第1153回 ボスニア・ヘルツェゴビナにアウエーで勝利 (3) カリム・ベンゼマの大活躍でフランス快勝

■重苦しい雰囲気でサラエボ入りしたフランスのイレブン

 ボスニア・ヘルツェゴビナのサラエボでの3回目の試合となるフランス代表、これまでの2回は1勝1分と相性がいいことを紹介したが、過去2回のサラエボでの試合はチーム状態が好調な中での対戦であり、今回のように史上最悪の4連敗を喫したばかりの対戦とは状況が異なる。  その重苦しい雰囲気の中でフランス代表はサラエボ入りする。ベラルーシ戦での負傷者も出場停止者もいない中で、就任後の初勝利を目指すローラン・ブラン監督のスターティングメンバー発表が気になるところである。

■4-3-3システムに変更、アルー・ディアラ、マチュー・バルブエナ、カリム・ベンゼマを起用

 7日のアシム・フェルハトビッチ・ハセ競技場のピッチに立った11人を紹介しよう。守備陣は4日前のベラルーシ戦と同じラインナップである。GKはウーゴ・ロリス、DFは中央にアディル・ラミ、フィリップ・メクセスのコンビ、サイドDFは右にバカリ・サーニャ、左がガエル・クリシーである。ストッパーのコンビはノルウェー戦から3試合連続して同じコンビであり、この2人が前回の本連載で紹介したボスニア・ヘルツェゴビナの長身攻撃陣に立ち向かうことになる。
 そして中盤と攻撃陣はシステムを含めて変更があった。中盤は守備的MFを3人で構成し、中央の1人を下がり目にし、左右に1人ずつ配置する。攻撃陣は左右にウイングプレーヤーを置き、中央は1トップである。4-1-3-2システムから4-3-3システムへの変更である。中盤の底はアルー・ディアラ、守備的MFは右にヤン・エムビラ、左にアブー・ディアビ、右ウイングはマチュー・バルブエナ、左ウイングはフローラン・マルーダ、そして中央の1トップにはカリム・ベンゼマが入る。
ベラルーシ戦の先発メンバーと比較するとアルー・ディアラ、バルブエナ、ベンゼマの3人が新しいメンバーである。バルブエナはベラルーシ戦には前半途中から出場しているが、アルー・ディアラはワールドカップ第3戦の南アフリカ戦以来の出場である。ベンゼマはノルウェー戦以来の出場であるが、先発出場となると昨年10月のワールドカップ予選のオーストリア戦以来のこととなる。

■ボルドーのアルー・ディアラが主将に任命

 この試合の主将はアルー・ディアラが務めることになった。南アフリカ戦でもアルー・ディアラは主将を務めているが、その時と違うことがある。それは監督がレイモン・ドメネクではなくブランに交代したことである。アルー・ディアラは2007年からボルドーに所属しているが、ボルドーの時の監督がブランであり、ブランのもとで主将を務めたこともあるからである。
 試合はボルドーのアルー・ディアラ、モンペリエのエミル・スパヒッチというフランスリーグに所属する主将同士のコイントスで始まる。両チームの主将がいずれもフランスリーグの選手であるということは今では極めて珍しいことではないだろうか。

■ベンゼマの活躍で久しぶりの勝利

 ジャージ、パンツ、ストッキングともフランスは青、ボスニア・ヘルツェゴビナは白というユニフォーム、試合は青いフランスが序盤から素晴らしい出足を見せる。ベラルーシ戦、ノルウェー戦もフランスはボールを支配したが、この試合は前線の選手がシュートに結び付けたことである。出色のパフォーマンスであったのがベンゼマである。シュートしてよし、パスしてよし、そしてFKも惜しいところに外れるなど、なぜこの選手が1年近くフランスのスターティングメンバーから外れていたのか不思議である。
 後半も中盤を過ぎた72分、左サイドのクリシーからのセンタリングを受けたベンゼマはボールをキープしながらターンし、先制点をあげる。ベンゼマはこれが代表9ゴール目であるが、先発出場した試合では3試合連続のゴールである。
 さらに、78分、ベンゼマからの攻撃でフランスは追加点をあげる。ベンゼマが中盤でボールを受けた時、前線にフリーの選手が3人いたが、ベンゼマはまずディアビーにつなぎ、ディアビーからバルブエナに、そしてバルブエナは左サイドから駆け上がってきたマルーダにすぐさまパス。マルーダは無人のゴールにシュートを決める。
 フランスがタイトルマッチで勝利をあげたのは昨年のダブリンでのアイルランド戦以来6試合ぶりのことである。(この項、終わり)

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