第339回 欧州連覇目指すフランス(5) ウクライナに勝利、ポルトガルへ旅立つ

■今回も予選落ちしたウクライナ

 フランスにとって最後の調整試合の相手となるウクライナは今回の欧州選手権予選ではグループ6に入りギリシャ、スペインの後塵を拝して3位に終わっている。旧ソ連の時代には主力選手を多く輩出したウクライナであるが、旧ソ連の解体後、世界や欧州の桧舞台は遠いようである。今大会の予選もギリシャには1勝1分、スペインには1分1敗であったが、前回の欧州選手権予選同様、下位のチーム相手の取りこぼしが目立ち、2勝4分2敗という成績に終わっている。2006年のワールドカップを目指し、大幅にメンバーを若返らせ、ほとんどの選手が国内のクラブに所属している。エースのアンドレイ・シェフチェンコもメンバーには入ったもののピッチの上には姿を現さない。

■GKは好調のグレゴリー・クーペではなく実績のファビアン・バルテス

 一方、フランスはこの試合のメンバーがそのまま6月13日のイングランド戦のメンバーであると予想される。ウクライナ戦のメンバーで注目すべきポイントは2点ある。
 まずGKに誰を起用するかである。GKにはファビアン・バルテスが入った。バルテスは所属するマルセイユがUEFAカップ決勝に進出したため、5月20日のブラジル戦を欠場した。代役のGKのグレゴリー・クーペがカナリア軍団の攻撃を防ぐ大活躍を見せ、クーペは28日のアンドラ戦にも引き続き出場し、2試合連続無失点を記録している。今年初めにマルセイユに移籍するまでバルテスはマンチェスター・ユナイテッドで出場機会に恵まれず、リーグ優勝GKのクーペがバルテスに代わってイングランド戦に出場かと言う声も上がったが、ジャック・サンティーニ監督はバルテスをスタッド・ド・フランスのピッチに送り込んだ。もちろんバルテスの経験だけではなく、初戦の相手であるイングランドの選手を熟知していると言うことも大きな要因であろう。

■ストッパーは2度目の起用となるミカエル・シルベストルとリリアン・テュラム

 そして第2点はディフェンスラインの選手の起用である。2002年ワールドカップの際には高齢化したストッパー陣のスピードの欠如が失点の原因である。ストッパーの軸は主将を務めるマルセル・デサイーであるが、所属チームのチェルシーでは相変わらず出場機会に恵まれず、今季のリーグ戦出場はわずか15試合である。欧州選手権後に代表からの引退の可能性が濃厚なデサイーにとってウクライナ戦はスタッド・ド・フランスでの最後の試合になるはずだった。ブラジル戦での負傷をおして出場したアンドラ戦では途中退場、ウクライナ戦も欠場せざるを得なかった。サンティーニ監督はストッパーにミカエル・シルベストルとリリアン・テュラムを起用する。テュラムは従来サイドバックの選手であるが、モナコでアルセーヌ・ベンゲル監督にその才能を見出された当時はストッパーであった。そしてビシャンテ・リザラズは定位置の左サイドバック、そして右サイドバックにはチェルシーでデサイーとストッパーを組むウィリアム・ガラスが起用された。シルベストルとテュラムの2人がストッパーを組むのは昨年11月15日のドイツ戦以来2度目のことである。6月6日というノルマンディー上陸作戦60周年の記念日にドイツで誕生したコンビを復活させるあたり、サンティーニ監督の演出も見事である。
 守備的MFはパトリック・ビエイラとクロード・マケレレ、攻撃的MFはジネディーヌ・ジダンとロベール・ピレスという最高のMF陣が勢揃いする。そして2トップはティエリー・アンリとダビッド・トレゼゲという予定であったが、トレゼゲがウクライナ戦前々日の練習中の負傷により外れ、ルイ・サアが入っている。

■終了直前のジダンのゴールでフランス勝利、ポルトガルへ旅立つ

 試合はフランスが経験不足のウクライナを凌駕し支配する。ピレス、ジダンを起点にする攻撃が続くが、ウクライナのGKのファインセーブにより、肝心のゴールネットを揺らすシーンが起こらない。フランスは過去3試合中2試合がスコアレスドロー、この試合もオランダ戦、ブラジル戦同様のドローかと思われた87分、ジダンが決勝点をあげ、見事に勝利を飾った。フランス代表は6月8日にポルトガルへと旅立ったのである。(この項、終わり)

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