第608回 2008年欧州選手権予選開幕(2) 第1戦はフランス完勝、イタリア引き分け

■ホームで力を見せるグルジア

 登録した20人のメンバー中18人がワールドカップに出場した選手というメンバー構成でアウエーのグルジア戦、ホームのイタリア戦に臨むフランス代表。必勝体制で最初の2試合を連勝しようという意図が見られる。
 9月2日にフランスと対戦するグルジアはソ連の解体に伴ってFIFAに加盟した。これまでフランスとの対戦はなく、ワールドカップや欧州選手権の本大会に出場したことはない。今回の予選も第6シード、ワールドカップ予選ではグループ2で7チーム中6位という成績に終わる。2勝4分6敗という結果であったが、ホームで6戦したが、ギリシャとトルコに敗れたものの、アルバニアに勝ち、デンマーク、ウクライナ、カザフスタンと引き分け1勝3分2敗という成績である。特に注意しなくてはならないのは第1戦である。グルジアはワールドカップで3位になったばかりのトルコとアウエーで引き分けている。もしもこの試合でトルコが勝利していれば、トルコはグループ2の首位となり、同胞がたくさん待つドイツでのワールドカップに出場していたはずである。グルジアに不覚の引き分けを喫したトルコはプレーオフに回り、スイスに敗れている。

■ワールドカップ時とほとんど変わらないフランス代表

 ホームで強いグルジアを支えているのはファンである。このフランス戦も6万人のファンが集まった。この大観衆の前でラ・マルセイエーズを歌う11人はGKグレゴリー・クーペ、DFはビリー・サニョル、ウィリアム・ギャラス、リリアン・テュラム、エリック・アビダル、MFはクロード・マケレレ、フローラン・マルーダ、パトリック・ビエイラ、フランク・リベリー、そしてFWはルイ・サア、ティエリー・アンリである。メンバー発表の後、ダビッド・トレゼゲが負傷のため離脱し、2トップはボスニア・ヘルツェゴビナ戦と同じコンビとなった。このメンバーを見れば、ジネディーヌ・ジダンとファビアン・バルテスがドイツでのワールドカップから抜けているだけである。また、ワールドカップ期間中にレギュラーに抜擢されたリベリー、アビダル、マルーダの3人はその座を揺るぎなきものにした。

■ドイツで成長した若手3人衆が活躍

 試合はアウエーでの大観衆にフランスがひるむことなく走り回り、躍動した。先制点をあげたのはドイツの地でブルーのユニフォームを自らのものにしたマルーダであった。開始早々の7分にゴールを決め、ドイツでの活躍はフロックではないところを見せる。追加点は16分のサア、莉バリーからのパスをゴールに叩き込む。サアは2004年欧州選手権、2006年ワールドカップと直前にメンバーから外れた悔しさは2年後の欧州選手権で晴らすことができるはずである。フランスは2-0とリードして前半を折り返す。
 後半は開始早々にグルジアDFがバックパスをミスし、フランスは幸運なオウンゴールで3点目を追加する。フランスは攻守に安定感を見せ、初対決となるグルジアに3-0と力の違いを見せて完勝したのである。

■宿敵イタリア、リトアニア相手にまさかのドロー

 フランスにとって気になるのは水曜日にスタッド・ド・フランスで対戦するイタリアの動向である。ワールドカップ決勝でフランスを下したイタリアはフランスとは対照的なチーム編成でこの欧州選手権予選に臨んだ。イタリアの第1戦はグルジアと同じバルトの国であるリトアニアである。グルジアよりは力が上で第5シードとなっている。しかし、イタリアは過去にリトアニアと4回対戦し、3勝1分、無失点という成績を誇っている。しかもイタリアのホームゲームであり、ナポリで行われた試合にはワールドカップのトロフィーなどが展示され、世界チャンピオンが小国相手に大勝すると誰しもが思っていた。ところが試合はリトアニアの先制点で始まった。21分にリトアニアが先制点、陽気なナポリのファンもその表情を変えざるを得ない。30分にフィリッポ・インザーギが同点ゴールを決めるが、勝ち点3が是非ともイタリアは欲しい。ところがイタリアの勝ち越し点はなかなか生まれず、時計の針だけが動いていく。結局、イタリアはホームで第5シードの国にまさかのドローで欧州選手権への最初の試合を終えてしまったのである。
 そしてワールドカップの再戦となるフランス-イタリア戦は9月6日、スタッド・ド・フランスでキックオフされるのである。(続く)

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