第731回 グルジアに勝利して首位固め(3) サミール・ナスリ、代表初ゴール

■負傷のためメンバーから外れたショタ・アルベラーゼ

 前々回と前回の本連載ではグルジア戦に臨むフランス代表のメンバーを紹介したが、一方のグルジア代表はどのような陣形であろうか。昨年9月に行われたトビリシの試合ではフランスは3-0と大勝しているが、そのときとはメンバーはがらりと変わっている。
 これまで代表チームを支えてきたショタ・アルベラーゼの名前が見当たらない。アルベラーゼは現在34歳、これまでに代表チームでは63試合に出場し、16得点をあげてきた。また、アヤックス・アムステルダム(オランダ)、グラスゴーレンジャース(スコットランド)というビッグクラブでも活躍し、2005-06シーズンからオランダのAZアルクマールに所属している。オランダリーグの三強(アヤックス、フェイエノールト、PSVアイントホーヘン)に次ぐ力を蓄えてきたAZアルクマールは今季のリーグ戦では最終節で優勝を逃し、3位に終わった。その直後のオランダカップでもPK戦でアヤックスに敗れ、タイトル獲得はならなかったが、名門アヤックスとチャンピオンズリーグの出場権をかけてプレーオフを行った。その第1戦でアルベラーゼは大活躍、ロスタイムに決勝点を挙げて第1戦の勝利を呼び込んだ。第2戦では敗れ、チャンピオンズリーグではなくUEFAカップ出場に回ったが、今季15得点のアルベラーゼなしにはつかめなかったチケットである。
 年齢的にも代表から退くことを決心し、このホームでのフランス戦を引退試合と心に決めていたアルベラーゼであるが、練習中の負傷のため、フランス戦ならびにその前のリトアニア戦のメンバーから外れてしまった。

■欧州簿ビッグクラブの選手が並んだDF陣

 そして先発メンバー11人全員が国外のクラブに所属している。しかもその中には強豪チームの名前も並んでいる。特にこれらの国外有力チームのメンバーはDFラインに集中しており、両ストッパーのカハ・カラゼはACミラン(イタリア)、レバン・コビアシュビリはシャルケ04(ドイツ)、右サイドのズラブ・ヒザニシュビリはブラックバーン(イングランド)、左サイドのマルハズ・アサティアニはロコモティフ・モスクワ(ロシア)と強豪チームの選手がそろっている。

■一方的に攻めるが、得点はサミール・ナスリの代表初ゴールのみ

 この守備陣をいかに崩すかが試合の見所であった。オセールでは12年ぶりの代表の試合、そしてこのところオセールも欧州カップのビッグゲームから遠ざかっているとあって入場に手間取り、ようやく試合開始直前になって席が埋まった。時間をかけてアベ・デシャン競技場の座席にたどり着いた1万5000人の観衆は、12年前の10-0と言うスコアは無理としても、アウエーで3-0と勝利していることからフランスのゴールラッシュを期待した。
 試合は当初の予想通り、フランスが圧倒的にボールを支配する展開となる。一方的な試合となり、フランスの攻撃陣が次々とゴールを襲うが、ゴールネットを揺らすことができたのは33分のことであった。フランク・リベリーからのパスを受けたサミール・ナスリがゴールを決める。代表3試合目にして初ゴールをあげた。オセール出身のジブリル・シセを起用するかもしれないと試合前に言われていたナスリにとって意地を見せた得点となった。
 その後もフランスの一方的な攻勢は変わらず、実にシュート数は26に上ったが、得点は最少に終わった。一方、前回の本連載で紹介したGKのミカエル・ランドローは前半は全く見せ場がなく、後半の立ち上がりにシュートを1本防いだだけであった。試合内容は悪くはなかったものの、スコア的には1-0と満足のいかない結果になったが、勝ち点3を積み上げたことは紛れもない事実である。これでフランスは6勝1敗勝ち点18とした。

■バカンス明けには勝ち点2差で追いかけるイタリア戦

 さて気になるライバルたちの動向であるが、イタリアはアウエーの連戦が続き、フェロー諸島、リトアニアに連勝、5勝1分1敗となり勝ち点16とし、すっかり立ち直ってフランスを追撃する体制は整っている。スコットランドもアウエーでフェロー諸島に勝利し、5勝2敗勝ち点15と首位フランスと勝ち点3の差であり、この日試合のなかったウクライナも4勝2敗勝ち点12であり、ここまでが圏内であろう。
 グルジア戦を終え、これで選手たちはようやくバカンスに入ることができる。2月後には各国リーグが再開し、8月中旬にはスロバキアとの親善試合で活動を再開する。そして9月に入ると予選も再開、その初戦がアウエーでのイタリア戦なのである。(この項、終わり)

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