部と2部の顔合わせは3カード、ニース-サンテチエンヌ戦、ストラスブール-ダンケルク戦、ルアーブル―アミアン戦、1部勢の対戦はオセール-モナコ戦である。
ニースは本連載で紹介している通りヨーロッパリーグでは6連敗と不調であるが、国内リーグも6連敗を喫し、13位まで順位を下げている。ファンはこの成績に怒りを爆発、11月21日のマルセイユ戦では爆竹や花火を爆発させ、制裁を受け、この試合は無観客で行われる。ただ、ニースは戦力的に見劣りしているわけではない。ジョナタン・クロースとタンギ・エンドンベレという2人のフランス代表経験のある選手が先発する。対するサンテチエンヌも名門であるが、今季2部に陥落、2部では現在3位、1部復帰を射程圏内である。
試合は好調なサンテチエンヌが序盤から攻めたが、先制点は11分のニース、ズーマナ・ディアロが左足で決める。サンテチエンヌは前半終了間際にPKを得て、同点に追いつく。
サンテチエンヌが終始優勢に試合を進め、ニースは守勢であったが、後半に入って72分、ニースはモルガン・サムソンが得点し、これが決勝点となる。ニースは国内外で9連敗中であったが、10月29日以来の勝利を決めることができたのである。
■バレンティン・バルコの活躍で勝利したストラスブール
ストラスブールはカンファレンスリーグでは好調であり、国内リーグでは7位であるが、4試合勝利がない。2部のダンケルクがボールを支配する展開となったが、ストラスブールを救ったのが21歳のアルゼンチン代表、バレンティン・バルコである。本来のポジションはDFであるが、中盤の選手として攻撃を組み立て、26分にはフリオ・エンシソへパスを出し、エンシソが先制点をあげる。40分にはバルコのクロスに合わせて主将のイスマエル・デュクレが2点目をあげる。後半に入ってダンケルクは1点を返したが、前半の2点を演出したバルコの活躍でストラスブールが勝利した。
■2部のアミアン、ルアーブルを下す
ジャイアントキリングが起こったのはルアーブルとアミアンの試合である。ルアーブルは国内リーグ戦では11月以降は白星がなく、順位も15位と低迷、2部降格への黄信号がともっている。一方のアミアンも直前のポー戦では勝利したが、それまでは5連敗、2部での順位は14位であり、こちらもナショナルリーグ降格の危険地域にいる。リーグ戦では不調なチーム同士の対戦となったが、ルアーブルは先発に4人の10代の選手を起用する。一方のアミアンもフィールドプレーヤーの平均年齢は22歳以下と若い選手が出場する。
若い選手同士の試合となったが、先制点を奪ったのはアウエーで2部のアミアンであった。11分にイリエ・アマシュが決める。アミアンは30分にも追加点を奪う。ルアーブルはアミアンよりはるかに多いシュートを放ちながら、枠に飛ばない。数少ないチャンスを得点に結びつけたアミアンは2-0でルアーブルを倒したのである。
■ミカ・ビエレスの2ゴールでオセールを退けたモナコ
唯一の1部勢対決となったのが4回優勝経験のあるオセールと5回優勝のモナコの顔合わせである。リーグ戦の成績であるがオセールは16位と2部とのプレーオフ圏内、モナコも9位と振るわない。
モナコはこの試合にトップにデンマーク代表のミカ・ビエレスを起用する。この起用が当たり、8分にはマグネス・アクリウシュからのクロスをビエレスが決めて先制ゴールを奪う。対するオセールも29分に同点ゴールを決める。ここで悪夢がモナコを襲う。34分、南野拓海がボールを獲得しようとオセールの選手と接触、このプレーで倒れ込み、プレーの続行ができなくなる。南野はピッチを去り、診断の結果、前十字靱帯断裂ということで、ワールドカップを控える日本の皆様は心配であろう。試合は後半に入って74分にビエレスが右足で2点目を入れる。ビエレスの活躍でモナコが1部勢対決を制したのである。(この項、終わり)
