第589回 ワールドカップ回顧(4) フランス以外から独立したガーナとアンゴラの選手

■31人がアフリカからワールドカップに出場

 フランスのクラブに所属し、今回のワールドカップに出場した選手を欧州、南米と紹介してきたが、前回のアジアでのワールドカップでアフリカのチームに所属するフランスのクラブの選手が大活躍したことは記憶に新しい。
 先回の大会はセネガルに21人のフランスのクラブに所属先取する選手を擁し、ベスト8に進出した。またカメルーンに9人、ナイジェリアに3人、チュニジアに3人と南アフリカを除く4チームにフランスのクラブに所属する選手が合計35人もいたのである。
 さて、今回はアフリカからの代表は常連国が姿を消し、チュニジアだけが連続出場となったが、フランスのクラブに所属している選手についても大きく変化した。今回のアフリカからの出場国はガーナ(英国から独立)、コートジボワール(フランスから独立)、アンゴラ(ポルトガルから独立)、トーゴ(フランスから独立)、チュニジア(フランスから独立)と過半数は今回もフランスからの独立国である。コートジボワールはフランスのクラブに所属する選手が過半数の13人である。それ以外の国は、フランスを旧宗主国とするトーゴには9人、チュニジアには7人、そして英国から独立したガーナとポルトガルから独立したアンゴラにはそれぞれ1人、アフリカ全体で31人のフランスのクラブに所属する選手がおり、全ての5か国がフランスのクラブから選手を招集していたが、アフリカのチームは不振に終わった。今回はフランス以外から独立したガーナとアンゴラを紹介しよう。

■リヨンから移籍したミカエル・エシアンをしのぐ活躍をしたジョン・メンサー

 ガーナはアフリカ勢で唯一決勝トーナメントに進出したが、フランスとの勢力争いが行われていたエリアであり、その影響が独立して半世紀近くなる現在もサッカーの世界で行われている。ガーナ最大のスターはミカエル・エシアンであろう。エシアンはバスティアでプロとしてデビューし、リヨンで活躍したエシアンであるが、昨年3800万ユーロというアフリカ人選手で最高の移籍金でリヨンからチェルシーに移ってしまった。エシアンが去ったフランスリーグであるが、ガーナで唯一フランスのクラブの所属していたのがレンヌのDFジョン・メンサーである。ストッパーとして無類のヘディングの強さを誇るメンサーは今回のワールドカップでは全4試合にフル出場、エシアン以上の活躍を見せたが、チームはブラジルに決勝トーナメントで敗れたのである。

■ほとんどの国外組がポルトガルのクラブの所属するアンゴラ

 そしてポルトガルから独立し、初出場を果たしたアンゴラは国外のクラブに所属している選手が12人いるが、そのほとんどは旧宗主国のポルトガルの2部のチームや中東のチームに所属している。その中で例外は、イングランド2部リーグのハルシティに所属するルイ・マルケスとフランス2部リーグのクレルモンのアンドレ・ティティ・ブエンゴの2人である。2人とも今年3月の韓国での親善試合で代表にデビューしたことから、日本の皆様もよくご存知であろう。この2人がワールドカップ直前まで代表チームに呼ばれなかったのは2人とも幼少期に欧州に移住し、アンゴラ国内での選手経験がなかったからである。ルイ・マルケスは9歳の時に欧州に移住し、スイス、ドイツ、イングランドのトップクラブでの選手経験がある。

■幼少時にフランスに移住したアンドレ・ティティ・ブエンゴ

 一方、各国の長身190センチのアンドレ・ティティ・ブエンゴはアンゴラの首都ルアンダで生まれ、8歳でフランスのアミアンに移住してきた。アミアンといえばかつて日本で活躍したジェラール・ユリエがリシャール・カデュダルと机を並べてジュイ・アン・ジョザスを目指した町であり、日本の皆様には親しみの持てる都市であろう。アミアンでその技量を磨き、2001年にはバスケアルでプロ契約、途中スイスのクラブに所属した期間もあったが、クレテイユ、グルノーブルなどフランスのクラブで活躍した。昨年よりクレルモンに所属し、24試合で8得点と活躍したがチームは2部からナショナルリーグに降格してしまった。今回のワールドカップでも出場の機会がなく、その恵まれた身体を生かしたプレーを披露することなくシーズンオフを迎えたのである。(続く)

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