第755回 ミラノでイタリアとの決戦(1) 天王山の連戦に24人を選出

■予断を許さないグループB

 9月、バカンスからあけてオフィスやキャンパスが活気付いてきた。長いバカンスの土産話に話が咲くが、会話の最後には9月からの仕事や授業の話題とともに、自国で開催されるラグビーのワールドカップとサッカーの欧州選手権予選について熱く語られる。
 本連載でもこれまで紹介してきたとおり、昨年の同時期に始まった欧州選手権予選は7グループに分かれて戦い、各グループの2位までが本大会出場の権利を得る。フランスの所属するグループBは実質的に上位4チームの争いとなっている。首位はフランスで勝ち点18(6勝1敗、得失点差+13)、2位はイタリアで勝ち点16(5勝1分1敗、+7)、3位はスコットランドで勝ち点15(5勝2敗、得失点差+7)、4位は試合の消化数が1試合少ないウクライナで勝ち点12(4勝2敗、得失点差+2)となっている。

■鍵を握る上位4強同士の対戦

 これまでの戦いを振り返ると、昨年9月2日にイタリアが予選の初戦でリトアニアにホームで引き分けた以外は、上位4チームは下位3チーム(リトアニア、グルジア、フェロー諸島)に対して確実に勝ち点3を獲得しており、上位4チーム同士の戦いが、本大会出場の鍵を握っている。この上位4チームの残りの試合の内訳をみると、フランス、イタリア、スコットランドは残り5試合で上位3チーム、下位2チームと対戦、ウクライナは残り6試合で上位3チーム、下位3チームと対戦することになっており、4位のウクライナは3位のスコットランドとほぼ同じ位置にあるといえよう。
 さらに今後の日程は、9月、10月、11月にそれぞれ中3日で2試合ずつ試合が行われる日が設定されているが、9月の戦いに着目すると、フランスとイタリアは4強相手の試合が2試合、スコットランドとウクライナは4強相手の試合と3弱相手の試合が1試合ずつとなっており、フランスとイタリアは厳しい連戦を乗り切らなくてはならない。しかもフランスの試合は8日にアウエーで勝ち点2差の2位のイタリア戦、12日にホームで勝ち点3差の3位のスコットランド戦と最も厳しい相手と戦うことになった。

■スロバキア戦のA'代表から4人が昇格、4人が復帰

 この天王山の連戦にむけてレイモン・ドメネク監督は24人のメンバーを選出した。24人のうちGKのミカエル・ランドロー、ウルリッヒ・ラメ、DFのエリック・アビダル、フランソワ・クレルク、フィリップ・メクセス、パトリス・エブラ、バカリ・サーニャ、MFのクロード・マケレレ、サミール・ナスリ、ジェレミー・トゥーララン、パトリック・ビエイラ、FWのニコラ・アネルカ、カリム・ベンゼマ、ティエリー・アンリ、フローラン・マルーダ、フランク・リベリ、の16人は先日のスロバキア戦でフル代表となったメンバーである。スロバキア戦でフル代表となった選手でジャン・アラン・ブームソンだけが、今回メンバーに選出されなかった。
 そしてスロバキアとの親善試合でA'代表だったメンバーから4人が今回フル代表に昇格した。第3のGKとなるセバスチャン・フレイ、中盤のアルー・ディアラとラッサナ・ディアラ、FWのダビッド・トレゼゲである。さらにスロバキアへの遠征に参加しなかった選手が4人加わった。スロバキア遠征のメンバーに当初は選出されながら負傷のためメン バーから外れたジュリアン・エスクード、ウィリアム・ギャラス、リリアン・テュラムの3人が戻ってきた。そしてシドニー・ゴブー が復帰した。

■注目の攻撃陣のトレゼゲとゴブー、守備の要のテュラムとギャラス

 昇格組での注目はトレゼゲであろう。所属するイタリアのユベントスは今季ようやくセリエAに復帰し、復帰第1戦は8月25日のリボルノ戦であった。この試合でトレゼゲはハットトリックを決め、5-1と言う大勝の原動力となったのである。また、復帰組のテュラムとギャラスが、CBのコンビとして守備の中心を担う。そして注目すべきは背番号10を任されたゴブーである。昨年9月6日にスタッド・ド・フランスでのイタリア戦で先制点を含む2ゴールをあげ、フランスの勝利の最大の貢献者となったのがこのゴブーなのである。(続く)

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